第3章 第1節 その2
「だーーーーっ……疲れた………………代わってくれ」
あれだけ格好良いことを言ったグースだったが、数時間先頭を歩くとギブアップした。
だが六日目ともなれば慣れたもので、ガストが三メートル棒を預かり、茂みを払う。
確かに効果がないわけではなく、茂みに潜んでいた毒蛇や魔物を追い払ったが、歩いている最中もずっとやっているので、腕がもたないようだ。
二の腕をさすりながら、グースが漏らす。
「若いころは何ともなかったのにな……歳を取るのはイヤだねぇ」
「あのー、グースさん」と気になっていたことを思い切って聞いてみる。
「ひょっとして、FPが溜まってませんか?」
「FP?」
「はい。疲労ポイント(FatiguePoint)のことです」
グースが怪訝な顔をしたが、説明を続ける。
「アクションを取るとFPゲージが溜まるのが見えますよね。例えば今みたいにゆっくり歩くときは揺れる程度だけど、呪文を唱えると一気にマックスまで溜まるし、走るとゆっくり溜まりだして、で、ゲージがいっぱいになると回復するまで行動できなくなりませんか。茂みを払ううちに、ちょっとずつFPが溜まったんじゃないでしょうか」
説明を終えたが、グースはますます怪訝な顔をする。
「『FPゲージ』? 『見える』? 何を言っているんだ。そんなもん見えないぞ」
「いやいや、視界の上部に、三本の棒がハッキリ見えますよ。一番上がHP、二番目がMP、三番目がFPです」
「三本の棒?」
私の言葉にグースは眉間の皺を深くした。
私もまた眉間の皺を深くする。
(システムの話をガストさんやグースさんとすると、どうも噛み合わない気がする。一体どうしてなのかしら……不良ってヤツ? あるいはクラスが違うから?)
疑問に思っていると、突如叫び声がする。
「こんなところにグールがいたぞ! 撃てーッ!」
小さな風切り音とともに、恐ろしい速度で何かがこちらに迫った。




