↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/67

潤と佐伯、焼きガキ派に移行する

 この前、道の駅に来てから2週間。広瀬潤(39)と佐伯は、また同じ道の駅に来ていた。


 ふたりともすっかり元気になり、前回の“海の怒り”は笑い話になっていた。


 佐伯が言った。


「潤、今日は焼きガキだけにしような」


「もちろんだよ。僕はもう……海に沈むのはこりごりだ……」


 ふたりはカキ小屋へ向かった。


 ◇焼きガキだけを即決するふたり


 店員が声をかける。


「いらっしゃいませ!生ガキもおすすめですよ!」


 潤と佐伯は、まるで打ち合わせしたかのように同時に言った。


「焼きガキでお願いします」


「焼きガキだけでお願いします」


 店員は笑った。


「おふたり、迷いがないですね」


 潤は胸を張った。


「焼きガキは……海の恵みを“穏やかに”楽しめるんです」


 佐伯も頷いた。


「俺たちはもう……“焼きガキ派”に進化したんだよ」


 ◇焼きガキの香りにテンションが上がる


 炭火の上でカキがじゅうじゅうと音を立てる。


 潤は目を輝かせた。


「この香ばしさ……この安心感……これだよ……僕の求めていた海は……!」


 佐伯も満足げだった。


「焼きガキは裏切らないな。穏やかな海を感じる」


 ふたりは焼きガキを堪能した。


 ◇近くの席で生ガキを食べる人が現れる


 そのとき、近くの席から声が聞こえた。


「うまっ!生ガキ最高!」


 潤はちらっと見た。佐伯もちらっと見た。


 そこには、レモンを絞って生ガキをつるんと食べる人がいた。


 潤は一瞬だけ目を細めた。


「……生ガキ……以前の僕なら……揺れていたかもしれない……」


 佐伯もつぶやいた。


「……海そのもの……確かにうまいんだよな……」


 しかしふたりはすぐに焼きガキへ視線を戻した。


 潤は言った。


「でも……僕はもう焼きガキで十分だよ」


 佐伯も言った。


「俺もだ。生ガキは……またいつかでいい」


 ふたりは全く揺れなかった。


 ◇近くの席でビールを飲む人が現れる


 さらに別の席から声が聞こえた。


「焼きガキにはビールだよな〜!」


 ぷしゅっと缶を開ける音。黄金色の液体がグラスに注がれる。


 潤は一瞬だけそちらを見た。


「……ビール……焼きガキと絶対合うやつだ……」


 佐伯もちらっと見た。


「……うまそうだな……」


 しかしふたりはすぐに視線を戻した。


 潤は言った。


「僕たち……車で来てるから……見なかったことにしよう」


 佐伯も言った。


「うん、見なかったことにしよう」


 ふたりは焼きガキだけを黙々と楽しんだ。


 ◇焼きガキを堪能するふたり


 潤は焼きガキを食べながら言った。


「焼きガキは……海の恵みを……“優しい形”で届けてくれる……」


 佐伯も頷いた。


「生ガキは……海の“本気”だからな。あの本気は出してくれなくていい」


 ふたりは穏やかな気持ちで焼きガキを楽しんだ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。