#72 教皇と大聖女
教国に来て一夜明けた本日。
カスミ達が部屋で準備を整えていると、宿の従業員から教皇からの馬車が来たと伝えられた。
なので、カスミ達が部屋を後にして宿の外に出ると、そこにはカスミ達全員が余裕を持って乗れそうな大型の馬車が鎮座していた。
「お待ちしておりました、カスミ様! 並びにビフレストの皆様!」
そして、そんな馬車の前には今回教国に赴くきっかけになったイセトが立っており、満面の笑みでカスミ達に歓迎の言葉をかけてきた。
「イセトさん、ご無沙汰してます」
「ああ、私などにそんなご丁寧にに……! やはりカスミ様は素晴らしい方ですね!」
そうカスミが挨拶をしただけでイセトは感無量といった表情を浮かべる。
「聖職者ってこんなんばっかか?」
「教皇様は人ができた方と聞くがな……」
アネッタの言葉にクリスタは眉を下げながらそう答えた。
一応、ビフレストがSランクパーティーと認められるのに当たって、教国からの賛同を得てはいるのだが、実際に教皇にはビフレストの面々も会ったことはない。
そのため、噂程度でしか教皇のことは知らないのだ。
「では、馬車へどうぞ! 大教会に着いたら私がご案内させていただきます!」
それからイセトに促されてビフレストの面々は馬車に乗り込んだ。
それを確認した御者の者が馬車をゆっくりと発進させ、馬車は大教会目指して進み始めた。
「この国のお城が大教会なんですね?」
「そうだな。 大教会というのは、各国の首都にある教会のことを言うんだ。 だから、女神教の総本山であるこの国の大教会は、城の役割も兼ねてる」
ナステリア王国の王都で見た大教会もかなりの大きさだったが、その総本山である大教会はどんなものなんだろうとカスミはちょっと期待に胸を膨らませた。
それからのんびりと馬車の旅を楽しむこと20分ほど。
馬車の窓から外を見てみると、現在馬車はかなり幅がある水が流れている堀の周りを走っており、その堀の向こうには、ナステリア王国の王城に引けを取らない立派で巨大な建造物が建っていた。
高さこそナステリア王国の王城には及ばないが、その分横幅が凄く、それでいて教会らしい荘厳さがあるので、カスミは思わずその立派な建造物に見惚れてしまっていた。
それから10分ほどして、堀を越えるための大きな橋を抜け、カスミ達を乗せた馬車は大教会の前に辿り着いた。
それから馬車を降りて、改めて大教会を見上げてみると、遠くで見た時よりも断然迫力があり、かなり細かい装飾などがあることにもカスミは気付いた。
「とっても綺麗ですね」
「お褒めに預かり光栄です!」
思わずカスミが綺麗だと呟くと、後続の馬車で着いてきたイセトがいつの間にか隣におり、誇らしげな表情を浮かべていた。
「大教会をご案内したい気持ちもありますが、教皇様と大聖女様がカスミ様の来訪を楽しみにしておられますので、まずはこちらへどうぞ!」
そう言うイセトの案内に着いていく形でカスミ達は大教会の中を進んでいく。
そんな大教会の中は華美な調度品などは無いものの、なんだか背筋が自然と伸びてしまうような厳かな雰囲気に包まれており、時折すれ違う教会に仕えている者達の所作もなんだか大人しい感じがして、ナステリア王国の王城とはまた違うんだなとカスミは思った。
そんな大教会の中を進むこと10分ほど。
カスミ達は見上げなければいけないくらい大きな扉の前にやってきた。
「この先は聖堂です! 他国風に言うなれば謁見の間ですね!」
「えっと、気をつけることとかってあります?」
ナステリア王国での謁見の際はドレスに着替えたりしたのだが、特に準備もしないままここまで来てしまい、不安になったカスミはイセトにそう尋ねた。
「いえいえ、カスミ様もビフレストの皆様も自然体でいてくださって構いません。 むしろ私達が傅くべきかと!」
「い、いや、やめてくださいね?」
とりあえず特に作法などは気にしなくていいとのことだったので、そのままカスミ達は扉の前にいた騎士の人達が開けてくれた扉を潜り、聖堂の中へと入っていった。
そんな聖堂の内部は、カスミのイメージ的には結婚式場に近い空間が広がっていて、一番奥には10m近くはあろうかという巨大な女神像が鎮座しており、そこに繋がる道には赤い絨毯が敷かれ、その左右には木製の椅子が等間隔に並べられていた。
そして、そんな女神像の前には、60代くらいの真っ白な法衣を身に纏った優しそうな顔立ちの男性と、見た目は10代前半くらいの僧侶が着るような法衣を少し豪華にしたようなものを身につけている小柄な少女がいた。
その2人のところへカスミ達が近付いていくと、2人とも美しい所作で深々と頭を下げてきた。
「カスミ様、並びにビフレストの皆様。 遥々ここまで足を運んでくださり、ありがとうございます。 私は第57代教皇を務めております、フォルネン・ラテルハルトでございます。 隣は……」
「私は大聖女の地位を賜っております、マリーエル・メセリカルドと申します」
そんな風に自ら名乗りを上げたフォルネンとマリーエルは、ゆっくりと顔を上げると、カスミのことを慈愛のこもった眼差しで見つめてくるのであった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
まだ送ってない方は★★★★★評価やブックマーク、いいね等を送ってくださると嬉しいです!
作者の執筆のモチベが上がりますので!
感想もいつでもお気軽に送ってください!




