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#78 ジューシーな唐揚げ

「ん〜……」


「フィオさん、そろそろご飯作らないと……」


「もう少し〜……」



 現在、カスミはソファで寝転がるフィオに抱き枕にされていた。


 というのも、カスミが色々と働いている姿は、ビフレストの面々からすると働きすぎに見えるらしく、時折こうしてだらけるフィオの横に放り込まれ、一緒にだらけさせられるのだ。


 おかげさまでさっきまで1時間くらいフィオと寝ていたのだが、気付けば夕食を作る時間になっており、カスミはフィオの抱き枕から解放してもらおうと声をかけた。


 しかし、フィオはまだ眠いらしく、カスミのことを中々離そうとしない。



「私と一緒に寝てたくないの〜……?」


「そ、そんなことは無いですけど……」


「私もずっとカスミちゃんとこうしてたい〜……」


(くぅ、可愛い……!)



 いつもは無表情なフィオがふにゃりと微笑んでそんな風に言ってくるのは非常に可愛らしく、つい流されそうになってしまう。



「で、でも、ご飯を作るのも大切なことですっ……」



 だが、カスミはなんとか流されそうになるのをこらえて、フィオにそう言葉を返す。

 


「むぅ、しょうがない〜…… んっ……」


「ふあ……!」



 そんなカスミに観念したのか、フィオはカスミの頬に軽く口付けをしてきた。



「カスミちゃんもして〜……?」


「い、今ですか……?」



 頬への口付けは、この世界で親密な人とする挨拶というのはカスミも既に理解はしており、朝起きる時や寝る前などにすることはあったが、それ以外でするとなるとなんだかいつも以上に恥ずかしさが込み上げてくる。


 

「カスミちゃんもしてくれたら離してあげる〜……」


「も、もう…… んっ……」



 その挨拶は、異世界に来た当初はカスミはされるばかりだったが、最近になって一方通行は良くないかなと思ったカスミがお返しするようになると、ビフレストの面々は非常に喜んでくれた。


 ただ、毎回する時は恥ずかしさを押し殺してカスミはしており、今も顔を真っ赤にしながらフィオの頬にちょんと軽く口づけを落とした。



「ん、嬉しい〜…… なんなら口にしても……」


「し、しましたから離してくださいっ!」


「は〜い……」



 これ以上カスミを揶揄うと怒られるというギリギリなラインが分かっているフィオは、顔を真っ赤にしているカスミをパッと離した。


 その辺りの余裕さはもう数百年生きている圧倒的年上の経験から培われたものなのだろう。


 そんなフィオの余裕を感じさせる態度に、カスミはちょっと恨めしげな表情を向けつつ、ソファから降りて夕食を作るためにキッチンに向かった。


 とは言っても、仕込みは既に終わらせているので、あとはパパッとそれらを仕上げるのみだ。



「何作るの〜……?」



 そうしてカスミがテキパキと料理の用意をしていると、もぞもぞとフィオがキッチンの近くまでやって来た。



「今日は唐揚げですね」


「揚げ物〜……?」


「そうです」


「揚げ物美味しいよね〜……」



 見た目は儚げな美少女であるフィオだが、こう見えてかなり食べるので、揚げ物などのガッツリとした料理も普通に好みだ。



「多分、かなり気に入ってもらえる気がするので、沢山作っていきます」


「お〜、楽しみ〜……」



 それは他のビフレストのメンバーも同じ…… なんならアネッタやローニャなんかはもっと食べるので、ライスが進む唐揚げは確実に気に入られるとカスミは思っていた。


 なので、仕込みとしてボウルに調味料を入れて、気持ち大きめにカットしたビックバードの肉を大量に漬け込んでおいた。


 それらに片栗粉と小麦粉を塗し付けたら、温めた油の中へ入れ、時折返したりしながら揚げ、3分〜4分くらいしたら一度バットに取って次の分を揚げていく。


 そうして唐揚げを揚げている間にも、キャベツの千切りを作ったり、味噌汁を作ったりすることも忘れずに行う。


 そして、第二陣の唐揚げも揚がったら、油の温度を上げて、二度揚げを行っていく。



「なんで2回揚げるの〜……?」


「こうすると表面がカリッと仕上がるんです」


「へ〜……」



 一度目は肉の内側まで火を通し、二度目で表面を高い温度で揚げることで、美味しそうなきつね色に仕上げつつ、衣をカリッとさせるのだ。


 そんな二度揚げは一分程度で良いので、しっかりきつね色になったらバットに上げて油を切り、それも済んだらとりあえず4つキャベツの千切りと共に人数分盛り付け、残りは大皿に山のようになるよう盛り付け、リビングのテーブルに運んでいった。



「お、美味そうだな」



 そんな山盛りの唐揚げを見たアネッタは、匂いでそれが美味い肉料理だと理解したようで、ワクワクした様子で席についた。

 


「今日はビックバードの唐揚げです。 そのままでも食べれますし、レモン果汁も用意したので、こちらは少しかけて食べてみてください」



 カスミの説明もそこそこに、早速皆で唐揚げを口に運んでいった。



「おお、美味ぇな! 肉汁が溢れてくる!」


「味がしっかりしててライスに合うにゃ!」



 すると、まずは肉が大好きなアネッタとローニャから絶賛の声が上がった。


 それもそのはず、一口齧ると中からはジューシーな肉汁が溢れ出てきて、二度揚げした衣のザクザクとした食感も相まってこれ以上無いくらい食べ応えがある一品に仕上がっていた。



「レモンかけるとさっぱりするね〜…… うまうま〜……」



 そんなジューシーで味の濃い唐揚げにはレモン果汁も良く合い、かけるとすっきりとした酸味のおかげで、非常に食べやすい味わいに変化してくれる。



「カスミ、こっちからも取っていいか?」


「もちろん…… って、相変わらず早いですね」


「ああ、これ気に入ったぜ」



 そんな唐揚げはカスミが予想していた通り、アネッタとローニャが特に気に入り、かなりの数を大皿に積み上げていたのだが、カスミが一人前を完食する頃には見事に完売し、また作ってくれと強く願われるのであった。

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