図書館クジラ
空飛ぶ図書館クジラが空を飛んでいた。空を飛ぶ郵便配達員たちは本を届けに来る。そのついでに休憩するのである。
そこでは、死神が絵本を読んでいた。タイトルは「月を喰らう獣」と書かれていた。休日だからだろう。死神が外にいるのは。いつも持っている大鎌は見当たらないのだから。
また、どこから現れたのかは分からないが、ホラ吹き詩人が空飛ぶ図書館クジラの図書館にいた。一見するとただの人間なのに、
どうやって来たのだろうか。人類未踏の地であるというのに。
彼は「夢の博物館」という本を手に取って読んでいた。おそらくは、今度のホラ吹き話に使うのかもしれない。
海底の郵便局は手紙がどこからか届いてくる。その手紙は扉の渦を通して、配達員に届けられるのだ。不思議な仕組みである。一説には、どこかの世界のワープ手段を応用しているのだとか。
真相は誰にも分からないけれども。
空飛ぶ図書館クジラの影を最小にしに修理人が現れる。影を扱うなら影の修理人に任せればいい。
影に対する扱い方などは彼の専門なのだから。
フクロウが飛んでくる。空飛ぶ図書館クジラの図書館に止まる。一見すると何の変哲もないフクロウなのだが、ただのフクロウでは無かった。というか、ただのフクロウは空飛ぶ図書館クジラにたどり着くことはできないのだから。もしかしたら海底にあると言われる時計塔から来たのかもしれない。扉の渦の使い手なのかもしれないけれども。
死神は読んでいた絵本を閉じた。読み終えたのだろう。内容を振り返っているのか、じっとしているが。
そこにホラ吹き詩人が声をかける。どうやら本の交換のようだ。彼は読み終えたであろう「夢の博物館」を手にしていた。死神は快く交換に応じる。互いに笑顔であった。
ホラ吹き詩人は「月を喰らう獣」の絵本を読み始める。今度のホラ吹きに使うのかもしれない。彼なりの解釈をしながら。そして、聞く人たちを楽しませるのである。
空飛ぶ図書館クジラは空を飛びながら心地良く眠っている。昼寝の時間なのだろう。起きて大欠伸する前に影を調整しなければ。地上からも海の表面からも見えない程度にまで、空飛ぶ図書館クジラが人前に現れたら大変なことになるのだから。
人々に読まれていない、読まれるべきでない禁書が眠っているのだから。読まれてしまったら世界各地が秘密が暴かれてしまう。それは避けなければならないことなのだから。
ホラ吹き詩人は人間ではない。人間のフリをした偽神の使徒である。だから神出鬼没の力を持っているのだ。図書館側はそのことを知っている。だから図書館を利用してもらっているのだ。
扉の渦の秘密は誰も知ることができないもの。人間たちがそれを使ってしまえば、良い結果にはならない。悪用されてしまうのだから。
もしかしたら、夢の迷い子ならば空飛ぶ図書館クジラに出会えるかもしれない。幼子だからこそ、夢で片付けられる可能性が大いにあるだろう。
しかし、一夜の幻夢を忘れられなかったとしたら、大人になってまで覚えてるとしたら、結果は違ってくるのかもしれない。
だが、それはいつ起きるのか分からないことでもあるがためにーー。




