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羅刹狩り  作者: HasumiChouji
第2章:絆を断ち切る者(ビラムバー)
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(7)

 卒業前の実技試験の当日になった。

 俺達はマイクロバスで、ある廃工場に運ばれていた。

 その廃工場内に居る組織が捕えた羅刹たち……最強でもE級(エコークラス)だと聞かされているが……を倒せ、最低でも今日の夕方から明日の朝まで生き残れ、それが実技試験の課題だ。

 全員着ているのは、学校の制服ではなく、動き易さ重視だが、一般人にしか見えないバラバラの服。

 組織の正式なメンバーになれば、制服なんて無い。

 組織の存在も羅刹の存在も知られる訳にはいかないので、仕事中は「普通に見える服装」をする事になっている。

 マイクロバスから外を見ると……妙に薄汚れた団地。ひょっとしたら、試験現場である廃工場が、まだ稼動してた頃の社員住宅かも知れない。

 養父(おやじ)と出会う前に住んでいた場所を思い出し……何となく嫌な気分になる。

「10分後ぐらいに廃校になった小学校に到着する。そこが最後の休憩場所だ。最後の食事もそこで取る」

 引率の山本先生が、そう告げる。

 昼食か夕食か微妙な時間なので、そう言うしか無いのだろうが……まるで、これから死刑にでもなるみたいだ。

 マイクロバスから下りると……別のバスに乗っていた真佐木が、妙に険しい表情(かお)

「どうした?」

「ここで逃げ出せば……希望通り退学処分かと思ったんだが……」

「だから、何だ?」

「ここまでの経路を考えると……逃げ道が限られてる」

「そうそう上手く行く訳が……」

「お〜い、何やってる? 飯に……」

 牧田が、そう声をかけるが……。

 すう……。

 真佐木の呼吸音が聞こえた気がした。

「校舎から離れろッ‼」

 大声で、そう叫んだ真佐木は……自分で言った事とは逆に、牧田の方に走り寄る。

「気」で一時的に身体能力を上げた……とんでもない勢い。

「がっ‼」

 校舎の近くに居た牧田が吹き飛び……そして……。

「うがあっ‼」

 俺は、校舎の屋上から牧田を狙ったかのように落ちてきた()()に向けて「気」を撃つ。

 本当なら拳なんかに「乗せて」使うべきだが……とっさの事なんで、こうするしか無かった。

 結果は……。

 真佐木が片手を地面に付け、()()に向けて蹴りを放つ。

 俺の攻撃は、ほんの一瞬だけ隙を作っただけだった。

 真佐木の蹴りを腹に食ったそれは……地面に叩き付けられ……そして……立ち上がる。

「え……あれ? か……河合……なのか? 何で……?」

 牧田は、()()を見て……戸惑っていた。

 顔の下半分を金属製のマスクのようなモノで覆い……喉元には、やたらとゴツい……首輪のようなモノを付けている男。

 ()()()は……1年の頃に退学した事になっている河合……。

「これが……私達の年度の……『予想外』か……」

 俺も「気」で身体能力を増強し……駆け付け……。

「試験は、もう始まってる訳か」

 そして、河合へ向けて「気」を込めた拳を放ち……。

「ご……っ‼」

 腹部に命中……。

 しゅう……。

 一瞬、河合の皮膚に「光る血管」のようなモノが浮かび上がる。

 養父(おやじ)と初めて会った時の記憶が脳裏に甦る。

「ぐう……」

 しかし……河合の体から上がっていた煙は……少しづつ減り……。

 ひゅう……。

 真佐木の口から……口笛のような呼吸音。

 真佐木は河合に連撃を放つ。

 しかし、余り「気」が乗っていない打撃は……いや待て……。

 真佐木の攻撃が効いてるようには見えないのに、河合の体から上がる煙の量が増え……。

「ふおっ‼」

 俺は河合の脇腹に「気」を込めた廻し蹴りを叩き込み……。

「○×△□〜っ‼」

 河合の口から意味不明な悲鳴。

 続いて、真佐木の指が河合の両目をえぐる。

 河合の両手が真佐木の腕を掴むが……しかし、河合の体から上がる煙は更に増えている。

 皮膚に浮かんだ「光る血管」のようなモノは……明滅を繰り返し続け……。

 ぼろっ……ぼろっ……ぼろっ……。

 折角、真佐木の腕を掴んでいた河合の指が……一本、また一本と落ちていく。

「ふんッ‼」

 真佐木の叫びと共に……河合の体から力が抜けていき……そして、河合の両膝が地面に付いた。

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