潤、検問で応援を呼ばれる
広瀬潤(39)は、仕事帰りに車を運転していた。夕方の道路は静かで、ラジオからは落ち着いた音楽が流れている。
「今日は平和に帰れるな……」
そう思った矢先——
赤色灯がチカッ。
「……えっ、検問……?」
道路脇には警察官が立ち、車を一台ずつ止めている。
潤は心臓が跳ねた。
「いやいやいや……僕、飲んでないよ⁉コーヒーしか飲んでないよ⁉」
車を止めると、警察官が近づいてきた。
◇警察官、潤を観察する
「すみません、飲酒運転の検問です。少しお時間いただきますね」
潤はガチガチになった。
「は、はい……!」
警察官は潤の顔をじっと見た。
「……緊張してます?」
「い、いえ……してません……!」
声が震えている。
警察官は眉をひそめた。
「……飲んでます?」
「飲んでません!!」
即答が早すぎた。
警察官はさらに怪しんだ。
「……本当に?」
「ほんとです!!コーヒーしか飲んでません!!コーヒーは合法です!!」
潤は自分でも何を言っているのかわからなくなっていた。
◇呼気検査、開始
警察官は呼気検査の機械を取り出した。
「では、こちらに息を吹きかけてください」
潤は緊張して、思いきり息を吸い込んでから思いきり吹いた。
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……ふぅーーーーーーーっ!!」
警察官は驚いた。
「そんなに勢いよく吹かなくていいですよ」
潤は赤面した。
「す、すみません……初めてで……」
機械がピピッと鳴った。
警察官は画面を見た。
「……ゼロですね」
潤は胸を張った。
「はい!!ゼロです!!僕はゼロです!!」
警察官は少し笑った。
◇しかし、警察官はまだ怪しんでいる
警察官は潤の車をもう一度見た。
「……本当に飲んでないんですよね?」
「飲んでません!!コーヒーです!!コーヒーは合法です!!(2回目)」
警察官は無線機を手にした。
「ちょっと応援呼びますね」
潤は叫んだ。
「えっ!?なんで!?ゼロでしたよね!?僕、合法ですよね!?」
◇応援が続々と集まる
パトカーがもう1台来た。
「この人、なんだか怪しいんですよ」
「なるほど……」
「もう一回検査します?」
潤は震えながら言った。
「僕……本当に飲んでません……コーヒーしか……コーヒーは合法です……」
応援に来た警察官は苦笑した。
「それはわかってますよ。ただ……あなたの挙動が……“飲んでない人の緊張じゃない”んですよ」
潤は叫んだ。
「初めてなんです!!初めての検問なんです!!」
警察官たちは顔を見合わせた。
「……まあ、そういう人もいるか」
◇ようやく解放される
警察官が言った。
「ゼロですし、問題ありません。どうぞお気をつけて」
潤は深く頭を下げた。
「ありがとうございます!!僕は合法です!!」
警察官たちは笑いながら手を振った。
「はいはい、合法なのはわかりましたから」
◇帰り道
潤は運転しながらつぶやいた。
「……なんであんなに怪しまれたんだろ……僕は合法なのに……?」




