16この国のコンディション
ゼナルとレファムの仲はさておき。
「皆聞け!」
大きい訳ではないのに、鋭くリールの声が響く。机に一つ椅子を上げて、そこに座る。演説や講演をするなら、その高さと距離は最適だ。
「まず二人は今のところ味方とみなす」
反論の声は上がらない。
静かにただリールを見つめる。
その様子を確認してリールは前傾になり、両膝に肘を置き、手を組む。
「よく聞け。事実、これ以上耐えられないくらいこの国は傾いている。そして今、二人はなかなかいい仕事をしてここへ来てくれた。さぁ、動こう。今まで集めた情報を全て話す。」
この国は王が治めている。
首都『シストリアン』のど真ん中に立つ何よりも高い城に住む王と家臣が、この国の政治というものを行っている。
それは紛れもない事実だ。
しかし、この国の膨大な資金。
それを支えているのは他にいたのだ。
城のすぐそば、二番目に高さのある豪邸。
人の出入りは城より多い。
バンス・エン・ドメスト・ト・ルモ
豪邸に住む男の名。
この男は様々な国との貿易によって大金を動かし、成功を修めた。
今では国王も頭が上がらないのではないかというくらい大金持ちの権力者だ。
しかしそれだけなら問題ではない。
むしろ感謝する。
問題なのは、ここ数年の荒稼ぎだ。
他国への対応はさほど変わっていないようだ。
だが商品の値は上がった。
即ち売るときに金をかけるようになったということだ。
理由はわからない。
だが分かることは一つ。
原因はバンスという男。
「というとこだ。ここからは交渉しよう」
リールは机の上から降りて、リュークの正面に座る。
「何を目的に、何をする?」




