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#128 クリスタの誕生日②

「ふぅ…… 大満足だな」


「ふふ、それは良かったです」



 クリスタの誕生日パーティーが始まってそれなりに時間が経ったのだが、2つのテーブルに所狭しと並んでいた沢山の料理は、見事に全員の胃袋の中へと消えた。


 流石に張り切って作り過ぎたかもしれないと思っていたカスミだったが、どちらかと言えばビフレストのメンバー達の胃袋の大きさの方を見誤っていたようだ。



「そうしたら、ケーキもあるんですけど、皆さんまだ余裕あります?」



 それから使った食器類を一旦シンクに移動させたタイミングで、カスミは他のメンバー達にそう尋ねた。


 すると、全員強く頷いて食べたいことをアピールしてきたので、カスミは冷蔵庫にしまっておいたケーキと取り皿、あとフォークを食事テーブルに運んでいった。



「おお……! また凄い綺麗なケーキだな……!」



 そうして運ばれてきたケーキを見て、クリスタがそう感嘆の声を漏らした。



「クリスタさんをイメージして作ってみました」


「私を?」


「クリスタさんの綺麗な翠眼、私とっても好きなんです」



 その言葉通り、今回用意したケーキは、マスカットがふんだんに使われたものになっていて、白いクリームでコーティングされた生地の上に、花びらに見えるように綺麗にマスカットが並べられていた。


 早速そんなケーキを切ってみると、内側のクリーム部分にもマスカットが沢山埋め込まれていて、一切れ一切れが一つの芸術品のような美しさをしていた。



「どうぞ、クリスタさん」


「ああ、ありがとう」



 そうして切り分けたケーキを、まずは今日の主役であるクリスタに渡し、食べてもらった。



「んっ…… おお……! 濃厚なクリームに、さっぱりとした甘さのマスカットがよく合ってるな……♡ スポンジも相変わらずふわふわで美味しい……♡」



 すると、クリスタは心底幸せそうに表情を綻ばせ、一緒に渡した紅茶と共に、ゆっくりと味わって二口目、三口目と口に運んでいった。


 カスミや他のメンバー達も、そんなクリスタに続いてケーキを食べ、共に幸せな時間を共有していく。



「本当に贅沢だな、私のためにケーキまで用意してくれるなんて」


「私の前世では、誕生日ケーキは一般的だったんです」


「良い文化だな」


「こっちでもいつか誰でも誕生日やおめでたい日に、美味しいケーキが食べられるようになって欲しいですね」



 そんなカスミの理想の未来は、すぐに実現できるようなものではないが、その一歩としてもうすぐカスミのお菓子作りの弟子になってくれる者達が来るし、この先も人脈を広げていけば、すぐとは言わずともそう遠くない未来に実現はできる気がしていた。



「ふぅ、美味しかった」


「ふふ、お粗末さまです」



 その後も色々と他愛もない話なんかをしていたら、カスミの作ったケーキはいつの間にか皆の胃袋の中へ消え、全員が満足気な表情を浮かべていた。



「そうしたら、プレゼントですね!」


「プレゼントもあるのか?」


「誕生日と言ったらケーキもそうですけど、やっぱりプレゼントですよね!」



 そう言ってカスミは、てててっとリビングの横の物置部屋に駆けていき、そこに隠しておいたプレゼントを持ってきた。



「はい、どうぞクリスタさん! 皆さんと相談して用意しました」


「ありがとう。 開けても良いか?」


「もちろんです!」



 カスミがクリスタに渡したのは、手のひらサイズの箱で、クリスタがその箱を開けると、そこには銀色の綺麗な模様が刻印がされているバレッタが入っていた。



「おお…… 綺麗だな」


「クリスタさん、お風呂入る時とか、体動かす時に髪留め使ってるので、良いかなって」


「ああ、助かるよ。 使いやすそうだしオシャレだな」


「模様とか形のデザインは皆んなで考えて、レネさんに作ってもらいました!」



 バレッタを手に取り、嬉しそうな笑みを浮かべるクリスタを見て、それを用意するために協力した他のビフレストのメンバー達も、笑みを浮かべていた。


 

「皆んな、ありがとう。 大切に使わせてもらうよ」



 そう礼を言ったクリスタは、早速そのバレッタを使って髪をまとめた姿を見せてくれた。


 その姿は非常に綺麗で美しく、カスミがそれを素直に伝えると、少し照れたような表情を浮かべて可愛らしい一面も見せてくれた。


 そして、その後は皆んなで使った食器を片付けたり、楽しくトランプをしたりと、いつもより遅くまで皆で楽しい時間を過ごしていった。


 そして、流石にそろそろ寝ようといった時間になったのだが、クリスタがカスミと一緒に寝たいと言ってくれたので、カスミはクリスタの部屋で、クリスタの同じベッドに入っていった。



「カスミは可愛いな」


「ふふ、ありがとうございます。 クリスタさんもとっても綺麗です」


「出会ってすぐの頃は可愛いとか言うと、顔を真っ赤にしてたのがもう懐かしいな」


「ま、まぁ、皆さんありがたいことに毎日のように言ってくれるので、流石に少しは慣れました。 ……まだちょっとドキドキはしますけど」


「そうか。 本当に、今日はありがとう。 生まれてきて一番幸せな誕生日だったよ」


「そこまで言ってもらえると、準備した甲斐がありましたね」


「本当に思い出になったよ」


「今回は準備があまりできなかったですけど、来年は今回よりも良いものにしたいですね」


「来年もしてくれるのか?」


「もちろんです。 毎年祝いますよ」


「それは楽しみだな。 ……カスミ、いつもありがとう。 お前のおかげで私は毎日幸せだ」


「こちらこそです。 私もクリスタさんと出会えてよかったです」


「カスミからそう言ってもらえるの、嬉しいな」


「あ、改めて言うのはちょっと恥ずかしいですね……」


「もう一声欲しいな」


「えぇっ…… う、うーん…… じゃあ、だ、大好きですっ……!」


「……ふふ、カスミは本当に可愛いな。 私も好きだよ」



 そう言ってクリスタは、カスミの額にキスを落として、ぎゅーっと体を抱きしめてきた。


 カスミも恥ずかしがりつつも、クリスタの胸元に顔を埋めて甘え、その後はゆっくりと眠りに落ちていくのであった。

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