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配ったら配ったでモヤモヤ

各院長から了承が得られたと連絡が来たので翌日にはエリオット君が同僚のボルゾイ君達にラスクの運搬を手伝って(任務の休憩時間に)もらえる様にしてくれていた。

宰相様には何の確認も取らずだったがまず別孤児院へラスクを配布、最初の孤児院に個配用にと小分けしたラスクを届け"兄貴"の采配で街の路地でたむろする子供達へと配ってもらったのだが、小分けしておいて良かった。

内職みたいなあの作業が報われたよ。チマチマ大変だったけど廃棄前の未使用ハンカチ用の布が余って(保管というか忘れていた?)を洗って綺麗にしてからラスクをそれに詰めて落ち枝枝とか纏める紐で縛り小包装にした。食べ終わったら手拭きとして使え、綺麗に洗って次の配布はコレに包める様にしてと言付けてもらう事にした。

手を洗うことがまず大事、綺麗に保てば次を少し多めに貰えると伝えればハンカチを捨てないで使うだろう。

皆がやるとは思っていない。何人かで良いから綺麗を保つことが自分の命を保つことが出来るとわかれば良い。


これでせめても空腹が収まるといいけどね。引き続きボルゾイ君達も城から孤児院へラスクの配達してくれるとの事だし、各孤児院でも街への配布を孤児達がしてくれるとの事で、私はラスク作りに専念する事になりました。

今は味を色々変えてみようと画策しております。飽きないようにね。


宰相様からは孤児院への配達の翌々日に呼び出しがかかりました。


「城のパンを街に配る許可はもらっているし、何より私は城から出ていない」


と胸を張ったら、ギロリと睨まれてゴンと一発頭にゲンコツを食らった。

なんでよー横暴だ!

親にも殴られた事無いのに!

嘘です幼少時お尻は何度となく母に叩かれてます。お皿割ったのを知らん顔していた時、あとお箸の持ち方が悪いって手を叩かれた事もある、あるけども、他人様に頭を叩かれた事は初めてです。それも大の大人の男に頭を叩かれるとはなんて事!


冷静な宰相様がまさかの暴力、私もキッと睨み返せば、何やら政治臭い何かがあったのか、異世界のオマケに余計な事をさせるな的なプレッシャーでもあったのか?

だけど、私はなんも悪い事してない。私は城の外に出ていない!

怒られるのは納得いかない。


宰相様から


「報告義務はあるでしょう?」


と嫌味をブチブチ言われたので、私が絶対路地に出ない事を確約する事で孤児院を起点にして、街の路地にたむろする子供へのラスク配布とボルゾイ君達が中継してくれる事を改めて許可をもらえた。

そうだ騎士団へのお願いを省いていたわね。休憩中とは言えボルゾイ君やエリオット君達に何かあったら私のせいだわ。しまった!


「騎士団へ総団長様にお願いをしに行きます」

「もう‥知れ渡っていますから今更ですね」

「‥あゝえっと悪い方向で?」

「いえ、流石だとか立派だとか肯定的な方向で、ですので今更ですよ」

「ん〜総団長様にラスクの差し入れをしておきます」

「‥ええ、そうして下さい」


いいのかそれで?

では5袋分を何か豪華な器でも借りてそれに入れて持って行こう。実働の許可申請だから宰相様よりは多目にしておこうかね。茶も…アンナちゃんの茶も付けちゃうよ!


まぁ、やっとラスク制作をおおぴっらにする事が出来そうです。

既にしてたけど〜σ(^_^;)


***  ***


孤児達は自分達もギリギリで余裕がないのは見て取れた。

保護されて守られているはずなのにと疑問が残るが、分かち合う気持ちを持って配布を手伝ってくれた皆んなに感謝だ。今度何か別のものをご馳走したいな。


それとある疑問が湧いたのよ、これ誰に聞いたら答えてくれるのかな?


孤児院とボルゾイ騎士達の協力でラスク配達の道は作ったが、数日ラスクを作りながらどうにもモヤモヤしていることがあった。


孤児院は路上ではなくて雨風防げる暖かい家に入れたラッキーな子達がいるのだけど、良かったねとは到底言えない環境だった。

親を亡くしたり捨てられ、それでもなんとか繋げた命ばかりなのに、よりどころとされるはずの場所があまり環境がよく無いのは何なのだろうか?


神殿が国と協力して運営してるのに、行ってみて分かったのは孤児院の子も路上の子と大差ない骨皮なんだよね‥。

栄養失調ぶりが酷い孤児院と、以前馬車から街を見た状況を鑑みても路上の子達と然程変わらないっておかしくないか?


菓子でもいい腹に入るならとばかりに一心不乱に食べている子供の姿にモヤモヤする。

なんでこんなになっているのに皆、知らん顔なの?

貴族どもは何をしてるのさ!

院長さん達大人も院内に畑を作って頑張っているが、子供達と共に暮らす院長さん達さえも細い体なものだから気になってしょうがなかったんだよね。フラフラしながら歩いていて、子供より元気がないのよ。


私が言うのでは遠慮があるので、子供を使って院長はじめ大人達スタッフにもラスクを無理矢理食べさせたのは単なる倒れそうだからという危機感からだったのだけど、なんかいつもより元気になって畑仕事もサクサクしていた、とボルゾイ騎士から聞いたとエリオット君が教えてくれた。

良かった。

大人が倒れると子供はどうにも出来なくなるからね。園長先生達は倒れたらあかん人達なんですよ。



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