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#97 しっかり休息

 ランペイジバスの討伐依頼の次の日。


 この日は依頼に参加した冒険者達はギルドの方からしっかり休めとお触れが出されており、ビフレストの面々もそれは同じで、それに従って宿でのんびりと過ごしていた。



「別にそんな疲れてないけどな」



 そう口にするのはアネッタで、彼女は背中にカスミを乗せて腕立て伏せを行っていた。



「フィオさんとかはぐっすり眠ってますよ」


「あいつも別に体力切れで寝てるわけじゃないぞ。 むしろ体力は俺とかとそんな変わらんし」


「そうなんですか?」


「あいつはただゴロゴロするのが好きなだけだ。 ここ数日はゴロゴロできなかったから寝てるだけで、現にずっとあいつは最後まで戦い続けてたしな」


「言われてみればそうですね……」



 2日間に渡った戦いにおいて、クリスタ達は1日目の夜こそカスミと一緒に宿で休んだが、2日目の朝には再び戦場に赴き、最後の巨大な怪物との戦いまで終わらせた。


 常人並みの体力だったらあり得ない所業だろう。



「最後に戦った大っきい魔物は強かったですか?」


「ああ、間違いなく危険度Sランクと言っていい強さだったな」


「危険度Sって凄いんですよね?」


「まぁ、滅多にSランクの依頼は無いな。 それこそ、強さで言えばガリュウみたいな成熟したドラゴンとかじゃないとSランクとまではいかない」


「そんな強い魔物を倒せるの、凄いです……!」


「Sランクの魔物を倒すのが俺らの役割だからな。 まぁ、Sランクの魔物はSランク冒険者一人と同等の強さって指標だから、クリスタとフィオ、あとはローニャもいたから、割と危なげなく倒せたぞ」


「そういえば、ローニャさんがなんかぼやいてましたよ。 自分抜きでもやれたのに巻き込まれたとかなんとか」


「まぁ、それはそうかもしれんが、アイツがいてくれたおかげでかなり楽ができたんだ」



 強さこそローニャはアネッタ、クリスタ、フィオには及ばないが、戦闘時の貢献度は強さでは測れないこともあるようで、今回のローニャが正しくそれだったそう。



「あいつは魔物の体の上をずっと走り回って気を引いてくれてな。 魔物からすりゃ、体にずっと小さい虫が這い回ってるような感じでムカつくし、ローニャに攻撃しようとすれば俺達の致命的な攻撃を喰らうし、ローニャを無視したら無視したで、短剣で刺したり斬りつけたりしてくるから、鬱陶しいことこの上なかっただろうな」


「そうだったんですねっ」


「ローニャは俺らと比べて破壊力が無いだけで、十分強えよ。 実際、俺はともかく、クリスタとフィオはローニャとガチで戦ったら、普通に負けうると思うぞ」



 ローニャのような機動力が凄まじいタイプは、魔法使いなどに滅法強く、魔法主体で戦うが剣を扱えるクリスタはまだしも、ほぼ魔法のみで戦うフィオみたいなタイプからすると、ローニャは天敵とも言えるだろう。


 ちなみにアネッタは、近接戦において世界最強と言ってもいいくらい強いので、いくら素早くても結局攻撃手段が近接のローニャには負けないとのこと。


 そんな感じで、それぞれ得意な相手、苦手な相手というのはSランク冒険者であっても全然あるので、それをカバーするべくビフレストとしてパーティーを組んでいるわけだ。



「そういえば、明日は祝勝会をやるそうですね」


「らしいな。 ビーチを今回戦った者達に貸切で街が開放してくれるんだと」



 普段この街のビーチは一般開放されているそうだが、明日は冒険者や衛兵達のために開放してくれるとのこと。



「折角ならそこでバーベキューしたましょうか」


「ああ、なんか前もバーベキューがどうとか言ってたな。 どんなやつだったっけか?」


「外で網焼きコンロに炭を炊いて、お肉とかお魚とか野菜を焼いて食べるんです」


「聞くだけで美味そうだな」



 この街に滞在している間にいつかバーベキューはやろうとカスミは思っていたが、丁度いい機会が訪れたので、明日決行することにした。



「あ、でも、他の冒険者の皆さんもいるとなると、邪魔になりますかね?」


「巻き込んじまえばいいんじゃねぇか? 食いもんとかも用意するみてぇだし、他の奴らにもやり方教えてよ」


「確かにそれがいいかもしれないですね」


「カスミの存在もバレちまったしなぁ」


「そ、そうですね」



 基本的にカスミは表立って動かないという方針で暮らしているが、今回の炊き出しの件でこの街の者達にはカスミの存在がかなり広まってしまった。


 ただ、カスミの炊き出しのおかげで冒険者や衛兵、船乗り達はずっとモチベーション高く動けたので、例年に比べても人的被害が著しく少なかったと教えてもらった。


 カスミ的にも、目立つことを恐れず行動したおかげで沢山の人の助けになれたので、今回の行動に関しては全く後悔はしていない。



「新しい調味料の宣伝にもなりましたし」


「もうすぐこの街でも発売されるんだっけか。 飛ぶように売れるだろうな」



 今回の炊き出しには、地球の調味料を惜しげもなく使い、どうやって作るのかをかなり聞かれたりもした。


 なので、一部のデラフト商会で売り出されてて、この街のデラフト商会でももうすぐ発売されますよと伝えておいた。



「あ、そうしたら水着も買いに行かないとですね」


「シャツと半ズボンじゃだめか?」


「折角なら可愛い水着着ましょうよ」


「俺には似合わねぇだろ」


「そんなことないですっ。 アネッタさんは魅力でいっぱいですよっ」


「お、おう、そうか」



 その後、カスミは他のメンバー達と一緒に近くの服屋に行って水着を買ったり、明日の祝勝会のための下準備をしたりして、有意義な時間を過ごすのであった。


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