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15兄弟のミニファイト


重い

暗い

そんな空気が扉の向こうを満たしていた。


しかしそれは少しリュークの予想と外れているものだった。



ほとんどの者が俯き、ちらちらと様子を見ながらも声を出さない。

何か言いかけては閉じる、を繰り返している奴もいる。


その中、二人だけが立ち上がり、睨みあっている。


ゼナルとレファムだ。


二人の間には火花が飛びまくっていた。

お互い武器をとる様子はないが、今にも飛びかかりそうな勢いがある。



「っと……これは……」


「……うむ」


扉の近くにいた数人がようやくこちらに気付き、リールに駆け寄る。


「……リールさん!それがですね……」


なかなかリールに従順な方々のようだ。





リールとリュークが別室に入った後、重いと言うより痛いような空気が流れていた。


皆、ゼナルがリールの子だと気付いていない。もしくは知らない。


警戒すると共に、興味を持っている者もいた。なかなかの強者、『ディス』と一緒にある目的を持ってきた謎の男。


たくさんの視線が集まる。



しかしゼナルは事前にリュークからきつく言われていた。


「たぶん一回乱闘みたいになるけど、仲間になるんだから仲良くしろよ。てか俺が居なくなるときがあったら親密になっといてくれ。その方が動きやすいから!な!?頼むぞ」




ゼナルは何か考えている様子だったが、少しして何を思ったのか。

荷物を探りだした。


一気に警戒心を高めた。

何を出してくるのか?

攻撃してくるのだろうか?


ゼナルが取り出したのは……パンだった。


たくさんの視線を浴びながらもくもくと食べ出したそうだ。

それも微妙に幸せそうに。


それを見ていた奴等は、何か馬鹿らしくなって、各々話したりしだした。


そこでゼナルに話しかける奴がいたのだ。

先程攻撃を仕掛けずに見ていた者の一人で、かなり楽観的な奴のよう。


それも……


「そのパン上手い?」


なんてかなりどうでもいいことを聞くのである。


皆どう返すのかと耳をそばだてた。


ゼナルは少し驚いたように食べるのを止め、顎に手を添えて考えると、


「……普通…ですね」


沈黙。


それから皆が顔を見合せ、

大笑いした。


普通過ぎる答えが逆に笑えたというか、なんだか可笑しかったのだ。


それからゼナルは皆と打ち解けたと言ってもいい。少なからず会話をした。



そんな少し穏やかなムードの時だった。


コツ……コツ……


「おい」


ゼナルと数人が話しているのを遮ったのは、レファムだ。


眉間にシワを寄せている。

笑っているときなど知らないが、いつもよりご機嫌ななめなようだ。


「こいつはまだ味方じゃない。いつ殺られるかわからないのに、何楽しんでる」


レファムはリールのためには何でもするとして、ある意味嫌われている。

特定の人と仲良くしているのを知らない。

笑っているのを知らない。

必ずリールの味方をする。


そして今回のも、正論ではあるが、かなり偏っている意見だと思われた。


だがレファムの強さは群を抜いていた。

そのせいで誰も反抗できないでいるのだった。


回りで話していた奴等は黙り混んでしまう。


その様子をみていたゼナルはゆっくりと立ち上がり、レファムを睨み付ける。


「すぐにリュークと貴方のお母様の話がついて協力することになるでしょう。もう争う必要はないのでは?」


『貴方のお母様』という所を嫌に強調され、レファムは眉をぴくっとあげる。


「まだわからない。だいたいついさっき戦って今仲良くするほうがおかしい。お前はまだ敵。信用できない」


「なんと頭が堅いようで。誰が誰と話していても貴方には関係のないことでしょう。貴方の頭にはリールのことしかないんだから。僕は関係がない」


「あるな。今ここでお前に誰かが殺されればこちらとしては戦略損失だ」


「そんなつもりはありません。こちらも現在人質を取られているようなものです。何より依頼している側ですよ。引き受けてくれる人を減らすわけが。」


「いいや、お前は信用できない。何より目の前で俺には到底理解出来ないことをしているのが不愉快だ」


「本心はそちらですか。結局自己中なだけですね」


「それ以上口を開いてみろ。裂くぞ」


「僕はここにいる人に手を出しませんよ。貴方は別ですが」


「殺すぞ」


「やれるもんなら」




……という流れらしい。


「「……はぁぁぁぁああ」」


リュークとリールの重いため息が重なった。





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