#141 あのスイーツ作り②
昨日の分、投稿できてませんでしたm(_ _)m
一時間後にもう1話投稿します
フィオのおかげでひとまずカカオニブをとろとろのペースト状にできたので、カスミは宙に浮かぶカカオニブに、適量の砂糖を振りかけていった。
「これを潰せばいいの〜……?」
「はいっ。 熱を加えながらだとより細かくなりやすいと思います」
「じゃあ温かい風の結界に閉じ込めつつ〜…… グラビティ〜……」
そして、砂糖を加えたカカオニブを温かい風の結界で閉じ込めつつ、フィオは重力を操る魔法を発動させた。
すると、風の結界内でカカオニブが潰れたり小さく圧縮されたりして、ぐにゃぐにゃと形が断続的に変化していった。
「フィオさん、それはなにをしてるんですか?」
「重力を操る魔法で色んな方向から圧力かけてみてる〜……」
「重力を…… そんなことができるんですね」
「今の時代は私くらいしか使えないかもね〜……」
「凄いですっ」
「むふ〜…… でしょでしょ〜……」
カスミに褒められて鼻を高くしたフィオは、その後も張り切って10分ほど重力と風を操ってカカオニブに圧力をかけてくれた。
ちなみにフィオは軽々と行っているが、同時に2種類の魔法を操るということですら、並の魔法使いにはできないことだ。
しかも風の形をキープしたり、温度を変えたり、重力を色んな方向から発生させたりと、複雑な魔力操作まで同時に行うのはもはや神業と言えるだろう。
そんな素晴らしい技術がお菓子作りに使われていると、もしこの世界の魔法研究家達が聞いたら卒倒してしまうかもしれないが、カスミとフィオはなんとものほほんとした雰囲気だった。
「こんなものかな〜……?」
「見るからに滑らかになりましたね!」
そんな風な作業を終え、風の結界内から出てきたカカオニブは、明らかに先程よりも滑らかそうで、照明がピカピカと反射していた。
「そうしたら、型に注ぎましょう」
そうして滑らかになったカカオニブを、用意しておいた楕円形の型に注いでいき、冷蔵庫のタイムシフト機能を使ってしっかり冷やし込んだら完成だ。
「これで完成〜……?」
「はいっ。 綺麗なチョコレートになったと思いますっ」
そうして出来上がったのは、ツヤツヤと光沢を放つ楕円型で少し厚みのあるチョコレートだった。
チョコレートというと、作るのが大変そうに思えるが、不可能というわけでもなく、ある程度のものでよかったらカカオ豆さえあれば割と簡単に作れる。
ただ、カスミが目指しているのは、地球の市販品と大差ない滑らかなチョコレートなので、今回作るのに中々苦労した。
ちなみになぜ作り方を知っているかというと、パティシエという職業柄、チョコレートはそれはもう大量に扱う機会があるのだが、以前勤めていたケーキ屋の経営が危ぶまれた時、チョコレートを市販品ではなく自分で作ったものを使えば、かなりの経費削減になるのではと思い、自作にチャレンジしたことがあったのだ。
しかし、市販品にも負けないチョコレート自体は、自費で専用の道具を取り寄せたり、何度も試行錯誤して作ることができたものの、作るのに時間がかかり過ぎて泣く泣く断念する結果となった。
ただ、おかげさまでその知識が異世界でも生き、とりあえず見た目は完璧なチョコレートができたので、肝心の味と舌触りを食べて確かめることにした。
「フィオさんもどうぞ」
「ん、ありがと〜……」
もちろん、多大な貢献をしてくれたフィオにも一つ渡し、カスミとフィオは仲良く同時にチョコレートを口に入れていった。
「ん〜……♡!? これ、美味しい〜……♡!」
「うん、すごく良く出来てますね!」
そうして口に入れたチョコレートは、口の中でとろりと溶ける舌触りの良さを披露し、今回は割とビター寄りで作ったのもあって、香り高い苦味と程よい砂糖の甘さが口の中に広がっていった。
「カスミちゃん、これ凄いね〜……!」
その美味しさは、いつものんびりしているフィオが思わず興奮した表情を浮かべるほどだった。
「フィオさんのおかげですよ。 私が作ったのは舌触りが良くできなくて」
「確かに、作るのは大変そう〜…… ちゃんとした道具が必要だね〜……」
「そうしたら、とりあえずここにあるカカオ豆の分だけはフィオさんに作るの頼んでいいですか? 今後はレネさんとも協力して、それ用の道具を作るので」
「全然いいよ〜……」
「チョコレートにはいくつか種類もあるので、とりあえずあと2種類くらいは作りたいですね」
「お〜…… あんな凄いのがいっぱいあるんだね〜……」
「もちろん、できたらフィオさんにも試食してもらいますね」
「ん〜、カスミちゃん大好き〜……」
それからカスミとフィオは、張り切ってチョコレート作りに勤しんでいった。
もう2日後に三国会談が迫っているので、時間が無いように思えるかもしれないが、目当てだったチョコレートさえ完成してしまえば、あとはカスミのパティシエとしての技量でどうとでもなるので、焦らず美味しいチョコレートを量産していった。
ちなみに休憩がてら、他のビフレストの面々にもチョコレートを振る舞ったのだが、全員が大絶賛してくれ、その後は皆んなでカカオ豆の皮剥きをしたり、型に流し込んだりする作業をしたりと、協力してチョコレート作りを楽しむのであった。
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