#77 買い物と観光
教国の大教会で行われた教皇フォルネンと大聖女マリーエルとの会談から一夜明け、カスミは本日、教国のお店通りにやって来ていた。
目的は買い物もそうだが、市場を一通り回ったら教国の街を観光してみたりもするつもりだ。
「教国は市場って感じじゃなく、ちゃんとした店舗が並んでる感じですね」
カスミは付き添いで来てくれているレネとローニャに向かってそう呟いた。
「そうだね! 多分、街の景観保持のためかな? 屋台とか出店を出すとどうしても臭いとかゴミとかの問題があるから」
そんなレネの言葉を裏付けるように、教国はどこもかしこもとても綺麗で歴史がありそうな建物が立ち並んでいて、先程からもちょくちょく道や建物掃除している人達が目に映る。
「文化や歴史を大切にされてて良いですね」
「もしかして、賭場とかもないにゃ!?」
「あー、無いかもね? 聖職者ってあんまりそういうのするイメージないし、なんなら嫌ってる人もいそう」
ローニャの発言にそんな言葉を返すレネ。
それを受けたローニャは「つまんないにゃー」と言うが、カスミからするとこの国特有の技法が感じられる建築や、整えられた道を見ているだけでかなり時間を潰せそうだった。
「あ、ここが食べ物屋さんみたいだよ!」
そんなお店通りを歩いていると、他の建物よりも一回り大きい建物の中で食べ物が売っているようだったので、カスミ達はその建物に入っていった。
その建物の中では、以前行ったデラフト商会と同じような配置で色々と食材が売られており、早速カスミは売り場を練り歩いていく。
「何買うにゃー?」
「とりあえず今日明日分の食料と…… あとは何かこの国特有の食材があれば買いたいですね」
ローニャの問いかけにそう答えたカスミは、とりあえず無難な肉や野菜を買いつつ、何か珍しいものがないかのチェックもしていく。
「あ、これは……」
そうしていると、カスミは牛乳などの乳製品が売っているエリアに、見覚えのある食材を見つけた。
「その白いのなんにゃ?」
「これはヨーグルトですね」
そこにあったのは、透明な容器に詰められたヨーグルトだった。
「チーズとは違うにゃ?」
「チーズより液体に近い感じですね。 味も酸味が強いです」
ヨーグルトはカスミも前世では朝によく食べていたし、スイーツにも使えるので、割と欲していた。
しかも、そのヨーグルトの横にはヨーグルトを作るための乳酸菌が多めに含まれている種菌も売られており、ヨーグルトと併せてそちらも大量に購入することにした。
種菌さえあればカスミでもヨーグルトは作れる…… なんなら前世ではヨーグルトメーカーという器具を使って、スイーツ作りに最適な硬さと味をしたヨーグルトを自分で作ったりもしてたので、カスミのスキルを使ってヨーグルトメーカーも用意しようかなと、早くもヨーグルトを活用するための計画を立てていく。
そんなありがたい食材との出会いもあった店をカスミはルンルン気分で後にし、当初の目的は達成したので、少し教国の街を観光することにした。
「どこもかしこも綺麗ですね」
「お、あっちに美術館があるよ!」
そうして教国の綺麗な街並みを眺めながら歩いていると、レネが美術館の看板を見つけたので、興味を引かれたカスミ達は入ってみることにした。
入場料は100ゴルドととても安く、それを支払って中に入ると、そこは昨日行った大教会に似た厳かな雰囲気に包まれていた。
「わぁ、綺麗な彫刻ですね」
そんな美術館の入口近くには彫刻が飾られていて、どうやって作っているのか不思議になるくらい精巧な作りをしていた。
「カスミちゃんはこういう美術品が好きなの?」
「好きと言えるかは分かりませんけど、単純に凄いなって思います」
「むむむ…… でも、私も作ろうと思えば作れるよ!」
「どこで張り合ってるにゃ……」
何故だか彫刻家に対抗心を燃やし始めたレネに苦笑しつつ、カスミ達はゆっくりと展示品を鑑賞していく。
教国内にある遺跡のレプリカや、幾何学的な形をしたオブジェなど、芸術に関する知識がそこまでないカスミからすると、作品に込められた意味などは正直分からなかったが、作るのが大変そうだということはとにかく伝わってきて、感心するばかりだった。
「カスミの作るケーキの方がローニャは綺麗に見えるにゃー」
「ふふ、ありがとうございます。 でもそうですね、久しぶりに美しさに全振りしたお菓子作りをしてもいいかもしれませんね」
「そんなのあるにゃ?」
「製菓の腕を競うコンテストとかでは、見た目のインパクトを出すために色々と工夫するんですよ」
カスミはケーキ作りが主戦場ではあるが、スイーツ系統だったら専門学校時代や修行していた時期に割と色々と手を出してきていて、それこそ飴細工だったり練り切りなんかも一流とまではいかないが、店で出せるレベルでこなせたりする。
「カスミちゃんってもしかして全然本気出してない!?」
「いやいや、今まで作ったものはどれも本気ですよ。 特に美味しさは」
どちらかと言えば美しさよりも味の方に比重を置いているカスミなので、これまで作ってきたケーキはどれも味は一級品だ。
ただ、時間をかければ味だけでなくさらなる美しさを求めることはできなくもないというだけである。
「ちょっとインスピレーションも湧いたので、機会があったらちょっとそういうのも作ってみますね」
「それって食べれるにゃ?」
「ふふ、もちろんです」
「なら凄い楽しみだね!」
そんな風に和やかに会話をしながらカスミ達は美術館を楽しみ、気付けばかなり時間が経っていたので、帰り際に教国の大きな公園を見て回ったりしつつ宿へと帰っていくのであった。
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