潤、地球温暖化のニュースを観て“カレイ絶滅危機”を叫ぶ
昨夜。広瀬潤(39)はテレビを観ていた。
画面には深刻な表情のキャスター。
「地球温暖化が進み、海水温の上昇が――」
潤は固まった。
「……海水温……上昇……?」
その夜、潤はずっと考え続けた。
◇翌朝、職場で突然騒ぎ出す
出勤してすぐ、潤は佐伯の席に駆け寄った。
「佐伯!! 大変だ!!」
佐伯はコーヒーを飲みながら言った。
「また何か始まったな……どうした」
潤は真剣そのものだった。
「地球温暖化だよ!! このままじゃ海が沸騰する!!」
佐伯は吹きかけた。
「沸騰⁉ そんなわけないだろ⁉」
潤は続けた。
「海が沸騰したらどうなると思う⁉ マコガレイも! アブラガレイも! カラスガレイすらも!! 全部食べられなくなるんだよ!! 」
佐伯は固まった。
「……心配の方向が完全に魚なんだな……」
◇潤、カレイの未来を本気で案じる
潤は机を叩いた。
「昨日アブラガレイ食べたばかりなんだよ⁉ あれが最後のアブラガレイになるかもしれないんだよ⁉ 僕はそんな未来イヤだ!!」
佐伯はため息をついた。
「いや、海は簡単には沸騰しないから……カレイはそんな急に絶滅しないから……」
潤は聞いていない。
「マコガレイの握り……アブラガレイの握り……カラスガレイの煮付け……全部幻になるんだよ……!」
佐伯は頭を抱えた。
「潤……落ち着け……魚の心配よりまずニュースの内容を正しく理解しよう……」
◇しかし潤は止まらない
潤はさらに続けた。
「佐伯!! 僕らは今こそ立ち上がるべきだ!! カレイを守るために!! 」
佐伯は叫んだ。
「なんでカレイ限定なんだよ!! もっと他に守るべきものあるだろ!! 」
潤は真剣だった。
「僕の心はカレイなんだよ……」
佐伯は遠い目をした。
「……もうダメだ……潤は完全にカレイに取りつかれてる……」
◇最後に佐伯が悟る
潤は静かに言った。
「佐伯……海が沸騰したら……僕らは何を食べて生きていけばいいんだ……?」
佐伯は深くため息をついた。
「……まず沸騰しないから安心しろ……そして落ち着け……あとカレイの話は一旦やめろ……」
潤は頷いた。
「……わかった……でも僕はカレイを信じてる……」
佐伯は机に突っ伏した。
「カレイ教だな……」




