初めての宴
今回は【R15】らしい話な上に胸糞悪い展開なので…どうか、そういう話が嫌いな人やトラウマをお持ちの方はそっと回れ右してくださいね…この回を読まなくても大丈夫な感じにしますので。お願いしますm(_ _)m
※この物語の舞台は「古代◯ーマ帝国をモチーフにした架空の帝国」という設定です。色々と相違があるかと思いますが、大目に見てもらえると幸いです。
※この小説の主人公は「彼女」です。
召使いが部屋を退出した後、彼女は身に着けさせられたアクセサリーを全て外し、そして床に突っ伏して泣いた。故郷の村から将軍の邸宅までの長旅の疲れと、泣き疲れた事でいつの間にか眠ってしまったのだろう。気が付いたら夜になっていた。
―――今までのことが全て夢だったら良かったのに。
叶うはずもない願いを思わず呟いた。
彼女が目を覚ました時に先程の召使いが再び入室し、彼女の身なりをもう一度整え、そして
「この腕輪は将軍様のお妾様の証です。これだけは必ず身に着けさせるよう命じられましたので。」
そう言って彼女が外した腕輪をもう一度彼女にはめた。
彼女にはそれが、将軍から「逃げることは許さない」と暗に言われているような気がして、陰鬱とした気持ちになった。
身なりを整え直したあと、召使いの案内で大広間に到着した。そこは、平民である彼女にとっては"異様"な空間であった。
故郷の村の収穫祭にも酔っぱらいはいたが、全く似て非なるものであった。
大広間に集まった様々な階級の人々…上流階級も下級と思われる兵士も、好き放題食べ、呑み、歌い、喧嘩し、そして人目を憚らず女と密着している者さえいた。
昼の中央都市の風景を秩序とするなら、今目の前で繰り広げる光景は
―――混沌―――
田舎で穏やかに暮らしてきた彼女にとっては、落ち着かないなんてモノじゃない。思わず後ずさってしまった。正直、自室に逃げ帰りたかった。しかし、将軍の恐ろしい目に睨まれ、足がすくんでしまった。
ここにお座りください、と召使いに言われ示された場所に座る。そこは将軍のほぼ隣りだった。将軍の隣りは、他の妾達で埋め尽くされていた。リヴィアも負けじと将軍の近くに座っている。
ふと気付くと、大広間に居る男性達が「妾の新入り」に注目している。リヴィアはとても美しい娘であるから、人々の眼差しはウットリしているように見えた。それに対して、自分に向けられている視線は…美女に対する目線ではなく「物珍しい動物」でも見るような…なんだか不思議そうな感じがした。
(別に、美しいとか思われたい訳じゃないけど…こういう男性からの扱いの差は村とあまり変わらないな)思わず苦笑いしそうになった。彼女には「美女になってチヤホヤされたい」という願望が無いので、扱いの差で落ち込むことは無かった。
客達に振る舞われている料理が、彼女にも出された。
(なんだが見慣れない食材と匂い…)
それもそのはず、この料理は一般市民が到底手が出せないような高級食材で作られている。
彼女は一口食べてみた。…が、全く食べたことがない食材の味が、全く口に合わなかったのだ。
(今すぐ吐き出したい…でも、将軍の目の前でそんな事をしたら、何されるか分からない…)彼女は涙を堪えながら、口に入れた分はどうにか飲み干した。
その後は料理を食べる気にもなれず、ただひたすら周りを観察しながら過ごしていた。料理と共に出されたワイン入りの水のせいかボーッとする。
すると、将軍がリヴィアと共に退出した。リヴィアは上機嫌な顔をしている。他の妾達は悔しそうな顔をしている。
(なるほど…将軍は宴の後に抱く女性を選んでいるのか…)
彼女は将軍から抱かれるどころか触られたくもないと思っているので、この結末は願ったり叶ったりである。
将軍は威厳と威圧感があるからか、将軍が退出すると一気に場の緊張感が緩んだ。妾達は残念な顔をしながらそれぞれ退出したり他の客(上級貴族と思われる人)と話をし出したりした。
(将軍がいなくなったのなら、妾達は自由に過ごしていいのね。それなら私も自室に戻ろう…)
そう思った矢先。
「ねーねー、君、新入りのお妾さん?」
兵士の格好をした男達が彼女に声を掛けてきた。かなり酔って出来上がっているようだ。
「は、はい…」
「君ってなんだか妾って感じがしないね。腕輪があるからお妾さんって分かるけどね」
「あ、お妾さんに手を出していいのは、上級貴族か将軍様からよっぽど気に入られた側近だけだからね、俺たちは何もできないから安心して(笑)」
「話戻るけどさ、君、今まで将軍様が連れてきたお妾さんとタイプが違うよねぇ。ずっとタイプが一貫してたのにさ」
「そーそー、思わずヨダレが出そうな美女ばっかりだったのに。さっき将軍様に連れて行かれた新入りのコはまさしく!って感じだった!」
「君はなんだか"普通"って感じ?ドキドキするというよりはホッとするって言うのかな?あ、貶している訳じゃないから安心してね!」
フォローになっているようでいないような事を言われ、彼女は「あ、アハハ…」と苦笑してしまった。
「手は出しちゃいけないんだけど、あっちにいるお妾さんみたく話はしても怒られないよ。だから俺たちともっと話そうよ!」
「それがいいや!俺の武勇伝、聞かせてあげる!」
「お前、武勇伝話し出すと止まらなくなるだろーが!」
なんだか気の良さそうな兵士達のやり取りに思わず彼女がクスッとした
その瞬間
場の空気が凍りつくのを感じた。
さっきまでゲラゲラ笑っていた兵士達の顔が、見る見る恐怖で染まっていく。そして彼女の後ろを凝視して固まった。
彼女は、後ろを見た。本当は確認なんてしたく無かったが、知らんぷりなどできない雰囲気だった。
彼女の後ろには、これまでで一番の怒りの形相をした将軍が、立っていた。
※以下、胸糞展開※
彼女は訳が分からなかった。リヴィアと閨に向かってまぐわいを始めたはずの将軍が何故戻ってきたのか。何故自分に対してこんなにも激怒しているのか。そして、何故将軍は自分の腕を引っ張って廊下を歩いているのか。
怖い!!
千切れそうな腕の痛みに「お離しください!」と思わず声を出してしまったが、将軍はそれを無視して止まらなかった。
そして、彼女の部屋に着くなり、将軍は彼女を乱暴に組み敷いた。
彼女は処女ではあったが、村の女性達から男女の交わりの話は聞いていた。
獰猛な獣のような目をした将軍に見下され、自分の身にこれから起こることを予感し、恐怖で頭が真っ白になった。
"初めて"がこんな形で、このような恐ろしい人間とすることになるなんて…!
そして彼女の操は、奪われた。
将軍ー!(怒)現代でそれやったらアウトだかんなこの野郎!!!
「悲劇の物語を書く」と決めてから、このシーンを考えて書くことを覚悟はしていたのですが、いざ文字を打ったら手が震えました…
不同意性交、ダメ、ゼッタイ。
ちなみになんですが、将軍が何を考え、どうしてこのような事をするように至ったのかは、今後明かしていきますので…良かったらまた読みに来てください。胸糞展開なのに最後まで読んでくださった方、ありがとうございましたm(_ _)m
【追記・余談】
兵士達が主人公に話し掛けてくれたのは「新入り妾が他の妾とタイプが違うから興味を持った」というのが一番の理由なんですけど、「一人でポツンと心許なげに座っている主人公が寂しそうに見えたから」という理由もあったのかもしれません。最初に主人公に声を掛けた兵士は主人公より歳上で、主人公を見て「遠い故郷に残してきた妹」を思い出したのかもしれません…




