最期
父の希望で、自宅で過ごしたいと、医者に伝え、父は最期の時間を階道家で過ごす事になった。
母は、父との残り少ない時間を大切にする様に、父の世話をしていた。できる限り、父の側にいた。
母と同様、俺も父の側に、できるだけ付いていた。父のためというより、俺がそうしたかったからである。
そして、父がこの世を去る時がきた。この時に、俺が、父の人生を、書き残そうと決意をする、決定的な出来事が起きた。
「父さん、人生はどうでしたか?」
俺が父に聞くと、父は初めて俺に、父親としてではなく、人間として、悔しい気持ちを吐露した。
「社会に適合できる人間になりたかった。だが、それは一生かかっても、なれなかった。どうしようもない僕と結婚してくれた文子、そして、僕を父と呼んでくれた子どもたちに、感謝している」
俺に言わせれば、社会に適合できる人間かどうかなど、大した問題ではない。しかし、父が、一生かかってもなれなかったと言うほど、思い詰めていたのは、紛れもない事実である。そして、社会において、父が不利であったのも、推察できる。
この言葉を最後に、父は息を引き取り、俺は、父の生涯を誰かに伝えたいという衝動に駆られた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
この話は、今回で完結です。
何回も投稿が止まってしまい、申し訳ございませんでした。
長期間に渡って読んでくださったこと、感謝申し上げます。




