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魔法の使い道

「なら各自のお家では貴族のお嬢様が自ら水を貯めて竃の火を入れているの?」

「家では魔石を設置して魔力が無い使用人でも触れれば使えるようになっています。その魔石に魔力を注ぐのが主の仕事ですので年一で、うちの場合は家族総出で魔力を注ぐのです。その日一日使い物にならなくなるので外出予定のない日に気合を入れて注入します。でも水系の魔石は‥購入します」


魔力の多さでも得手不得手や階級があるそうです。

上位貴族ならば高純度エネルギー持ちで、結構マルチで何でも無難にこすが、下位はそれなりに苦手ものは魔石購入するらしい。

純度の高い魔石もお高いそうね〜それも高位の貴族しか買えないみたいな?

つくづく位で動くのね。

じゃ魔力を持たない平民は?と問えば、自力で火をおこし、水を汲んでくるそうだ…当然、原始的なわけね。

魔法ってみんながバンバン使っているのかと思っていたら、限られた人しか使えないとか宝の持ち腐れ‥失礼。

特権階級しか使えない特別なものだったなんて残念でならない。

そんな中でも子爵のご息女である侍女アンナちゃんは女性としては稀な魔力持ちらしい。家族内でも一番とか。


「父や兄より量があるので私が婿を取り家を継ぐ様にと言われております」

「うわっマジで!」


男尊女卑かと思ったらそこに魔力の要素が加わると逆転するんだ〜。


「はい。私の力は火系の力です。家族内では私が一番ですが、上位の方と比べたらそれ程強い訳ではないので、結局はお力のある方を婿に選ばなければならいのですけど」


じゃエリオット君は?と言いかけてやめた。

これはお節介をしてはいけない問題だよね。チラリとエリオット君を見てしまったのを誤魔化す様に、ではと大きな声でアンナちゃんに乾燥をお任せする事にした。


因みにエリオット君のさっきの力は風系で、さっきパンを切ってくれたのは風を刃の様にして(イメージはカマイタチ?)沢山のパンを一気に切ってくれたそうです。包丁で切ったより綺麗な切り口でスパンッと、凄い斬れ味(実はチョット怖かったです)だった。


戸惑いを残しながらも調理台にパンを並べ載せた網トレイをどんどん並べた。

今度はアンナちゃんが部屋を締め切ってゴニョっと部屋の扉に手をかざしてまたゴニョゴニョ。


おお!詠唱ってヤツね!

モノホンだ。さっきエリオット君がしていたのもこれだよね、ね?

きゃーカッコいい!なんてはしゃいでいたら、二人から仕事してくださいと冷たい目であしらわれました。

すみません。


認識してからの初魔法だったんだもん興奮させてよ。とウルウルしたお目々したけど更に呆れた視線が注がれたので真面目モードに戻ります(最近二人が私に冷たい)


パンに塗るバターシュガーをコネコネ作っていると、厨房に入れますと呼ばれたので再び厨房に入って乾燥加減を確認。

上出来!洗濯物を乾かす感じで水分蒸発の説明方向が当たりだったね。洗濯物は燃やせないからね。


部屋は熱いかと思ったけど常温だわ、これも室内の温度を下げる魔法でもかけてくれたのかな?それともパン自体にかけたから?兎に角凄いじゃん魔法。

これで大したことない魔力なの?じゃ凄い人は何でも出来そうだよね。上位の貴族が力合わせて雨を降らせるのなんか出来るんじゃないの?


生活に密着したものからすごい魔法まであって、使える人がゴロゴロ居るなら私のあの一言なんてなんでもないじゃない?


宰相様は何であんなに怒ったのかな?


いかん、今はこっちに集中しよう。


大量の乾燥したパンにバターシュガーを三人で塗りまくって再度外に出た、これを塗る魔法はなかった様です(どれが該当するか二人に思い当たらなかった)エリオット君が何かを応用すればと考えてくれたけど、じゃ思いつくまで手を動かそうとアンナちゃんが言うので(アンナちゃんは現実的よね)実働したら疲れました、腱鞘炎になるかも位に塗って塗って塗った。


乾燥度合いを聞かれて説明すれば、30分程度で出来るはずです。と先程の様に部屋を締めアンナちゃんがゴニョっと呟いてから

ニッコリ


「別室でお茶をいたしましょう」


詠唱ってなんと言っているのか知りたくてずいっとアンナちゃんににじり寄ったら、年下にため息一つであしらわれました(スッゴイ早口で言っているから何が何だか全く判らないのよ。メチャ長いしむずかしい言葉だから理解不能だった)


これは聞いちゃダメなヤツか?

私に見せる事も本来なら禁じられた事だったのかもしれない。だから宰相様も私に知られる事を嫌がったんだねきっと。異世界事情ってやつだ。


私が異世界人で、魔法の無い世界から来た事を知っているから、気を使ってくれてきた?それとも力を見せるのは家族や近親者だけとかの縛りがあるのかも知れない。いや国の極秘事項?貴族の家ごとの決まりがあるとか?

ならばアンナちゃんもエリオット君もそんな大切な事を私に見せてくれたんだと思うとほっこりしたり‥想像だけど。


「お茶が入りました」


調理室脇の休憩室?に連れていかれ、茶を飲み待つこと30分。アンナちゃんと家庭内魔法の失敗談などを聞いていたらあっという間だった。

さっきとは違いカラッとした熱さが少し残る部屋に戻れば、出来たての美味しそうなバターの匂いが充満していてお腹を刺激する。


まずアンナちゃんが試食で出来立てを食べる、お毒味ですって。

廃棄パンですから用心の為ですと押し切られた。今回もですか?


なんか私の食事の件がどうも引っかかっているみたいで、アンナちゃんのせいじゃ無いのに責任感が強いと言うか。私を心配してくれるのは有り難いけど守られてばかりも辛いのよ。

普通にしてとお願いしたいじゃない?


作った本人が食べないと仕上がり具合がわからないでしょ?責任者は私なのにと少しブーたれているのに聞いてないよこの人。

しかし食べた瞬間のアンナちゃんのお顔は、これでもかというくらい弛んだのを私は見逃さなかったよ。

お初の蕩け顔頂きました。


これは美味い!って顔っしょ?


時間差で次はエリオット君が食べて旨っと言ったの聞こえたよ!

でやっとお許しを貰い(時間差で効く毒もあるからとか)食べるとサクサクして口の中で唾液とバターが混ざりジュワッとして甘い!パンはザクザクでパイの様な歯触り〜中々いい出来だった。


自分で試食して特段気分が悪くなったりムカムカも無く、噛み締めれば良い甘さがある、食感も悪くない。これが本当にクソマズパンなの?って我ながら思ったわ。

お・い・し・い!


"赤粒"の箱を右手に(一応ね)エリオット君にも感想を聞くが

"旨いです"しか返ってこないし、次のラスクに手が出ている。あぁコレは食べるんだ〜職務忘れてるよね。

あー毒味だから職務よね。


10枚程三人で食べてから(予想外美味しくて手が止まらんかった)二人とも不思議そうな顔をしてから納得したように頷きあう。

《やはりそうなのか?》とか《そうですよ、食堂でも変化したんです》

とか、二人でなんか言ってアイコンタクトするな〜説明プリーズだよ。

何がやっぱりなの?仲間はずれは寂しいぞ。

いつ二人はそんなに仲良しになったの?確かに二人の連携が凄く良いのは感じているけどさー。


あんな旨ゞ顔しておいて本当は不味かった?私を気遣って美味しい顔したの?食堂?なんの話?

この世界では通用しないの?教えて〜



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