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街人  作者: 橋本樹実
25/33

魔女の街

てくてく歩きながら言う。

次は魔女の街か。

帆咲が言う。

「シェリー」

とぼそっと呟くのは元気のない風雨。

百万回生きていると言っても悲しみは薄れない物なのだろうかと帆咲は思った。

「おやおまえさん、ただの猫じゃないね。何ものだい?」

帆咲は言う

「百万回生きた猫らしいです」

「そうかい、そいつはいい。涙をもらえんかね。若返りの薬の材料にしようと思う」

「どう?」

「いや」

風雨は首を横に振った。

「そりゃ残念だい。だが、気をつけなお前さんは価値のある存在だ。

狙われないように其処の坊やに守ってもらいな」

「自分のみくらい自分で守れるよ」

「ありゃ」

と通りすがりの魔女は言った。

「坊やこの猫は隠しておいといたほうがいい。そのフードの中に入れてみてはどうだね」

「風雨!」

「ん、もう」

ぴょんと帆咲のフードの中に隠れた風雨。

「これでよし。この街から一刻も早く抜けるんだよいいね?」

「はい」

帆咲はヒトの目を盗んでこの魔女の街から抜けだしたのであった。

「もうでてきてもいいよ」

街を抜けた先の夜の海にいた。

砂浜に着地する風雨。

「ふう」

「危なかったね。なんどもバレそうになった」

「俺はばれても構わなかったがな」

「もし、ばれたらどうするつもりだった?」

「相手の喉を噛みちぎってやるつもりでいた」

「複数ならかなわないだろ。あんまり自分を過信するもんじゃないよ風雨」

「帆咲は心配性だな」

「風雨が怖いもの知らずなんだよ」

「あ、流れ星」

「どこどこ?」

「もう流れていっちゃたよ」

「何を願ったの」

帆咲が聞くと風雨はこう答えた。

「シェリーにもう一度会いたいだよ」

「僕じゃダメ?」

帆咲が聞く。

「帆咲はまだまだ子供だから物足りないんだよ」

その言葉に肩を落とす帆咲。

でもシェリーには負けるが、お前のこれからに期待している」

あの時あの場所から俺を連れ出してくれたんだから。

「そっか」

帆咲は嬉しそうに笑っていた。

「ありがとう、風雨」

「フン」

満天の星を見上げながら明日はどんな街に行こうかを考えながら寝袋に入った。

風雨も帆咲と一緒に寝袋の中に入ったのだった。

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