潤、自販機のお釣りレバーをカエルに占拠される
仕事帰り。広瀬潤(39)は喉が渇いて、近所の自販機へ向かった。
「今日は暑いし……炭酸でも飲むか……」
財布から小銭を取り出し、自販機に500円玉を投入。
「よし、これで買って……」
潤はボタンを押した。飲み物がガタンと落ちる。
「さて、お釣りを……」
そう言って、お釣りレバーに手を伸ばした瞬間——
潤は固まった。
「……え?」
お釣りレバーの上に、カエルがちょこんと座っていた。
◇カエル、完全にレバーを占拠する
そのカエルは、まるで自販機の管理者のような堂々とした姿勢でレバーの上に鎮座していた。
潤はそっと声をかけた。
「すみません……僕、お釣り取りたいんですけど……」
カエルはピクリとも動かない。
潤は困った。
「いやいやいや……なんでそんな場所に……よりによってレバーの上……?」
◇カエル、潤をじっと見つめる
潤が少し近づくと、カエルはゆっくりと潤のほうを向いた。
その目はこう言っているようだった。
「ここは今、私の場所だが?」
潤は心の中で叫んだ。
(いや、僕のお釣りの場所なんだけど!?なんでそんな強気なの!?)
◇潤、説得を試みる
「ごめんね……ちょっとだけ……ほんのちょっとだけどいてくれれば……僕、お釣り取れるんだけど……」
カエルは無視。
むしろレバーの上で落ち着いた姿勢になった。
潤は叫んだ。
「くつろがないで!?そこ、僕の大事なレバー!!」
◇カエル、謎の沈黙
潤はどうするか悩んだ。
「触るのはかわいそうだし……でもお釣りは欲しいし……どうしよう……」
カエルはただ静かに座っている。
まるで——“お前が動け”と言わんばかりの沈黙。
潤は完全に負けそうだった。
◇しかし、突然の変化
そのとき、カエルがゆっくりと立ち上がり、レバーからぴょんと離れた。
潤は驚いた。
「えっ……?どいてくれるの……?」
カエルは自販機の横へ移動し、最後に潤を見上げて「ケロッ」と一声。
その声はまるで——
「お前の番だ。取れ」と言っているようだった。
◇ようやくお釣りを取る潤
潤は急いでレバーを引いた。
チャリン。
「よかった……ありがとう……カエルさん……」
カエルは自販機の影に隠れ、どこかへぴょんぴょんと去っていった。
◇帰り道
潤は飲み物を片手に歩きながらつぶやいた。
「なんだったんだ……、お釣りレバーをカエルに占拠されることなんてあるんだ……」
そして少し笑った。
「カエルが自販機から自然にカエル……なんつって(笑)」




