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#151 帰り道にメッコ村へ②

 村人達の仕事姿を見学させてもらったカスミは、村の共有スペースにやって来ていた。



「ここも綺麗になりましたね?」


「村全体がとても裕福になったので、今までお金が無くて手を出せなかった色んなことができるようになったんです!」



 以前は辛うじて屋根があり、使い古されたキッチンや食事スペースがあるのみだったが、屋根は新品の石造りになり、入口から見て左右と奥側に壁も作られ、氷の魔石による空調機能も整っていて、過ごしやすい空間になっていた。


 今も休みの人や子供、年配の者達が座って談笑したり、昼食の用意をしていたりした。



「よし、折角なら私も一品作ります」


「えっ、いいんですか!?」


「お邪魔してる訳ですしね。 簡単なものになりますけど、せめてもの労いとして」


「皆んな喜んでくれますよ!」



 ということで、カスミは村人達の昼食を一品作らせてもらうことにした。


 材料は村の者が昼食用に炊いていたライスを、ありがたく使わせてもらう。


 ちなみに、現在アネッタとガリュウ、ローニャは近辺の魔物退治に、フィオとレネはこの辺りに自生しているという植物系の素材を採りに行ったので、ここにはいない。


 大体一時間くらいで戻ると皆言っていたので、昼食ができる頃には戻ってくるだろう。



「そうしたら、まずはおにぎりを作りましょう」


「任せてください!」



 ライスの原産地であるこの村では、当然ライスを使った料理は履修されており、マキは慣れた手つきでおにぎりを作ってくれた。


 カスミも、カスミの見守りに残ったクリスタと一緒におにぎりを量産していく。


 結果、凄まじい量のおにぎりができたが、村人達は沢山いるし、アネッタとかローニャが無限に食べてくれるので、大丈夫だろう。



「では、おにぎりを焼いていきましょう」


「焼きおにぎりですね!」



 そんなおにぎりを、炭を炊いた網焼きができるスペースに並べていき、表面がカリッとするまで焼き上げていく。



「焼きおにぎり美味しいですよねー。 醤油の香ばしさがたまらないです」



 マキの言葉通り、この村には既に醤油などの新しい調味料は入ってきている。


 ただ、まだデラフト商会の供給が少し追いついていないので、大量に使ったりはできないそうだ。



「醤油も美味しいですけど、今日はちょっと違った味付けですね」


「そうなんですか?」



 カスミはそう言いながら、ボウルに酒、みりん、そして味噌を加えて混ぜ合わせ、それを刷毛で取っておにぎりにどんどん塗っていった。



「わぁ、確かに味噌も美味しそうですね!」



 味噌とライスの組み合わせの良さを知っているマキなので、目を輝かせて完成を楽しみにしながら、おにぎりを裏返す作業を手伝ってくれた。



「お、良い匂いするな?」


「本当だ」



 そうこうしていると、畑作業を終えて昼食を食べにきた村人達が共有スペースにやってきた。



「味噌焼きおにぎり作ってますので、食べる方からどうぞーっ」



 そんな村人達に、カスミがそう呼びかけると、作業終わりで腹ペコの村人達は味噌焼きおにぎりをこぞって手に取り、横で他の村人達が作った、薄切りにしたボアの肉とカットした野菜が沢山入った、豚汁ならぬ猪汁も受け取って、早速食事スペースでそれらを口に運んでいった。



「お! この焼きおにぎり美味いな!」


「醤油もいいが、味噌もいい!」



 すると、口々に村人達は味噌焼きおにぎりを絶賛してくれた。


 カスミも村人達に混ざって食べてみたが、オーソドックスな醤油とはまた違った香ばしさと塩気があって、少し焦げてパリパリな食感になっている部分がまたいいアクセントになっていた。


 そんな味噌の塩気が残っている内に、猪汁を口に入れるとこれがまた絶品で、思わず「あ〜」と声が漏れてしまうような美味しさがそこにはあった。



「ねーねー、女神様ー!」


「んぐっ……!?」



 そんな美味しい昼食が一段落ついた頃。


 村の子供達がカスミのところにやってきて、声をかけてきた。



「め、女神じゃないですけど、どうしましたか?」



 悪意のかけらも感じられない子供達に、いつも通り強めに女神じゃないと言うのは憚られ、一応否定はしつつもカスミは子供達の方に体を向けた。



「女神様のおかげで、毎日美味しいご飯食べれてるよー!」


「皆んな笑顔になったー!」


「「「ありがとうー!!」」」


「皆さん……!」



 まだ幼いながらも、メッコ村がとても豊かになったのはカスミのおかげだと理解している子供達は、どうやら直接カスミにお礼が言いたかったらしい。


 大人に言わされてる訳でもなく、純粋な感謝を向けてきてくれた子供達に、カスミの胸はじーん…… と温かくなった。



「お役に立てたのならよかったです。 メッコ村のライスはとっても美味しいので、これからも食べさせてもらいますね」



 そんな子供達にカスミがそう返すと、子供達は嬉しそうな笑顔を浮かべ、有り余ってる元気を消化するため、畑の方へ駆けていった。



「よかったな、カスミ」


「ふふ、はいっ。 本当によかったです」



 そんな子供達とカスミの様子を見ていたクリスタが、カスミにそう声をかけると、カスミは目の端に少し涙を浮かべつつ、着実に使命が果たせていることを実感し、とても嬉しい気分になった。


 その後、大人達からも改めて感謝を告げられたりもしつつ、その後は色々と改良しているというライスと、以前メッコ村に来た時に見せてもらったもち米や玄米の量産もし始めたとのことで、それらもある程度買わせてもらった。



「では、マキさん、また来ますね」


「はい! いつでもお越しください! 今度またサミアンの街にも行きますね!」



 そうして、色んな意味で満足のいく時間を過ごせたカスミは、見送りに来たマキや村人達に礼を言いつつ、ガリュウの背に乗り込んでいった。



「「「女神様、ありがとうー!!!」」」


「め、女神じゃないです〜!」



 そして、最後にはもはや定番となったやり取りを挟みつつ、カスミはサミアンの街への帰路につくのであった。

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