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配布

作ったは良いけど食べきれなくて私まで破棄するなんてあり得ないし、腹下しにならない事は実証済み。

本来は街の路地に屯する子供達に分けたかったからだけど、そこに行くことか出来なくて悩んでいるイグサです。


宰相様の外出許可が出ないのだよ。

本来の目的が出来なくてラスクは増えるばかりでは、意味がないだろうが!やって良いって言ったくせに‥外に出てはダメとかないわ〜。


クイーンじゃ無いんだから大丈夫だし私だよ!異世界人とかバレないくらい平凡だから、カツラかぶれば黒髪なんて隠せるし。メイクで眉毛なんて幾らでも茶に出来るしね。何より私は目立たないから大丈夫ですよ?

(くっ自分で言って泣きたくなった)


良いじゃんエリオット君も付いてくれているから大丈夫なのに、そこまでこの国は危険なの?

試食用小分け包装しながら悩んでいたらエリオット君からの提案があった。


「孤児院に持 っていけば子供たちはたいそう喜んでくれますよ、〈それに大量に消費してくれます〉」


なーるほ!孤児院慰問ね。なんかステレオ副音声が聞こえてきたけど、いい案だわ。小分け作業を一旦やめて既に袋詰めしたものを三袋掴み、勇んで宰相様にラスクを献上いたしました。

ええ、外出許可をもらうために。


どうせ私の行動など報告はされていたのだろうが、素知らぬ顔で嘆願すれば


「孤児院ならば」


とあっさり許可が出た。

献上品が効いたか?

やっと持ってきたのですね。とか

何故すぐ持ってこない?とかブチブチ言ってきたんですけど何のことっすか?聞こえませ〜ん。

宰相様の為に作ってないし、私のしたい事なんて知ってるくせに許可出さないのは誰でしたっけ?


兎に角、下町に出向く事は出来なかったけど、エリオット君の助言のおかげで大量ラスクの消費先を一つ確保しました。


翌日早速孤児院にラスクを持っていけば大歓迎で迎えられ、凄い勢いで子供達の腹にとラスクは収まった。


その勢いにちょっと引くくらいだったけど、保存もきくし沢山あるから落ち着いてくださいと言っても子供は聞かない。

そんな様子に違和感を感じながらも喜んでもらえたと、役に立つ事が出来る実感を目の当たりに出来たのだもの、良かった。


まぁ暫く孤児院のおやつはラスクになりそうだね。大量に作ったから消費は宜しくとばかりに本日持ってきた分は全て置いていくつもりです。荷馬車で来たからね。


あと二ヶ所王都には孤児院が有ると聞き、出来れば其方にも寄付してほしいとの園長先生から要望があった。

明日にでも倉庫にある分を配りましょうと宰相様の確認も取らずに決めてしまった。

私が行けなくとも、配達ならエリオット君の伝手で出来そうじゃない?そうよお友達のボルゾイ騎士さん達とかどうかな?手伝ってくれないかな?

今回も荷馬車と私達の馬車の警護に就いてくれているから要領はわかっているし‥私が動く事で面倒な手続きが必要となるなら荷を出すだけの方が早い?

私が動かないで、人にやってもらえれば‥あっ


そうだ!

この子達に街にいる路上の子達へと私の替わりに配ってもらうのはどう?

私が直接配らなくても良いのだから、宰相様といえど文句は言わせない。


神殿から派遣されている院長先生も、院に入れない子供達の事は気に掛かっていたとのお話だったが、助ける手だても金もないと項垂れるだけで、まぁ確かにここの子供達も明らかに栄養不良だよね。院長先生もフラついているし‥めちゃ痩せてる。

何でこんなに困窮してるのかな?神殿と国が救済処置として孤児院を支援しているんだよね、おかしくない?


「孤児院の皆にラスク配布のお手伝いしてもらえれば街の子達の様子も把握できるし、体調の悪い子は見つかり次第保護して治療してもらえれば良いのではないかな?どうですか?」

「確かに、そうですね。しかし危険な地域もあるので子供達だけでは」

「大丈夫だよ」

「へ?あの君は?」


院長先生と話しているときに、年の頃は小学4〜5年の少年がギョロリとした眼を真っ直ぐにに私に向けて声を掛けて来た。身体が震えているのが丸わかりって感じで怖いのだろうに(エリオット君の剣をさっきガン見していた子だわ)


「オ‥オレの兄貴が街の奴等を束ねてるんだ」

「‥ほう、ならここの子供達がラスクを配るのを危険にあわない様に手伝ってくれるのかな?」

「うん、皆にコレ配って良いんだよね?」

「勿論!」

「ならオレ、兄ちゃんに話しするよ、いつ?いつから配るの?」

「ん〜明日は他の孤児院の分を持って行くつもりだったけど其方を午前にして‥街の方も早い方が良いよね。では明日の午後どう?話してきてくれる?」

「おうよ!」


なんて頼もしい笑顔だろうか。

さっきまで震えていたのに、胸を張って良い笑顔だ。

彼も自分が何かをなせる事が出来ると喜んでいる感じ?

さっきは兄貴とかカッコ付けていたのに兄ちゃんにになってるのが可愛い所だね。


早速この考えを院長先生と段取りの話をしていると、配布の事を聞きつけた子達に私たちの分のお菓子が減ると泣かれた。

自分達より苦しい者に分けて欲しい、また持ってくるから(何せ毎日廃棄パンは出るから)次は味を変えてみようと言えれば渋々了解してくれた様だ。そんな中配達まで手伝うと申出てくれた年長組の子達も居た。

院長先生には別院の院長に連絡をしてもらい、別院用とそこの子達に近隣の路地生活の子供達用の配布を手伝ってもらう事が可能か聞いてもらえる様に連絡してもらった。在庫はあるからね余裕で皆んなに配れるよ。何せ今日も帰ったら運ばれた大量の廃棄パンをラスクにする作業が待ってるからねぇ



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