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#107 帰宅、からのオセロ

「送っていただきありがとうございました」



 ハンソンの街での滞在も終わりを迎え、カスミ達ビフレストの面々とマリンはガリュウに乗ってサミアンの街へと帰ってきていた。



「こちらこそ、色々案内もしてもらいましたし、何よりとっても楽しかったです。 ありがとうございました」


「ふふ、故郷を気に入ってもらえたと思うと嬉しいですね」


「またそう遠くない内に行くと思いますので、その時は声かけますね」



 今回の滞在のおかげで、フィオの転移魔法でいつでもハンソンの街へ行くことができるようになった。


 なので、今回買い込んだ海産物が無くなりそうになったら、またハンソンの街に行くつもりだ。


 ビフレストのメンバーがよく食べることも考えると、その日はそんなに遠くないだろうなとカスミは思っている。



「では私はこの辺で」



 それからマリンとは街に入ったところで別れ、カスミ達もパーティーハウスへと歩を進めていく。


 ちなみにガリュウは小さい姿で装身具を付けているのを見せたら、すんなり街に入れてもらえた。


 ガリュウ自身もカスミ達と共に暮らすことに喜びを見出したらしく、これからも一緒にいてくれるようだ。


 そんなカスミ達がパーティーハウスに辿り着くと、中は案の定埃まみれになっており、今回も帰宅早々大掃除をすることとなった。



「クルルー」


「ふふ、ガリュウさんありがとうございます」


「クル♪」



 そうして始まった掃除の時間においては、ガリュウが大活躍で、高い位置にある窓や棚の上、天井から吊るされている照明など、カスミ達では手の届かない場所を雑巾やはたきを今日に使って掃除してくれた。


 以前まではフィオやクリスタが風魔法で飛んでやったりしていた作業だが、多少なりとも疲れるので、息をするように飛ぶことができるガリュウがその作業をやってくれるのは大助かりだった。


 そんなガリュウのおかげでそこまで時間もかからず掃除を終えたカスミ達は、シャワーを浴びてのんびり過ごすことにした。



「あ、そうだ!」



 そんな中、レネが何やら思い出したかのようにソファからぴょんっと飛び降り、テテテーっと地下の工房に駆けていった。


 追いかけようかなとカスミは一瞬思ったが、恐らく何かしらの作業をすると思われるので、邪魔にならないよう追いかけるのはやめておいた。


 それから1時間ほどカスミが久しぶりのパーティーハウスのリビングでくつろいだり、ガリュウにパーティーハウスのあんないなどをしていると、レネが何かを持って戻ってきた。



「カスミちゃん!」


「はい?」


「この前話してたやつ作ってみたよ!」



 そう言いながらレネは、四角い少し厚みのある板状のものをテーブルに置いた。


 その板には格子状に模様が刻まれており、左右の少し窪んでいる部分には丸い小さな板が無数にセットされていた。



「あ、オセロですか」


「そう!」



 それはカスミにとっては馴染み深いオセロ盤で、ハンソンの街の宿で暇な時にトランプで遊ぶことが多々あったのだが、その時にオセロの話をチラッとしたのだ。


 その時は作業ができる環境がなかったので、オセロ盤を作ったりはしなかったのだが、帰ってきて物作りができる環境があることを認識するや否や、オセロ盤を作ってみたくなったようだ。


 ハンソンの街にいる間は物作りができなくて、色々作りたい欲が溜まっていたのも理由の一つだろう。



「とりあえず作るだけ作ってみたけど、どうやって遊ぶのかあんま分かんないから教えてー!」


「ふふ、分かりました」



 そんなこんなで作ってくれたオセロ盤で、早速遊ぶことにした。


 オセロ盤を挟んでレネと向かい合う形でソファに腰掛けたカスミは、早速ルールを説明することにした。


 ちなみに他のメンバー達も、新しい娯楽ということもあって興味津々で覗きにやってきた。



「まず、最初は真ん中にこんな感じで駒を置きます。 私が白でレネさんが黒ですね」


「ふんふん」


「そうしたら、交互に新たな駒を置いていくんですけど、こうやって相手の駒を自分の駒で挟むように置きます。 挟んだら駒はひっくり返って私の色になりますね」


「挟めるところ以外に置いちゃダメ?」


「そうですね」


「じゃあ、ここ!」



 とはいえ、オセロはとても簡単なルールなので、そこからはパチ、パチと交互にカスミとレネは駒を置いていった。



「こうやって進めていって、すべてのマスが埋まったところで駒の色が多い方の勝ちですね」


「なるほどね! お、ここいっぱいひっくり返る!」



 その後も順番を進めていき、7割ほどマスが埋まったところではレネの方が目に見えてリードしていた。



「ふふん、このまま行ったら勝てそうだね!」


「ふふ、まだ勝負は終わってませんよ」



 ただ、オセロというのはルールは簡単だが意外と奥深い。


 その証拠に、3手ほど順番が進んだところで……



「あ、あれ? 置ける場所が、ない……」


「そうなったら、自分の番はスキップされます」



 駒数はレネの方が若干リードしていたが、カスミの駒を挟める場所が無くなり、出番がスキップされた。


 その後もカスミが何度も連続で駒を置き続け、たまにやって来たレネの番も、数枚ひっくり返すのみで、返しにカスミが駒を置くと、またレネが駒を置ける場所が無くなり、結局そのままレネの番が来ることはなく、ほとんどカスミの色しか盤面上に無い状態で全てのマスが埋まってしまった。



「ま、負けたぁ……! ボコボコだぁ……!」


「ふふ、オセロにはちょっとしたコツがあって、知ってると知ってないとじゃ結構違うんですよ」


「そうなんだ! でも、面白いね! トランプより戦略性があって奥も深そう!」



 トランプで行うゲームはものにもよるが、運要素が絡むことがが多いのに対して、オセロは結構戦略性があって実力差が割と如実に現れる。


 だからこそ同じくらいの実力でやると結構面白く、その後対戦相手を変えながら行われたオセロ大会は大いに盛り上がった。


 しかも全員飲み込みが早く、カスミが少しコツを教えただけであっという間にカスミと同じレベルには到達し、終盤はカスミも勝ったり負けたりするようになった。


 そんな大好評のオセロの時間はしばらく続き、夢中になり過ぎて夕食の時間が少し遅れ、夕食を食べた後にもまたオセロ大会が始まったのはご愛嬌だろう。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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