潤、婚活パーティで営業を受けすぎて佐伯に報告する
『潤、婚活パーティで営業を受けすぎて佐伯に報告する』
昼休み。広瀬潤(39)は、佐伯の席へズカズカと歩いてきた。その表情は、なぜか達成感と疲労が混ざった複雑なものだった。
佐伯はコーヒーを飲みながら言った。
「なんだその顔……また何かあったのか?」
潤は椅子に座るなり、深刻な声で言った。
「佐伯……僕、婚活パーティで……壺、水素水、生命保険って、三種類の営業を受けたんだよ……」
佐伯は吹きかけた。
「三種類⁉婚活パーティって営業の総合デパートなのか⁉」
潤はうなずいた。
「壺は“先祖の祟りがある”って言われて……水素水は“運気が上がる”って言われて……生命保険は“優しい人ほど守るものが多い”って言われて……」
佐伯は机を叩いた。
「全部理由が雑!! なんで婚活でそんなに売られるんだよ!!」
潤は遠い目をした。
「僕もわからない……でも、どれも“今なら特別価格”って言われたんだよ……」
佐伯は頭を抱えた。
「壺も水素水も生命保険も特別価格って何だよ……婚活パーティ限定セールでもやってるのか……?」
潤はさらに続けた。
「しかも生命保険は……僕、郵便局で働いててかんぽ生命に入ってるのに……“もう一つ入ると安心ですよ”って言われて……危うく加入しそうになったんだよ……」
佐伯は叫んだ。
「二つ目の生命保険に入るな!! 婚活で保険を増やすな!!」
潤はしみじみ言った。
「僕……人が良すぎるのかな……」
佐伯はため息をついた。
「人が良いというか……営業に弱すぎるんだよ……婚活パーティでそんなに勧誘される人、初めて聞いたぞ……」
潤は静かに頷いた。
「でも……なんとか全部断ったんだよ……僕、成長してると思わない?」
佐伯は肩をすくめた。
「成長というか……もう“営業耐性”が鍛えられてるだけだろ……次は何売られるんだよ……」
潤は真剣に言った。
「……空気とかかな……」
「なんでやねん!!」




