#148 スカーレットとお話
どうやら注目度ランキングなるものが実装されたらしく、昨日はなんと17位になってました。
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帝国での滞在もあと数日といったタイミング。
今日も今日とてカスミ達ビフレストの面々が寝泊まりしている屋敷に来客が訪れていた。
「数日振りだな、カスミ」
「い、いらっしゃいませ、スカーレット様っ」
それはなんと、この国の皇帝スカーレットで、騒ぎにならないためか、そこそこのグレードの馬車に乗って、平民のような服を身につけ、髪も前回会った時は真っ直ぐ下ろしていたが、今は高めのポニーテールのような髪型にしていた。
ただ、それでも溢れ出る高貴なオーラは全然隠せていないし、相変わらず40過ぎだという実年齢から10〜20歳は余裕で若く見える美人っぷりだった。
「会談の準備から後始末まで忙しくてな。 こうして羽を伸ばせるのも久しぶりだ」
「そうなんですねっ」
「ふふ、そんな緊張しなくていい。 今日は皇帝としての立場は置いて来ているからな」
そう言ってにこやかな表情を見せるスカーレットは、カスミにも自然体に見え、流石に一国の王相手なのでちょっと緊張していたが、その表情のおかげで少し緊張が和らいだ。
「むしろ、私の方が礼を尽くすべきな気もするよ。 素晴らしい料理やスイーツを生み出すカスミに、冒険者の頂点。 一国のトップなどより世界的に見れば君達の方がよっぽど価値がある」
「いえそんなっ。 皇帝は大変なことばかりでしょうし、人の価値は自分にできることをどれだけ精一杯やっているかで決まると思いますから、ビフレストの皆さんも凄いですし、スカーレット様も凄いですっ」
「ふふ、カスミは聡明でいい子なんだな」
スカーレットはそう言って、カスミの頭をなでなでしてきた。
「おっと、つい撫でてしまった。 すまない、中身は大人なんだよな」
「いえ、大丈夫ですっ。 あんまり子供扱いされすぎなければっ」
「そうか」
それからカスミは、スカーレットとその護衛の騎士達を引き連れて、屋敷のリビングに入っていった。
今日のスカーレットの訪問は、堅苦しい目的などは無く、単純に交流を深めようという緩い場なので、早速スカーレットにはソファに座ってくつろいでもらい、カスミはちょこちょこ動き回って紅茶とクッキーを持ってきた。
ちなみに、リビングの片隅にはクリスタがいたが、見守るだけで特に干渉するつもりもないようだ。
今回のスカーレットの訪問の目的は、主にカスミとの交流なので、進んで皇帝と会いたいとも思ってない他のメンバー達は、部屋にいたり外出していたりする。
「んっ、このクッキー、絶品だな。 あっさり出てきたが」
「チョコクッキーとかも作りたいんですけどね」
「それはまた美味しそうだな」
そんな美味しいクッキーと紅茶のおかげで、さらに緊張が解れてきて、そこからはカスミはスカーレットと他愛もない話をし始めた。
「カスミは冒険者パーティーに入っているが、戦ったりもするのか?」
「いえ、私は戦えないです。 普段はご飯作ったり、色々と家事をしてますね」
「そうなのか。 実は私も若い頃は冒険者をしていたよ」
「えっ、皇族なのにですか?」
「そこまで珍しい訳でもないぞ。 私は本来、軍部を任されるはずだったから、冒険者の仕事は腕を磨くのに丁度よかったんだ」
「なるほど」
「ただ、元々皇帝になるはずだった兄が病で急逝してしまってな。 それで私が皇位を継ぐことになった。 ……だが、私は子を成せない体だから、口惜しいが皇家の血は私の代で途絶えることになってしまったんだ」
「スカーレット様が気に病むことじゃないと思いますっ」
「ふふ、ありがとうカスミ。 其方は優しいな」
そう言ってスカーレットは、隣に座るカスミを再びなでなでしてきた。
「ただ、いずれ後継は選ばないとな。 その座を狙って争うことがないよう、さっさと決めてしまいたいが、中々これが難しい」
「皇帝選びってなると、どうしても難しくなりますよね……」
「そうだな。 そういえば、カスミは後継を育てたりはしていないのか?」
「最近、とても熱意のある方達が弟子入りしてくれました。 今はその方達に私の技術を教えてます」
「そうか、それは安心だな。 技術が広まるのはかなり先の話かもしれないが」
「そうなんですよねぇ……」
カスミとしても、美味しいスイーツを早く広めたい気持ちはあるのだが、作り手が圧倒的に足りないという問題が付き纏っている。
「いっそお菓子作りの学校とか建てた方が良いんですかね……」
「ほう、それは中々良いアイデアだな?」
カスミは自分も通っていた製菓学校を思い出しながら何気なくそう言ってみたのだが、それにスカーレットが良い反応を示した。
「製菓に限らず、料理学校を作れば、カスミの料理はどんどん広められるんじゃないか?」
「確かにそうなんですけど、やっぱりまだ教えられる人が私しか居ないので、少なくとも今教えてる弟子の方達が他の方に教えられるようなレベルになるまでは難しいかもしれません」
「確かにそうだな。 カスミの負担を大きくしたくはない」
「学校ができたら全然教師しますよ」
「そうか。 なら、今のうちに場所の確保でもしておくか」
思っていた以上にスカーレットは製菓学校の設立に乗り気のようだった。
それだけカスミの料理やスイーツを気に入ってくれたということだろう。
「そういえば、普通の学校とかってあるんですか?」
「貴族学校が大国ならあるぞ。 我が国にもある」
「平民の方向けの学校って無いんですか?」
「そういうのは無いな」
「そうなんですね…… もし、平民の子供が通う学校があれば、良いことも沢山あると思います」
カスミはそう言って、それとなく前世の学校についてスカーレットに教えてみる。
「確かにそうかもしれないな」
「そうなると、学費はほぼ無料とかになってしまいますが」
「ふむ…… だが、教養のある者が増えればそれだけ社会は回りやすくなる。 これまで埋もれてきた才能を発揮する者も出てくるだろうな」
「子供は無限の可能性がありますからね。 学校などがあれば、盗賊や悪人になる人も減ると思います」
「確かに。 平民向けの学校か…… 検討の余地は大いにあるな」
「いっそ大きな学園都市みたいなものを作れば、働き口も増えるかもしれませんね」
「それは面白いな」
そんな風に、カスミとスカーレットは学校についてや、他にもカスミがこの世界にあれば良いなと思うことについて、のんびりしながら語り合うのであった。
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