喫茶店
令嬢と竜人は町にある喫茶店でお茶を飲んでいた。そこには様々な人がくつろいでいた。
目覚めた灯台守は眠気を覚ますためだろうか、コーヒーを飲んでいた。砂糖やミルクを淹れずにブラックを嗜んでいた。
石像たちの合唱団たちが修理を受けていた。今度はどんな歌声を奏でるのか、2人は気になっていた。
狼と少年の模様のローブを来た占い師が来た。彼女の占いは外れるばかり。逆にそれが成功した。逆のことをすれば良い結果へと導かれるのだから。
職人達が来店する。一息吐くためだろう。働き過ぎてもいけないが、怠け過ぎるのも良くない。バランスが大事なのである。彼らはそのことをわきまえていた。
行商人が来る。今度は何を持ってきたのだろうか。異国の地の物は見ていて楽しいものである。想像力が掻き立てられるから。詩人の中には異国の地の装飾品で詩を作るのがいるという。どんな詩を作るのか。詩人本人ですら分からないのだが。しかし、出来上がった詩をハープを奏でながら歌うのは楽しいのだという。
1人の裁判官が来店する。その顔はどこかやつれていた。難題にぶつかっているのだろうか。リフレッシュするために喫茶店に来たのかもしれない。問題が解決すればいいのだが。
彼が頭を悩ませている案件はどれも難しいもの。賢人の知恵を欲したくなる。どのようにすれば良い判決ができるのだろうか。前例の有無が鍵となるだろう。
神がいるならば、彼に知恵を与えてほしい。そうなれば、どんな問題であったとしても解決されるだろうから。
影の世界にはどうやって行けるのだろうか。滅んだ国の廃墟にある図書館ならば、その方法を知ることができると言われている。
影の国の賢人ならば知恵を授けてくれるかもしれない。書物に記してくれるかもしれない。影の国の文字はどんな文字なのか分からないけれども。
真の知恵の持ち主ならば、読んだだけで解読できる者がいるという。さすらいの旅に出て、もう何年も経っているらしい。今となっては行方知れずなのだが。生きているのか死んでしまっているのか、それはまさに偽神のみぞ知るということである。
星屑の鏡ならば場所を知っているのかもしれない。写し出された場所は、どこかの異世界かもしれない。そこは永劫の冬に閉じ込められているのかもしれないけれども。
ホラ吹きな詩人もいるという。あるいは彼こそが真の知恵の持ち主かもしれない。愚者を装うことによって知恵を示している可能性があるのだから。ホラ吹きは楽しませるためだけに使っているのかもしれないけれども。
令嬢と竜人はお茶を飲み終える。そして代金を支払い喫茶店を出る。散歩の寄り道としては、上々だったのかもしれない。
ささいな非日常を味わえば、日常というものの価値が見えてくるというもの。戦乱の世は遠くにある。もう過ぎ去ったのだから。
次の戦乱はいつだろうか。令嬢は思う。自分が老いて亡くなった後までは起きてほしくないと。戦乱の日々はもうこりごりなのだから。だから、今の日常は価値がある。掴み取った平和なのだから。
この夢はAIが視ている仮初の物語なのかもしれないけれどもーー。




