JK、魔王に恋をする。
パチッ・・パチッ・・
セル様とキャンプ中の森の中は、不気味なくらい静かだ。うとうとと眠っていたわたしは、薪のはじける音で目を覚ます。
辺りは真っ暗だけど、焚き火の炎で周りだけは、微かに明るい。セル様も一緒だし、怖くない。わたしはおっきな抱き枕みたいなのに寄りかかって、眠っちゃったみたいだ。まだ寝てても大丈夫かな?枕を抱き寄せようと手を回す。
・・・あれ、なんかコレ、動いてる?あったかいしちょっと硬いけど気持ちいいな。そもそも枕なんて持ってきてた?えーっと確かセル様の隣で話をしてたんだっけ・・・?
まだぼーっとする頭に、上から声が降ってくる。
「目が覚めたのか?このままで、暫し睡眠を取れ、疲れが取れぬぞ?」
えっ!?わたしセル様に寄りかかってたの!?・・・なにこの体勢!!わたしセル様を抱きしめてたの!?
「どうかしたか?」
一気に目が覚めた。ようやく視界がはっきりしてくる。大木に背中を預けて、わたしを抱きしめてるセル様に至近距離で上から見つめられて、わたし、死にそうです。
私はセル様を抱き枕にして、セル様の胸に抱き寄せられる形で、眠っていたようです。はい。
「・・・何かあっても、ユリのことは守るから安心して寝るがいい。」
いや、セル様安心て。安心て・・・この体勢はかなり危険だと思います!!!(別の意味で!!!)
抱きしめあっちゃってる形なのに、セル様はそんなわたしの無言の叫びを、夜の森がこわいとかとでも思ってるのか、頭を優しく撫でてくれる。なんでセル様はいつもそんなに冷静なの!?
あかん。あ、思わず関西弁になってしまった。
「・・・ユリ?眠ったのか?」
これは、もう、ちょっとなにも言えない。恥ずか死ぬ。抱きしめられた状態で、こっから逃げるとか・・・無理でしょ!!!
どうする!?いやいやもうこのままいっそ、眠ったふりして、ほんとに寝ちゃおう・・・。
・・・いまが夜で良かった。きっと顔もゆでダコみたいに赤くなってるはず。
とりあえずそのままセル様の胸に顔を埋めると、セル様は大きく息を吐いてから、わたしが眠りやすいように身体をずらしてくれた。
あ、セル様の心臓の音がする。魔族って、みんなこんなに心臓の音早いのかな。
でも安心する音だ。上から、セル様が音を立てない様に優しくブランケットを掛けてくれる。
わたしは心地良くて、そのままほんとに眠ってしまった。
・・・翌朝。目が覚めた時も、私はセル様の上にほとんど乗っかる形で寝てた。ヤバい。
よく寝れたな、わたし。昨夜の事を思い出して恥ずかしくなる・・・えっ、ちょ待って、わたしよだれとか、垂らしてないよね、あ、寝ぐせとか、大丈夫かな!?うん、とりま大丈夫みたいだ。うわー。なにこの状況!!!
こっそり上を向くと、セル様が美しい安らかな寝顔で眠っていた。・・・ああ、尊い。もはや神々しい。俗世とか、煩悩ってやつとか、全く関係無さそうだな、この人。心が浄化されちゃう寝顔だよね。ほんとに魔王ですか?セル様。
起こしちゃわないようにそーっとそーっとどいて、セル様の寝顔を観察する。初めて見れた。
あ、セル様寝ぐせ付いてる。無理な体勢で寝ちゃったからかな?起こしちゃわないように、優しくセル様の黒髪に触れる。あ、動いた。子供みたいにあどけない表情だ。眉毛が下がってる。あれ、ナニコレ。ちょっときゅんきゅんとかどころじゃないかも。これって・・・これって?
少女漫画か乙女ゲーみたいな、こんなベタすぎるシチュに、これで落ちない女子はいないんじゃない?
全身がカーッと熱くなる感覚で、自覚した。わたし、セル様好きになっちゃった。




