魔王の子、洞窟で魔鉱石を拾う。
・・・あれから更に2年の月日が流れた。ギルファスは、18歳になった。
今は、洞窟の中。
ギルファスが洞窟で魔素を吸収した元人間の魔物は、自分の名前すら覚えていなかった。理性を取り戻し、ギルファスの家来になりたいと言う彼にも、ギルファスは名を与えた。『フラー』意味は、トネリコの木。本来はフラーンだ。そう付けようとしたのだが、皆に呼びにくいと言われ、結局フラーになった。
「私は貴方様に忠誠を誓います!どうか、どうか共にお連れ下さい!!」
「そう言われてもなあ・・・お前ガイコツだし・・・そのままじゃ村に帰れないだろ。」
「はっ!大丈夫です!お任せを!魔術なら私、得意ですから!!」
フラーは人間の姿に変わる。青い髪、だが肌は・・・死人と同じ顔色だ。
「いやいや、それじゃどっからどう見ても死人が蘇った感じだろ・・・死臭もするし・・・。」
「えっ!?臭いですか!?(ガーン)」
「はあ・・・仕方ないな・・・ほら、これで少しは変わるかな。」
ギルファスは、魔術で片眼鏡を創り出す。
「なあ、オーム、この眼鏡に軽めでいいからさ、精神支配の魔術をかけてくれ。そしたら、ちょっとは死臭も気にならなくなるだろ?」
「なるほど。それはいい案だな。よしっ。」
ギルファスが創り出した眼鏡に、オームが精神支配の魔術を施す。
「わあああああ!有難う御座います!私、貴方様に一生お仕え致します!!」
(いや一生って・・・こいつ不死だから、死なないよな・・・まあいっか。)
もう一人、ギルファスを勇者と勘違いした姫の名は、エリカ。ギルファス達はエリーと呼ぶことにした。
(エリーもとりあえず村に連れていくしかないかなぁ。行方不明の姫だ。いずれ捜索隊がやってくるかもしれない・・・だがエリーは帰りたくないと泣く。森に囲まれた村なら、しばらくの間は安全だろう。)
ギルファスが事情を聞くと、エリーの両親である王と王妃は既に亡くなり、皇国と手を組みたい大臣に、無理矢理嫁がされそうになっていたらしい。
そして・・・ギルファスとエリーは、互いに意識しあっていた。
「なあギル、その石はなんだ?」
新しい仲間を連れて村に帰る途中、オームがギルファスの手を見て言う。ギルファスが手にしているのは紅い石。
「あ、これ?フラーの洞窟で見つけた。最初は無色透明だったんだけどさ・・・オレが持ってたら、なんか紅くなっちゃったんだよね。」
「ふーん、魔素を含んだ、魔鉱石ってとこか・・・けどそんなのどうするんだ?お前には必要ないだろ?」
「ま、そうなんだけどさ。実は、今ザックさんと木工品以外のこの村の特産品を考えてたんだ。この村がもっと栄えるには、すーべにあとか言う土産ものなんかあればいいんじゃないかって、ユージの案だよ。な、ユージ?」
洞窟を出てから、ずっと考え込む様にしていたユージは、答えない。
「あれ?ま、とにかく、これでなんか小さな装飾品でも造ってみようと思って!でも指環じゃでかいよな・・・そうだな、たとえば首飾りとかさ。」
「そうだな。いいんじゃないか?普通の人間には、御守りくらいにはなるかもしれないな。フラーが居なくなった事で、洞窟にも入りやすくなっただろうし。」
「おお、お帰りなさいませ、久し振りの街は如何で御座いましたかな?」
「あ、オームさん!セル様のひいおじいちゃんの住んでた村に行ったら、すごい栄えてました!!」
「・・・男ばかりだったな・・・。」
「左様でございましたか!懐かしいですな、昔は長閑な村で御座いましたが・・・。」
「あ、セル様にそっくりな銅像が建ってました!!あれって・・・。」
「ええ、まさしく、我が王の曾祖父上様の像で御座いましょう。ユージを探す旅に出ながらも、木こりとして村の発展にも努めて居られましたから。人間共の間では、神出鬼没の伝説の木こり、とも呼ばれて居りましたかな・・・。」
「!?」
「セル様?何でそんな驚いてるんですか?」
「では・・・ユリに贈った首飾りを造ったというのは・・・まさか・・・。」
「え?」
「曾祖父上、だったのか・・・。」




