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#120 パーティーハウスにご招待

「いやー、まさかカスミがビフレストのメンバーだなんてなぁ」


「本当に奇遇ですね」



 公園で行き倒れていた冒険者のツキと知り合ったカスミは、一緒にパーティーハウスを目指して歩いていた。


 どうやらツキの目的はビフレストのメンバーらしく、カスミが最近ビフレストに新しく入ったメンバーであることを伝えると、大層驚かれた。



「ってことは、カスミは冒険者見習いって感じなん?」


「いえ、冒険者登録はしてますけど、戦ったりはしないです。 私はパーティーハウスのお掃除をしたり、皆さんの食事を作るのが役割と言えば役割ですね」


「ほぉー、あの癖強のビフレストメンバーに気に入られるなんて、カスミはええ子なんやねぇ」


「あ、ありがとうございます? ところでツキさんは、ビフレストの皆さんと仲が良いんですか?」


「いんや、特段仲がええ訳じゃないなぁ。 友達未満、知り合い以上って感じやろか?」


「そうなんですね」



 それでも、ビフレストのメンバーと顔見知りだという人には今までそんなに会ったことが無いので、カスミ的にはツキに会えて良かったと思っていた。


 カスミが知らないビフレストのメンバーについての話が聞けるかもしれないので。



「最後に会ったのも20年くらい前やからね。 今回もたまたまこっちの方に用事があったからついでに顔でも見ようかと思っただけやし」


「ってことは、ツキさんも長命種なんですね」


「おっと、妾はまだまだピチピチの女子やさかい」


「そうですね。 ツキさんとっても綺麗です」


「ふふ、おおきに。 カスミも可愛ええし、見た感じ結構魔力持っとるなぁ? 長生きするんちゃうん?」


「そうみたいですけど、あんまり実感ないんですよね」


「それに、子供の姿でそこまで魔力高いなら、ずっとその可愛ええ姿のままかもしれんねぇ。 羨ましいなぁ」


「えっ、そうなんですか!?」



 まさかの新事実に、カスミは思わず驚きの声を上げた。



「長命種は体内の魔力が一定量を超えると、老化がほぼ止まるんよ。 その一定数値は種族によって異なって、ヒト種族がその数値に辿り着くには稀代の天才でも2〜30年はかかるもんや」


「ふむ……?」


「だからヒト種で寿命が伸びた者はその辺で老化が止まるんやけど、カスミの体内の魔力量はもうその一定数値に届きかけてるから、このまま魔力量増えたら今の姿で老化止まるんちゃう?」


「そ、それはちょっと問題ありますね……」


「なんでー? 可愛いからええやん」


「いや、中身が大人で体が子供だと色々不都合が……」



 実際、今の状況がまんまそれで、しかもそれがこの先ずっと続くとなると、手放しでは喜べないカスミだった。



「まぁ、カスミももう少し長生きすれば慣れるさかいな。 歳食うと周りにどう思われようがそんな気にならなくなるよ」


「そ、そうですかね?」


「せやでー」



 のほほんとした様子でそう言うツキは、確かに先程からその美貌ですれ違う者の目線をかなり集めているが、気にした様子はかけらもなかった。



「クルルー」


「わっ、ガリュウさん?」


「自分も長生きだから一緒やでーって言ってるんちゃう?」


「クルル♪」


「ふふ、そうですか。 確かに、ガリュウさんやビフレストの皆さんが一緒なら、いつまでも楽しく過ごせそうです」



 色々と長生きするにあたって不安はあるが、今考えてもどうにもならないので、ひとまず今を楽しんで生きようとガリュウの頭を撫でながら思うカスミだった。



「あ、着きましたよ」


「ほぉ、ここがビフレストの拠点なんやね」



 そうこうしていると、カスミ達はビフレストの拠点に辿り着いた。



「にしても、なんや厳重な結界張られとるなぁ? これ、カスミと一緒なら通れるみたいやけど、妾一人じゃ通れなさそうや」



 ——ガチャ



 ツキがビフレストのパーティーハウスの防犯設備に感心していると、パーティーハウスの扉が開いた。



「カスミの横に強え奴の気配があったから一応出てきたが…… お前か、ツキ」


「お、アネッタやんか〜。 久しぶりやねぇ」



 開いた扉の先から出てきたのはアネッタで、カスミを害する存在かもしれないと警戒していたようだが、それがツキだと認識すると、ふっと肩の力を抜いて警戒を解いた。



「なんでお前がこの街に…… というか、カスミと一緒にいるんだ?」


「たまたまこの街の近くで依頼があって、終わらせたついでに顔でも見ようかと思ってきたんよ。 けど、この街の道が複雑でなぁ。 迷って暑さで倒れたところをカスミが助けてくれたんや」


「別にこの街はそんな複雑じゃねぇだろ。 地図付きの看板だってそこら辺にあるし」


「えー? 地図見ても全然分からんかったよー」


「……相変わらずだな」



 どうやらツキが色々抜けてる部分があるのは周知の事実のようで、アネッタはどうしようもない相手を見るような目をツキに向けていた。



「立ち話もなんですから、とりあえずツキさん、中へどうぞ」


「ええのん? ほな、お邪魔しよかな」



 それからカスミはツキをパーティーハウスの中に迎え入れ、リビングに案内した。



「む、ツキか。 久しぶりだな」


「おー! ツキだ!」


「久々〜……」


「なんでここにいるにゃ?」


「おーおー、皆さんお揃いやないの。 お邪魔するで」



 今日はビフレストの面々は全員家におり、各々寛いでいたところにツキが来て、皆思い思いにツキに言葉をかけていった。


 そんなビフレストのメンバー達に、カスミは先程アネッタに説明したツキとの出会いを簡単に説明した。



「相変わらずにゃー」


 

 ツキがその辺で行き倒れたという話を聞いて、ローニャがツキに呆れながらそんな風に言う。

 


「暑くて死ぬかと思ったわー。 にしてもローニャ、元気そうやね」


「そっちこそ変わってないにゃー」


 

 同じ獣人で同郷だからか、ツキは特にローニャと仲が良さそうだった。



「アネッタもそうやけど、ギャンブル狂いのローニャまで家にいるとは思わんかったな。 良くて一人二人と会えたら御の字くらいに思っとったんやけど」


「ふふん、ローニャはもう前までのローニャじゃないにゃ! 最近はもう、週に一回行くか行かないかくらいしか賭場には行ってないにゃ!」


「えー、嘘やろ? 昔っから毎日賭場に通っとったのに」


「カスミと出会ってローニャは変わったにゃ! 何なら他の皆んなもそうにゃ!」


「ほえー、そこまで言わせるなんて、カスミは凄い子なんやねぇ」


「あはは…… そんな特別なことしてるつもりはないんですけどね」


「ツキもカスミのご飯食べれば分かるにゃ!」


「ご飯ー? そんな特別なん?」


「もう世界が変わるにゃ!」


「それは気になるなぁ」


「えっと、じゃあ、昼食作りますね?」



 ちょうど時刻もお昼時なので、カスミはツキの分の昼食も用意することにした。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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