生きるために
二人は向かい合いながら席に着いた。卓の上には色鮮やかな料理が並ぶ。金蓉は李貴人の小皿に青菜の炒め物と小碗に翡翠粥を取ってやった。李貴人は嬉しそうに青菜や粥を頬張った。
「李貴人、残念だけれどあなたを許せなくなったわ…」
「えっ…くっ…!」
李貴人は喉をおさえながら椅子から転げ落ちた。身体は痙攣し、口からは泡を吹いている。金蓉は瓊花に太医を呼ばせて偽りの涙を流した。太医の処置の間に皇上も現れた。
「慶妃、李貴人は!?」
「今、処置をしているところですわ」
「一体、李貴人に何があったのだ?」
「太医によると砒霜を…」
「なんだと!」
「わたくしめの落ち度にございます」
「そなたに非はない。調理したのは?」
「蘂之にございます」
蘂之は司正たちに身柄を拘束された。そして彼女が懿嬪付きだとわかると今度は懿嬪が詰問されることになった。その間に李貴人は息を引き取り、懿嬪は罪人となった。粛妃は李貴人の毒殺に怯えたのか人前に現れようとはしなかった。その後、粛妃は首をつった。
「皇后さまが手を下すまででもありませんでしたね」
「綸子、人聞きが悪いわ…ただ、この後宮は哀しいものになった。生きるために、それだけのために人は変わるのかしらね…」




