#111 ガリュウと対面
昼食を食べ終えたカスミとミーユイアは、食後の紅茶を飲みながらのんびり話をしていた。
近くの席にはミシュテとカノム、あとメイドもいたが、カスミとミーユイアが2人きりで話せるように、少し距離を置いてくれていた。
なお、護衛騎士の2人は、先程部屋から出てきたアネッタと庭で模擬戦をしていた。
昼食中は気を遣ってビフレストのメンバーは各自リビング以外の場所にいたようだが、ミーユイア目線から言えばお邪魔してる立場なので、いつも通り過ごして欲しいとのことだった。
そのため、アネッタもリビングにやって来た訳だが、帯剣している護衛騎士を見て戦闘欲が湧いたのか、アネッタの方から模擬戦しないかと誘っていた。
それを受けた護衛騎士の2人は、護衛対象のミーユイアから離れてしまうので最初は難色を示したが、当のミーユイアがこの家の中で護衛が必要になることは絶対に無いから好きにしていいと言ったところ、嬉々としてアネッタの誘いを受け、現在庭で絶賛模擬戦中だ。
「そういえばカスミ、従魔が仲間になったって聞いたけど、どこにいるの?」
「私の部屋にいると思います」
「問題ないなら会ってみたいわ!」
「分かりました」
「カスミの部屋も見てみたいしねっ」
「あんまり面白いものは無いですよ……」
ということで、カスミはミーユイアと共に2階に上がり、カスミの部屋に入っていった。
「zzz……」
するとそこには、少し前に作った小さなハンモックの上で寝ているガリュウがいた。
ガリュウにも専用の寝る場所があった方が嬉しいかなと思って作ったものだが、かなり気に入ってくれたようで、寝る時はいつもここで寝てくれているのだ。
「可愛い……! けど、なんの魔物なのかしら?」
「あー……」
一応ミーユイアには、従魔ができたということは伝えたものの、どんな魔物かは伝えていなかった。
これが特に関わりのない人だったらワイバーンの子供だと伝えるのだが、ミーユイアに嘘を付くのはちょっと心苦しいし、ミーユイアは変に秘密を言い触らしたりはしないと思うので、カスミはガリュウの正体について教えることにした。
「ガリュウさんって言うんですけど、実はドラゴンなんです」
「えっ、ドラゴンって、凄い強い魔物よね?」
「はい。 魔物に限らず、この世界における最強の生物って言ってもいいと思います」
「こんな可愛いのに……?」
「本来のガリュウさんは凄く大きいですよ。 私が背中に何十人も乗れるくらいです」
「そうなのね……!」
「クル……?」
そんな風にガリュウについて話していると、寝ていたガリュウが目を覚まし、カスミとミーユイアの方へ顔を向けてきた。
「あ、起こしちゃいましたかね?」
「クルー」
気にしてないよーといった感じでガリュウは一鳴きすると、むくりと体を起こし、ぐーっと体を伸ばしていく。
そして、パタパタ翼を動かして飛び上がり、カスミ達の目の前までやってきた。
「クル?」
「こちらは私のお友達のミーユイア様です」
「初めましてガリュウ様。 ミーユイアと申します」
ミーユイアはそう言いながら綺麗なカーテシーを披露した。
「クルル♪」
そんなミーユイアに対してガリュウは、よろしくねーと言わんばかりに一鳴きしつつ、ミーユイアの周りをくるくる飛び回ってくれた。
「本当に可愛い……! 私もこんな可愛い従魔が欲しいわ」
「うーん、従魔は難しくても、何か動物を飼ったりするのは良いんじゃないですか?」
「動物を? 馬とか?」
「いや、普通の犬とか猫とか…… あ、もしかして、あんまりそういうことってしないですか?」
「そうね。 馬とか番犬はともかく、普通の犬とか猫を飼う人はいないわ」
地球では馴染み深い、愛でるためにペットを飼うという文化はどうやらこの世界には無いようだ。
「でも確かに、可愛い動物が身近にいる生活って楽しそうね」
「楽しいと思いますよ。 ちゃんとお世話をしないといけないですけど」
「確かにね。 ちょっと考えてみるわ」
「クルルー」
「ふふ、ガリュウ様みたいに賢いパートナーが欲しいわ」
「クルルー♪」
ミーユイアに褒められたガリュウは、ご機嫌そうにミーユイアに頭を差し出してなでなでを要求していった。
「撫でて良いのかしら?」
「良いと思いますよ。 ガリュウさん、頭や背中を撫でられるのは好きです」
「そうなのね。 じゃあ…… わぁ、ツルツルで手触り良いわ♪」
「クルゥ♪」
要望通りのなでなでがもらえて、ガリュウはとても嬉しそうに喉を鳴らした。
普通ドラゴンは誇り高い生き物なので、こんな風に頭を差し出したりはしないものだが、ガリュウはアネッタに昔ボコボコにやられてから、人間にも強い者がいるし、カスミと出会ってから心が綺麗な者もいると考えを改めたので、心が綺麗なミーユイアには普通に懐いていた。
アネッタが今の少女2人に可愛がられるガリュウの姿を見たら微妙な表情を浮かべそうだが。
それからミーユイアが気の済むまでガリュウをなでなでした後は、皆でリビングに戻って雑談に花を咲かせるのであった。
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