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#152 風邪を引いちゃった①

 帝国、そしてメッコ村から、サミアンの街のパーティーハウスにカスミ達ビフレストの面々は帰ってきていた。


 今は帰宅してから一夜明けた午前中なのだが、カスミは洗濯物を干そうと思い、洗濯物を運んでいた。



「あ……」



 ただ、そのタイミングで体に違和感が生じた。


 視界が少しぐらつき、口では説明しづらい寒気のようなものがゾワゾワと湧き上がってきて、このタイミングでカスミはもう大体この後どうなるかが想像できた。



「おや、カスミ。 そんなところで立ち止まってどうした?」



 そんなリビングの真ん中で立ち尽くしているカスミに、クリスタが声をかけてきた。



「クリスタさん……」


「うん? ……カスミ、少し顔がいつもより赤いな?」


「んー、多分、熱が少しあるっぽくて…… これから上がっていく気がします……」



 どうやら、カスミは風邪を引いてしまったようだ。


 地球にいた頃も、年に1~3回くらいは熱を出すカスミだったので、何となくこれから熱が出そうだなということが不本意ながらある程度分かるのだ。

 


「なっ…… それは大変だっ」



 そのことを聞いたクリスタは、素早く、だがとても優しくカスミをお姫様抱っこし、カスミを自室に運んでパジャマに着替えさせて、ベッドに寝かせていった。



「ふぅ……」


「だ、大丈夫かカスミっ」


「ちょっと熱上がってきてますね……」


「どれ…… うん、確かに熱いな……」



 布団を被ったカスミの額にクリスタが手をやると、そこは明らかに熱くなっていた。



「そうしたら、氷嚢と…… 何か欲しいものはあるか、カスミ?」


「ちょっと寒いので、もう一枚布団が欲しいです……」


「分かった、すぐ持ってくるっ」



 カスミを心配しつつも、クリスタは今必要な物を取りに行くため、一度カスミの部屋を後にした。



「あれ、どうしたのー?」



 それからクリスタが、らしくなくドタドタ足音を立てながら階段を降りてきたのを見たレネが声をかけてきた。


 

「カスミが熱を出したっ」


「えぇっ!? だ、大丈夫なのっ!?」


「今のところ大事では無さそうだが、カスミは子供の体だから、油断はできない」



 そうレネに返しつつ、クリスタは氷嚢と毛布を急いで用意し、カスミの部屋に戻っていった。



「カスミ、持ってきたぞっ」


「ありがとうございます……」


「さっきよりキツそうだな……」


「自覚したからですかね……」



 カスミの部屋を出ていってから5分程しか経っていないが、カスミの表情は先ほどよりもしんどそうだった。



「カスミ、眠くなる魔法をかけてもいいか? 副作用とかは無いから」



 クリスタはそんなカスミの頭に氷嚢を乗せつつ、そう尋ねた。

 


「はい、お願いします……」


「よし『スリープ』」



 風邪を引くと、しんどくて寝たくても寝れないということになりがちになり、今のカスミもそのようなので、クリスタはカスミに眠気を与える魔法を使っていった。



「あ…… 凄い、眠くなって……」


「そのまま目を閉じて眠っていい。 ……カスミ、いつもありがとうな。 ゆっくり休んでくれ」


「はい…… クリスタさん…… だい、すき、で、す……」



 眠くなる魔法をかけられたカスミは、こういう時だからこそ漏れる本音をクリスタに伝えながら、ゆっくりと眠りについていった。


 クリスタはそんなカスミの頭を愛おしそうに撫で、しっかり眠ったか少し見守った後、そっと部屋から出ていった。


 それからクリスタがリビングに戻ると、そこには他のビフレストの面々が勢揃いして心配そうな表情を浮かべていた。



「クリスタ、カスミちゃんは~……?」


「スリープの魔法をかけて眠ってもらった。 寝息は落ち着いていたから、そこまで酷い風邪という訳では無さそうだ」


「そっか~…… エリクサー用意してきたけど~……」



 フィオが言うエリクサーとは、世界全体で見ても作れる者は両手で数えられるくらいしかいない貴重な薬で、大抵の病や呪い、怪我などを治すことができる伝説の薬だ。


 一応言うと、風邪を治すのに使うものでは断じてない。


 買おうとすると、作るための素材も貴重なものばかりなこともあり、一等地に屋敷が建つレベルの金がかかる代物だ。


 

「ひとまず様子を見よう。 薬に頼ると、体が弱くなるからな」



 そういったエリクサーや回復薬の類は、風邪に効くものもあるのだが、そういったものに頼り切ってしまうと、自己治癒能力が衰えてしまいかねないので、休めば治る程度の怪我や病気は自分で治すのが良いとされている。


 なので、カスミのことは見守るに徹することにした。


 もちろん、酷く悪化するようなら何を使ってでも治すつもりではあるが。



「そうしたら、カスミちゃんが寝てる間にお昼ご飯でも食べとく?」


「んー、あんま食べる気にならないにゃー」


「だが、何も食べないと後でカスミに怒られそうだな」



 レネ、ローニャ、アネッタもカスミのことは心配に思いつつも、カスミに気を遣わせないよう、なるべく普段通りに過ごそうと心がけることにした。



「…………」


「クリスタも、そんな顔してたらカスミちゃんに心配されるよ~……」


「あ、ああ、そうだな…… ふぅ…… よし、久しぶりに私が食事を作るか」



 その後はちょくちょくカスミの様子を誰かが交代で見に行きつつ、カスミが普段やっている家事を分担して行っていくビフレストのメンバー達であった。

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