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#138 帝都

 サミアンの街を出てから6時間ほどでカスミ達は帝国の首都である、帝都ペアスピアに辿り着いた。


 ちなみに、地上に降りる際、ガリュウを帝都の近くに下ろすのが難しそうだったので、以前教国へ赴いた際に行ったスカイダイビングを今回も行った。


 なお、今回はフィオも協力してくれ、フィオとローニャ、クリスタとレネがセットで風魔法で降り、アネッタは自前の翼で降りたのだが、カスミは馬ぐらいのサイズになったガリュウの背に乗って降ろしてもらった。


 いつの間にかガリュウは小型犬サイズだけでなく、割と自由に体のサイズを変えられるようになったようで、カスミ一人を乗せて空を飛ぶのはなんだかとても楽しそうだった。


 カスミからすると、ガリュウの本来のサイズの時の大きな背に乗ってる時とは違い、それこそ馬に跨るような形で乗っていたので、安心感が減って少し怖かったが、風の影響などはガリュウが無くしてくれたので、慣れた最後の方は結構楽しかった。


 万が一落ちても、ガリュウやビフレストの誰かが必ず助けてくれるという信頼もあったからかもしれない。


 怖いは怖いので落ちないに越したことはないが。



「おおー……」



 そんなカスミは、現在目の前に聳え立つ帝都の防壁に感嘆の声を漏らしていた。


 王都のものよりもそれはさらに1.5倍は高いかという防壁は、全て金属製で、太陽を反射してメタリックな輝きを放っていた。



「防衛費にどんだけの金使ったんだろにゃー」


「今でこそ平和だが、これが建った当時は平民は苦しい思いをしていたかもな」



 この高く頑丈そうで、いかにも金がかかっている防壁を、民からの税金で賄って建てたと思うと、なんだかちょっとカスミ的にはやるせない気持ちになった。


 当時の平民達は、自分達を守ってくれるものだからと喜んで税を払ったかもしれないが。


 そんな防壁を通るための門へカスミ達は足を運び、受付の人に皇帝から送られてきた親書を見せると、目をまん丸にして驚かれ、ぺこぺこと頭を下げながらすぐに通してくれた。


 そうして防壁の中に入ると、王国の西洋風の街並みとは違って、どこかカスミにも馴染みがある、近代的な街並みが広がっていた。


 大きな建物は大体がコンクリートのような硬そうな素材でできており、ガラス張りで中が見えるブティックや、オープンシートがあるカフェなど、おしゃれという言葉がよく似合うような街づくりがされているようだった。



「泊まる場所はどこかにゃ?」


「王都の時みたいに物件を用意してくれてるみたいですよ」



 今回、カスミについての話は当然皇帝にも伝わっており、カスミ達が帝都に滞在中、不自由なく過ごせるよう、物件を用意してくれたのだとか。


 物件の場所は皇帝からの親書に記されていたので、カスミ達は帝都のおしゃれな街並みを眺めつつ、そこへ向かった。



「え、ここですかね……?」


「他にそれらしきものはないから、そうだろうな」



 てっきり一軒家くらいの物件かなと思っていたカスミだったが、辿り着いた場所には、豪邸と言って差し支えない屋敷が建っていた。


 貴族が住む屋敷よりはまだ小さめだが、綺麗さは負けておらず、わざわざ門番の騎士まで立っていた。


 その騎士に皇帝からの親書を見せると、すんなり門を開けてもらえ、広い庭を抜けて屋敷の扉を開けると、3人のメイドが恭しく頭を下げながら出迎えてくれた。



「ようこそビフレストの皆様。 我々は偉大なる皇帝陛下よりこの屋敷の管理を任されております。 滞在中の雑務は我々が行いますので、皆様はごゆるりとおくつろぎください」



 メイドの中の一人がそう言うと、カスミ達の生活には基本干渉しないようで、敷地内にあるメイドが待機する離れの方へ離れていった。



「メイドさんまで…… 至れり尽くせりですね」


「まぁ、王国と教国のトップはカスミに頭が上がらないからな」



 クリスタの言う通り、王国のトップ、ダスロウは食文化の発展の立役者であるカスミには返しきれないくらいの恩があるし、教国のトップ、教皇フォルネンは、神に縁のあるカスミを半ば崇拝しているので、恐らく皇帝にカスミの凄さをある程度伝えているのだろう。



「期待に応えないとですねっ」


「ふふ、カスミなら大丈夫だよ」



 ふんすと気合いを入れるカスミの頭をなでなでしながらクリスタはそんな風に言ってくれた。


 それから広い屋敷の中を探索したい気持ちもあるが、カスミ的には先に帝国の市場に行きたかったので、クリスタ、レネと共に一度屋敷を後にするのであった。

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