↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/67

潤、フィッシュサンドでもマコガレイを確定させる

 婚活パーティで星をマコガレイに見間違えるほど疲弊した広瀬潤(39)は、気分転換に友人の佐伯とハンバーガーチェーンへ行くことになった。


「潤、今日は魚の話は控えめにな」


「もちろんだよ。僕はもう落ち着いてる。ただ、フィッシュサンドを食べたら“何の魚か確定する”だけだよ」


「それが危ないんだよ」


 ◇フィッシュサンド登場


 席に座ると、潤はフィッシュサンドを見つめた。


「この白身……完全にマコガレイだ……」


「いや、なんでそうなるんだよ」


 佐伯が即ツッコミを入れる。


 潤は自信満々だった。


「見てよ、この白身のフライ。日本海のカレイは白身。つまりこれはマコガレイだ」


「潤、多分だけどハンバーガーチェーンでマコガレイ使わないだろ」


 潤は聞いていない。


「このサクサク感……この繊細な白身……これは“シュレーディンガーのカレイ”を超越した“確定マコガレイ”だよ」


「???」


 ◇店員さん、真実を告げる


 そこへ、偶然通りかかった店員さんが声をかけた。


「お味はいかがですか?」


 潤は勢いよく聞いた。


「このフィッシュサンド、マコガレイですよね?」


 店員さんは一瞬固まった。


「え……いえ、スケトウダラです」


「スケトウダラ……?」


 潤の表情が固まった。


 佐伯は肩を震わせて笑った。


「ほら見ろ潤、全国チェーンでマコガレイ使えないだろ」


「いや……でも……この白身……」


「スケトウダラなんだってよ」


 店員さんは優しく続けた。


「フィッシュサンドはほとんどスケトウダラなんです。白身魚=マコガレイではないですよ」


「そんな……」


 潤はフィッシュサンドを見つめた。


「僕の“白身=マコガレイ理論”が……崩壊した……」


「よかったな」


 ◇潤、立ち直れない


 潤はテーブルに突っ伏した。


「スケトウダラ……僕はスケトウダラをマコガレイだと思って食べていたのか……」


「潤、落ち着け」


「僕のカレイ哲学が……揺らいでいる……」


「よかったな」


 潤はフィッシュサンドをそっと持ち上げた。


「でも……この白身……どう見てもマコガレイなんだよな……」


「潤、店員さんがスケトウダラって言っただろ」


「でも……僕の心がマコガレイだと言っている……」


「心で魚を決めるな」


 ◇帰り道


 店を出ると、潤は空を見上げた。


「佐伯……あの雲……マコガレイに見える……」


「潤、もう病気だよそれ」


「いや、僕は確信したんだ。世界は“マコガレイに見える何か”で満ちている」


「潤、スケトウダラを忘れるな」


 潤は深くうなずいた。


「……スケトウダラ……僕の新しい敵だ……」


「敵じゃないよ」


 こうして潤の“カレイ哲学”は、ついにハンバーガーチェーンのフィッシュサンドにまで侵食したのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。