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#100 遭遇

 豪華なバーベキューも一段落した後、カスミは食休めに少し砂浜を散歩したり、パラソルの下でのんびり海を眺めたりして楽しい時間を過ごしていた。


 そして今は、マリンとレネ、ガリュウと一緒に海に入っており、海人族であるマリンに泳ぎを教えてもらっていた。


 海人族は水中で呼吸はできないものの、肺の作りが普通のヒト族とは異なり、酸素をより多く溜め込める酸素ボンベ的な機能があるそうで、かなり長い時間潜水していられるし、泳ぎも生まれつき得意なんだそう。


 実際、マリンにお手本で軽く泳いでもらったのだが、カスミの前世で言うところの水泳選手のような華麗なフォームですいすいと泳いで見せてくれた。


 ちなみに海に入るにあたって、マリンはバーベキューの時に着ていたシャツとショートパンツを脱いでおり、その下には群青色の大人っぽいビキニを身につけていた。



「ふぅ、結構上手く泳げるようになった気がします」


「うん、上手くなってますよ!」


「ありがとうございます、マリンさん」


「いやー、ちゃんとした泳ぎ方学ぶと変わるもんだねー」



 そんな泳ぎの得意なマリンに教わったおかげで、カスミは1時間ほどの練習で中々スムーズに泳げるようになった。


 カスミの水泳経験は学生の時のプールの授業くらいで、正しい泳ぎ方を身につけることはできていなかったんだなと、改めて泳ぎ方を教わって痛感した。


 まぁ、学校の授業では中々一人一人に教えるなんてことは先生の生徒の比率的にも難しいし、その頃のカスミは体育の授業が嫌いなタイプだったので、あんまり熱意を持って取り組んでいなかったというのもある。



「クルゥ?」


「うん? どうしましたか、ガリュウさん?」



 そんな中、カスミ達の近くで気ままに泳いだりしていたガリュウが、急に首を伸ばしてキョロキョロし始めた。



「何か見つけたの、ガリュウ?」


「クルー?」



 どうやら、何かを見つけたというわけではないが、気になることがあったようで、その後も少しキョロキョロした後、何か感じるものがあったのか、ビーチの端の方へと飛んでいった。


 そんなガリュウの様子が気になったカスミ達も、ガリュウの後を追っていく。


 そうして辿り着いたのは、ビーチの端の方にある人気のない岩礁地帯で、ガリュウはカスミ達がいる砂浜からは見えない岩陰に飛んでいった。



「ガリュウさーん、大丈夫ですかー?」


「クルルー」



 小さい姿になっていてもかなり強いガリュウなので、大丈夫だとは思うが、一応カスミは心配の声をガリュウにかけた。


 それに返事をしたガリュウは、その数十秒後くらいになにかを咥えてカスミ達のところへ戻ってきた。



「わっ、ガリュウさん、それは……?」


「カスミちゃん、あれ魔物だ。 マリンと一緒に下がって?」



 どうやらガリュウが咥えてきたのは魔物らしく、レネが警戒しながらカスミとマリンを守るように立ち塞がった。



「魔物…… いやでも、弱ってる……?」



 だが、ガリュウが咥えている体長1メートルくらいの生物は、なんだかぐったりしているようにカスミには見えた。



「クルルー」


「キュゥ……」



 そんな魔物をガリュウは波打ち際に降ろすと、その魔物はか細い鳴き声を発しながら地面に横たわった。



「この魔物は…… マリンフェアリーですかね?」



 その魔物は、全体的に丸みを帯びたイルカのような体の形と空色の体色をしており、頭の上には先端に膨らみがあるアンテナのような触覚が生えていた。


 その特徴を見たマリン曰く、この魔物はマリンフェアリーという種類らしい。



「マリンフェアリーって、確か深海にいる魔物で、結構デカいよね?」


「はい。 何もしなければ人に害をなすことはないので、討伐対象にはなっていない魔物です。 体長は確か3mくらいのはずですが……」


「小さいね?」



 レネの言う通り、目の前のマリンフェアリーは1メートルもないサイズで、危険が無いと知ったカスミからすると、なんだか可愛く見えてきた。



「もしかして、子供なんですかね?」


「うん、そうだと思う」


「クルルー」


「ガリュウさん、この子を助けてあげたんですか?」


「クルゥ!」



 どうやらガリュウはこのマリンフェアリーの子供のSOSを察知したらしい。


 それからガリュウにそれとなくジェスチャーを交えながら話を聞くと、どうやらこのマリンフェアリーは、岩礁の岩場に挟まって身動きが取れなくなっていたようだ。



「結構な時間ここで身動き取れなかったということは、お腹空いてるんですかね……?」


「そうかもね」


「レネさん、この子にご飯をあげても良いですか……?」


「助けてあげたいの?」


「はい…… だめ、ですかね……?」



 魔物であっても、子供が一匹で餓死しそうになっている姿を、カスミは見過ごすことができなかった。



「うーん、まぁ、マリンフェアリーなら大丈夫かな。 マリンはどう思う?」


「良いと思います。 マリンフェアリーは中々お目にかかれないですし害もありませんから、この街では幸運の象徴みたいな扱いされていますし」


「まぁでも、一応他の人には内緒ね?」


「分かりました! 何か食べられそうなもの取ってきます!」



 レネとマリンに許可を得たカスミは、パタパタと小走りで食材が入っている自分のポーチを取りに行く戻るのであった。


 

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