表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羅刹狩り  作者: HasumiChouji
第2章:絆を断ち切る者(ビラムバー)
26/26

(8)

「死んだ……のか?」

 俺は、そう訊いた。

「少なくとも呼吸は……していない。でも、変だ」

「何が?」

「って、何で、退学になった筈の河合が……え……えっと……?」

「後で説明する」

 慌てふためいている牧田をに真佐木は、そう言った。

「私は『気』の量の少なさを補う為、少量の『気』を相手の急所に集中させる方法を工夫してきた。そして、お前は、教本通りの『気』の使い方をした」

「そうだけど……」

「そして、お前の『気』の使い方だと、羅刹に叩き込んだ『気』は羅刹の全身に回り、羅刹の体の各部を同時に破壊する」

「あ……」

 たしかに言われてみればそうだ。親や養父(おやじ)の攻撃で、羅刹の体に光る血管みたいなモノが浮き出るのは……おそらく、叩き込まれた「気」が全身に行き渡っているせいなのだろう。

「教本通りの『気』の使い方は、『気』の量が多い者に向いたやり方だ。でも、『()()()()()()()()()()、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。何故、そんな戦い方を『組織』は教えてくれない?」

「いや……それは……『気』が少ないと、小手先の手段で何とか成っても、どこかで無理が……」

「お前が天才過ぎるから、『気』の量が少なくても、何とか成ってるだけじゃ……」

 俺と牧田は、真佐木の疑問に対して、当然の指摘をする。

「プロ野球のピッチャーなんかを考えてみろ。肩を壊して球速が落ちても、ナックル・ボールなんかを使えばリリーフや繋ぎとして何年もやってけた例は有った筈だ」

「けどさ……」

「お前がプロ野球チームのオーナーなら……ドラフトで取りたいピッチャーは、160㎞を出せるだけのピッチャーか? それとも、球速は遅くとも、バッターが打ちにくい球を投げられるピッチャーか?」

「いや、でも、『球速は遅いけど、勝てる球を投げられるピッチャー』なんて、どうやって見分けるんだよ? それよっか、球速を基準にした方が……」

「だから、変なんだ。少なくとも『組織』は戦前から存在してた筈だ。なのに、『球速は遅いけど、勝てる球を投げられるピッチャー』を見付けるノウハウが何故無い?」

「良く判んねえけど……何が気になってるんだ?」

「お前の親父(おやじ)さんみたいな化物は例外として……『組織』は貴重な筈の優秀で経験豊富な『戦士』を使い潰してるようにしか思えない。体力なんかが最盛期を過ぎたら、良くてお払い箱、下手したら現場で戦死する……そんな戦い方を、わざと『戦士』候補に教えてる……そうとしか思えない」

 こいつには、下らない冗談を言う時に真面目な表情(かお)になる癖が有る。

 だが……今は、冗談を言ってる訳じゃないらしい。

「私は、兄貴達とは……あんまり仲が良くなかった。話した事さえ、普通の兄妹よりも遥かに少ないだろう。でも……流石に、兄貴達の死の原因が、『組織』そのものの欠陥のせいなら、黙って『組織』に従う気は無い」

「おい、何が言いたい?」

「あくまで、私の妄想だと信じたいが……」

「何だ?」

(シエラ)(クラス)の羅刹……強大な戦闘能力と、『組織』のノウハウを知り尽くして、その裏をかく知恵を合せ持っている羅刹……そいつらの正体は『組織』の上層部で、『組織』の『戦士』は、その『餌』として育てられているとしたら?」

 余りに無茶苦茶な……たしかに、思い付いた本人にとっても「妄想」にしか思えない主張だ。

「だが……まぁ……『組織』が余りにも無能なのに、今まで、たまたま、羅刹達による被害が表沙汰にならずに済んでいた……そっちの説明の方が現実的だろうがな……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ