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#48 王都の大教会へ

 カスミが王都に来てから、10日ほどが経ったある日の昼下がり。


 カスミは出かける準備をして、クリスタと共に王都の拠点を出た。


 そんな本日はいくつかやることがあり、まずは王都の大教会に足を運んでみる予定だ。


 これはカスミが希望したことで、ビフレストのパーティーハウスがあるサミアンの街にある教会よりもさらに立派だという大教会を見てみたいというのもあるが、一番の目的は以前この世界を管理する神であるチェアリィと色々話したいと思ったからだ。


 以前会った時に気軽に会いに来ていいと言っていたので、会えるだろうとカスミは思っているが、もし会えなかったら普通に大教会を観光して回るつもりだ。


 そんな大教会訪問の後は、何かと便宜を図ってくれているシクウが会長のデラフト商会の王都支店に招待されたので、行ってみるつもりだ。


 招待の目的は特に聞かされていないが、世界でもトップクラスの規模を誇る商会なので、なにか面白いものがあったら買いたいなとカスミは思っていた。



「王都生活もあっという間に時間が経つな」


「そうですね。 毎日楽しいです」


「それなら何よりだ」



 クリスタとそんな会話をしているカスミは、この10日の間だけでも、4回ほど王城に行って、料理指南を行ったりしていた。


 既にミーユイアの誕生日パーティーで出す料理の方は全てメニューが決まり、大体のメニューは既に試作も終えている。


 王城の料理人達も、教えたことはすぐに実践して、カスミがいない日もレシピを見ながら料理の練習をしてるそうだ。


 かくいう明日もカスミは王城に向かう予定なのだが、そこではミーユイアの誕生日パーティーに出す料理に関してではなく、日々の王族の食事メニューに関しての相談をする予定だ。


 既にミーユイアの誕生日パーティーまで10日を切っているが、料理に関してはもうほとんど問題はないし、カスミが担当するデザートも既に構想はできているので、割と余裕がある。


 なので、できる内に王族の食事メニューの改良も行おうという話になったのだ。



「お、見えてきたぞ」


「わぁ、大きいですね……!」



 それからクリスタと仲良く話したりしていると、目的の大教会が見えてきた。


 カスミが王都に来てからまだ来たことの無かったエリアに佇むその建物は、サミアンの街にあるものよりも倍近くは縦にも横にも大きく、そのせいか荘厳さも増しているような気もした。


 そんな大教会にカスミが足を踏み入れると、中は外観以上の荘厳さを感じさせる作りで、歴史がありそうだがしっかり掃除が行き届いているおかげか、その場にいるだけでなんだか心が洗われるような、そんな感覚があった。


 どうやら礼拝はサミアンの街の教会同様好きに行っていいようなので、カスミはクリスタに近くの椅子で待っててもらい、自分は女神像の前で両手を組み合わせて祈りを捧げた。



(チェアリィ様、カスミです)


「いらっしゃい、カスミちゃん」



 心の中でカスミがチェアリィに呼びかけると、待ってましたと言わんばかりにチェアリィの声がすぐに聞こえ、目を開けると以前も訪れた真っ白な空間にカスミは立っていた。



「少しぶりですね、チェアリィ様」


「そうね。 もっと来ても良かったのよ?」


「そうなんですか?」


「神界は退屈なのよー。 管理作業も日々ちゃんとやってれば、あっという間に終わるし」



 どうやらチェアリィはカスミのことを待ち望んでいたようで、悪戯そうな笑みを浮かべながらカスミのことを抱っこしてきた。



「わわっ」


「ふふ、カスミちゃん可愛い。 折角来てくれたんだし、こんな殺風景な場所じゃなくて、もっと良いところで話しましょうか」



 チェアリィがそう言いながら指をパチンと鳴らすと、カスミの視界は一瞬で切り替わり、気付けば綺麗な草花が咲き誇る庭園のような空間にいた。



「わぁ…… 綺麗ですっ」


「ここは神界の一角よ。 まぁ、さっきのところも厳密に言えば神界なんだけど」


「今更ですけど、良いんですか?」


「神が人を招くのはそんなに珍しいことじゃないわ。 人からここに来ることは絶対できないけどね」



 そんな風に言うチェアリィと共に、カスミは庭園の一角にあったガゼボの椅子に座って話をすることにした。



「それで、なにか聞きたいことでもできた?」


「そうですね。 あ、でもその前に……」



 チェアリィの下に訪れるに当たって、カスミはある実験を試みていた。



「えーっと…… あ、出せました。 これ、お土産です」

 


 それはいつも腰に提げている収納ポーチが神界でも機能するかという実験で、結果問題なく収納ポーチは開くし、中のものもそのままだったので、カスミはチェアリィへのお土産として作ったスイーツをテーブルの上に並べた。



「あら、これカスミちゃんが作ったの?」


「はい。 今度あるパーティーで出そうと思ってるものの試作品ですけど」



 テーブルに並べられたのは、サクサクの生地にプリン液を流し込んで焼いた焼きプリンタルトと、角切りにしたりんごが入ったりんごジャムを使った一口大のアップルパイ。


 どちらも作ってすぐに収納ポーチにしまったので、出来立てで非常に美味しそうだった。



「カスミちゃんの作る料理、ここから見てたけど、とっても食べてみたかったの! 特に甘いものを!」


「チェアリィ様も甘いものがお好きなんですか?」


「ええ! でも、神は別に食事を摂らなくていいから、わざわざ料理する神もいなくてね」


「そうなんですか」


「じゃあ早速…… ん〜♡ 美味しい! 何かを口にしたのも本当に何万年ぶりかしら」



 早速チェアリィは、焼きプリンタルトをはむっとひと齧りし、その美味しさにふにゃりと表情を綻ばせた。



「地球の食文化は本当に凄いわねー。 こっちの世界でもどんどんこういうのが広まれば良いんだけど」


「頑張りますっ」


「ああ、別にカスミちゃんを急かすつもりはないわ。 前にも言ったけど、食文化を広めるのはついででいいから」


「分かりました」



 その後も焼きプリンタルトとアップルパイを摘みながら、カスミとチェアリィは話を続けていく。



「それで、地球の文化についてどの程度話していいかちょっと迷うことがあって……」


「んー、カスミちゃんが知ってる知識なら話しちゃダメなことは特にないと思うわ? 兵器の作り方とかカスミちゃんは知らないでしょ?」


「知らないですっ」


「そういう戦いを誘発するような知識じゃなければ、全然話してもいいわ。 地球は食文化もそうだけど、娯楽に関してもかなり先進的な世界だから、そういうのが広まる分にはウェルカムね」


「分かりました」



 カスミは以前、ローニャに地球のギャンブルについて話そうとして躊躇したのだが、そういうのは別に教えても大丈夫だそうだ。



「自分が管理してる世界が発展するのって、本当に我が子の成長を見ているような気分になるから、どう変わっていくのか楽しみね」


「私はもっとこちらの世界のことを知りたいです」


「そうね。 カスミちゃんはまだ一つの国しか行ってないけど、他にもたくさん国や面白い場所はあるから、ぜひ楽しんで欲しいわ」



 改めてこの世界で好きに生きていいと言われたカスミはチェアリィに感謝しつつ、自分で作った焼きプリンタルトとアップルパイに舌鼓を打った。


 チェアリィもその美味しさには太鼓判を押してくれたので、ミーユイアの誕生日パーティーに自信を持って出せると同時に、メインであるケーキ作りの方も頑張ろうと内心闘志を湧き上がらせるカスミなのであった。


 

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