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さあ始めましょう

取り敢えず昨日綺麗にしてもらった作業部屋にかっぱらってきた、もとい貰ってきたパンを搬入しているイグサです。


量が半端ないので調理場だけでは足りなくて、取り敢えずはパントリーに山積みしておこう。外に置きっぱは出来ないから運ぶしか無いものね。荷車も返さないとだし。


やっとの事で全てを運び終えた次は、パンを適度な厚さに切りますと言えばこの量を?と二人が遠い目をした。

だよね、私が頑張りますと腕まくりをしてパンに包丁を入れると硬い、硬すぎる。

ガリガリ潰しながら削りながらやっと一枚切り出した時、エリオット君がまたもや俺がやりましょうとか言い出すし、まさか騎士の剣で?


「剣は騎士にとっての誇りでしょ?パンを切るために使うものではないもの。大丈夫、手作業は慣れているから、硬いパンだから少し潰れちゃうかもだけど大丈夫だから」

「いえ、剣ではなくてですね‥」


何かしらの考えがあってそう言うなら

従いましょう。パンを並べるのでとエリオット君に言われたので、アンナちゃんとテーブルに乗り切るかなりの本数のパンをずた袋から出して並べる。三人でひたすら並べる。

部屋の端にと言われアンナちゃんと隅っこに移動した。

何かゴニョッとエリオット君が呟いたと思ったら、室内なのに風が吹いてパキパキという小さな音がした。

全てのパンが少しだけ傾いてキラリンとアンナちゃんの目が光る。


「まぁ、流石です」

「ん?もしかして切れてる?」

「厚みはこれで良いですか?」


置いていたパンは見事に均等に綺麗に私がさっき包丁で切ったのと同じ位の厚みで切れていた。私の切った切り口となんて比較できないほどにキレーなの。

凄いよとエリオット君を見つめれば頭の後ろを掻き、さぁ続きをと促された。

さっきの浄化と今のが何か聞きたいのに、今は作る事に集中しろとアンナちゃんとエリオット君の目が凄い圧で訴えていた。

チョット怖くて、身体を直立不動で敬礼!してすぐにやりますと答えていました。

エリオット君には引き続きパンのカットをお願いして私は


焼き乾燥だ!とパンを平らに網に置いてオーブンを準備しようと動くと、今度はアンナちゃんに製作工程を確認された。


「オーブンでカサカサに乾燥させて

あっトースト‥コンガリ焼かないよ。焼き目をつけないパリパリにするの、パンの中の水分を取り去る感じで、次にバターと砂糖を混ぜたものをパンに塗りもう一度焼いて出来上がりだよ」


大量のパンを少しずつオーブンで乾燥焼しようとして取り掛かると私の作業を見て部屋をまるで測量する様に指で測っていたアンナちゃんが


「あの、一部屋丸ごと乾燥?できます‥多分」

「え?‥マジで?どうやって?」

「雨の時は部屋干しで洗濯物の乾燥を何時もやっていましたから、これくらいの部屋の大きさならば私の熱乾燥魔法で出来ると思います。もともとこの部屋も厨房と同じで火器に強い作りの様ですし。対象物だけに乾燥を施せば良いのだから‥多分私でも出来ると思います。洗濯物を乾かすと同じでよろしいのですよね?」

「ま‥魔法?いや洗濯物‥うん‥そうだけどいやでも、宰相様が魔力は限られた人しか出来ないって言っていたし魔法は貴重だからそう簡単には」

「あぁ、はい。大きな力のモノは選ばれし魔導士様方でなければ出来ませんが、日常生活の竃の火を付けたり洗濯物を乾燥させるくらいなら貴族の血を引く者ならば誰でも出来ます。

でも水を出現させるのとかは高級水魔石を何個も使わないと出来ないのですよ、水は最も難しいのです。」


魔法って言った!やっぱり魔法なんだね。さっきのエリオット君のもだよね。部屋の掃除もパンを切ったのも‥アンナちゃんはあえて教えてはくれなかったので、聞いちゃいけないのかな?と思っていたけどアッサリ言っちゃったね。


ようこそ魔法の世界へだよ。

浮いたり飛んだり出来るのかな?自動家事とか出来そうだよね、便利だな

いいな〜生活魔法的な?


ん?水って難しいのか‥。

だから私が言った事に宰相様はあんなに冷たかったの?

"お茶淹れます?"みたいな軽口で、

"魔法で用水路作れば?"

と言ってはダメ的なものだったか。

しくったな、でも知らなかったのよ。

魔法が無い世界から来たんだからその扱いとか?秘匿性とか?睨むんじゃなくて説明しろよ宰相様。言葉が足りんのじゃ‼︎


そもそも魔法の存在自体を隠してる節があるというか、アンナちゃんも私の前では使わないし、エリオット君もさっきは見せてくれなかったし‥。

でも今日二人は私に魔法を見せてくれたんだ。

ちょっと感動!いや、かなり感動!ちょ〜感動!!


城で侍女・侍従が出来るのは男爵・子爵などの下位の貴族の者、王家の身の回りをの事をする女官や城の国政に関わる高級官吏は伯爵・侯爵の上位貴族の者がなるんだって。

てことは、魔法を使える貴族が城に中に結構いるんだね。

軟禁されているから、他の人と接触しないと知らん事ばっかりだよ。魔法の世界ってどんなんなのかな?


アレ?あのバカも使えるなら私のことなんて、いつでもどうとでも魔法で出来たのでは‥?


え?本来ならヤベー戦いを挑んだのか私?



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