11幼いウォーカー
夕飯の時間になり、ゼナルとリュークは今こそちゃんと食べてもらおうと、栄養価の高いものを考えて食事を作った。
限界があったが、家にあるいいものをありったけ使った。
だから信じられなかった。
声をかけても返事がない。
目も開けてくれない。
いつもみたいに笑ってくれない。
冷たい。
信じたくなかった。
━━━━━死んでいるなんて。
二人は母に抱きついて声をあげて泣いた。
リュークが14歳。ゼナルが16歳の時のことだった。
あのとき以来、ゼナルはリュークが笑っていない時を知らない。
最初は、時々苦笑いも見られたが、それもなくなった。
でもこれは良いことなのだろうか?
わからない。
辛くは、ないのだろうか?
それから2年ほど、二人は仕事をしながら剣の腕を磨いた。
既にリュークの頭にはシストリアンに行くことがあったと思う。
しかし直ぐには実行しなかった。
幼い子供の力はたかが知れている。
その事を、リューク自身が理解していたからだ。
ゼナルはずっとリュークに着いていくと決めていた。何も口出ししなかった。
二人の上達スピードは異常なものだった。
わずか二年で目覚ましい成長を遂げた。
元から才能を持っていた。それもある。
しかしここまで急激に上達した理由は、
お互いが殺すつもりで斬りかかるからだ。
手加減は一切無し。
殺すつもりで、
殺されると思って、
本気で。
どちらかが決めたのではなく、自然とそうなった。
強くなりたいという純粋な気持ち。
母を亡くした悲しさ。
シストリアンへ行く決意。
母を殺した貧しさへの、自分への憎み。
━━━相手に負けたくない闘争心。
彼らを突き動かすものはいくらでもあった。
そして今、ここまで来た。
ここで立ち止まるわけにはいかない。
「お前は、いいのか?」
「はい、母さんにリュークを頼まれましたから。早くリールの所へ行きましょう」
リール・バンドン・メラーニ
ゼナルは実の母を名前で呼び、
リュークの母を母として呼んだ。
覚悟の現れだった。




