#105 完熟マンゴーでスイーツを
「甘いもの食べたいにゃ!!」
ハンソンの街での滞在もあと数日といった今日この頃。
宿の部屋でのんびり過ごしていたカスミ達だったが、おもむろにローニャがそんなことを言い始めた。
「急にどうしたのさ?」
「急に衝動が湧いてきたにゃ!」
近くにいたレネが呆れたような声色で尋ねると、ローニャは解答になっているかは微妙だが、そう返した。
それを受けたカスミが、ふむと顎に指を当てて思い返すと、確かにこの街に来てから果物以外の甘いものは作ってなかったなと自覚した。
「それじゃあ、何か作りましょうか」
「ありがとにゃー!」
ちょうど時間もおやつの時間としてはちょうどいいくらいなので、カスミはキッチンに移動して、甘いもの作りを始めることにした。
言い出しっぺのローニャも何も言わずとも手伝いに付いてきたので、とりあえず使う果物のカットを協力して行うことにした。
「これをまずは切っていきます」
「見たことない果物にゃ」
「こちらはマンゴーという果物ですね」
今回カスミが用意したのは、ハンソンの街の特産品だというマンゴーだ。
日持ちがそこまで良い果物ではないので、あんまり他の街などには出荷していないそうで、カスミもこの世界では初めて見た果物だ。
「このまま食べてもすごく美味しいですよ。 こうやって切れば食べやすいですし」
「おー、すごい綺麗にゃ!」
カスミがマンゴーをよく見る格子状に切り込みを入れたダイスカットにすると、黄金と言っても良いくらい輝いている身が花咲くように開き、その綺麗さに思わずローニャは感嘆の声を漏らした。
「まぁ、今回はミキサーにかけるので、皮を取ってくれれば大丈夫です」
「分かったにゃ」
それから使う分のマンゴーの皮を剥き、それらをミキサーにかけてペースト状にしていく。
その作業をローニャに任せ、カスミはボウルに水と、あるものを加えていく。
「ん? カスミ、なに入れたにゃ?」
「今入れたのは粉ゼラチンですね」
そのあるものというのは、カスミのスキルで作り出した粉ゼラチンだった。
相変わらずカスミのスキルは判定が謎で、どうやら粉ゼラチンは調味料に含まれるらしく、この前試したら作り出すことができたのだ。
「それ使うとどうなるにゃ?」
「うーん、口で説明するのはちょっと難しいので、見てもらった方が早いですね」
とりあえず、粉ゼラチンは5分〜10分ほど水を吸わせないといけないので、その間にミキサーにかけたマンゴーを網目の細かいザルで裏ごしし、鍋に水、砂糖と共に入れて、砂糖を溶かすために軽く混ぜながらひと煮立ちさせる。
それが済んだら火から降ろして粗熱を取り、水を吸っていい感じにふやけたゼラチンとレモン汁を少々加えて混ぜ合わせていく。
「おー、なんかとろとろしてるにゃ」
「あとはこれをグラスに注いで…… フィオさーん」
「は〜い……」
ゼラチンを加えてとろとろになったマンゴー色の液をグラスに注ぎ終えたら、冷蔵庫にしまってフィオにタイムシフトの魔法で2時間ほど時を進めてもらった。
冷蔵庫の中身は、今中に入れたマンゴーのスイーツ以外は2時間くらい時が進んでも大丈夫なものしか入っていないので、問題なしだ。
「これで完成ですね」
「おー! もう美味しそうにゃ!」
そうして冷やしたことで出来上がったのは、綺麗なオレンジ色のマンゴーゼリー。
しっかり固まった表面にマンゴーを何個か乗せれば、短時間で作ったとは思えないくらい見た目も華やかなものになって、カスミとしても甘いものを作りたい欲が消化できて非常に満足のいく一品になった。
そんなマンゴーゼリーをテーブルに運び、皆で早速スプーンを使って口に運んでいく。
「ん! ぷるぷるしてて美味しいにゃ! ちゃんと甘いのも最高にゃ!」
今回のマンゴーゼリーを作るきっかけになったローニャからしたら大満足の一品だったようで、尻尾をゆらゆら耳をピコピコさせながら喜びの声を上げてくれた。
「また新しいタイプの甘いものだな。 ケーキやクッキーなんかと肩を並べられるものがまだあるとは」
「食べやすくていいですよね」
そんな美味しい甘いものを短時間で作ってしまうカスミに、クリスタは改めて一目置くような表情を向けつつ、感謝と美味しいの言葉をカスミの頭を撫でながら伝えてくれた。
そんなマンゴーゼリーはあっという間に無くなり、他の果物でも作れるとカスミが言ったところ、ぜひ食べたいと全員から言われたので、すぐ食べられる甘いものとしてストックしておこうかなとカスミは内心考えるのであった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
まだ送ってない方は★★★★★評価やブックマーク、いいね等を送ってくださると嬉しいです!
作者の執筆のモチベが上がりますので!
感想もいつでもお気軽に送ってください!




