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調査



私が寝た後にまさか書類を見ている人が居ようとは全く考えずに、私の独り言もまさか聞かれているなんて思ってもいなかった。と言うか音として出ていた自覚が無かったイグサです。




疲れから深い深い眠りに浸り切って、フカフカな布団で夢も見ず熟睡した。今日もあの人が守ってくれている(はず)おやすみなさい。


カタンと隠しドアである本棚が動いたのは私が深い眠りについた後だった。


***   ***


「ふぁ〜よく寝た」


翌朝遅めに目が覚めた。

眠りについたのが遅かったので深い眠りだったのかスッキリした朝を迎えられたので(外は煌々と明るい真昼間だ)かなり寝過ごしたか?兎に角再考しようと朝の支度を終えて机に向かうと、


「ヤベッ資料出しっぱなしで寝ちゃったんだ〜アレ何これ?」


いつの間にか見たことの無い資料が机にあるんだけど


「公式人事記録?と帳簿?何処の?」


あれ?帳簿の中身は元からある二冊と項目は全く同じなのに、中身の金額が微妙に違う‥?


「裏‥帳簿‥的な?」


人事記録にはメモが付いている。誰のメモだ?

誰の口添えでどの仕事に誰が付いたか後盾が誰か敵対しているのが誰とか書いてあるんだけど〜!

明らかに裏・社外秘人事考察記録と思われるものですが?これすっごくヤバい奴では?持ち出し厳禁なヤツ‥


帳簿を少し見れば同じ仕入れ支払いは途中から金額が違う‥あれ?日付は同じなのに?

裏帳簿的なじゃない、裏‥裏帳簿その物なんだけど〜。


これ乳製品の仕入れ業者のか?うわっ談合してる?ご丁寧に綺麗に順番に業者が決まってるよ。そこまでメモ入れなくてもこれ作ってる人貴重面だわ〜。

こっちは小麦の仕入額がおかしくないか?表向きの資料と金額違いすぎて‥。


これキックバックしてるな!


「ん?んんん」


これってヤバいものだよね、内容がとてもやばいよね。

無造作に机に置かれてるよ、いいの?

良いわけないよね。

誰よ〜こんな面倒なもの持ってきたのは!!汗ダラなんだけど、自室に不審者がいないかカーテンの裏とか衝立の裏とかお風呂場の方まで確認してしまった。


「おはようござ…どうかされましたか?」

「ん?いや、ははは何でもないよ、アンナちゃんおはよう、あれご飯か〜。

ごめん時間狂っちゃったね」

「おはようございます。イグサ様よくお眠りになっていたのでお声掛けは致しませんでした」


私が寝ていたのを確認しました?やだ〜今更だけどイビキとなかったかな?恥ずかしいわ〜。

はっまってまさかアンナちゃんが持ってきて様子見しててとか?いやまさかね…誰からの指示?いやいやまさかねぇ。


ふっと浮かんだものを確認したくて天井を見上げるが見えるわけない。

綺麗な漆喰の格子がある天井は何時もの天井でしかない。本棚を見ても開いてはいないが…可能性からしたらアンナちゃんよりこっちからだよね。

食事を終えてすぐに机に向かい

一つ大きな呼吸をして覚悟を決めた。


帳簿とその書類に手を伸ばして中身をじっくりと確認していく。ついでにスマホで撮影もした(知らない間にここにあるなら知らない間に無くなる可能性もある)


アンナちゃんにはお茶よろしくと伝えて暫くは集中だ。

あっちにこっちと照らし合わせルーズリーフをペラっと一枚出して紙にまとめて書き出していけば、5枚目を書いた時に思った以上に簡単に関係やら金の流れやらを見つけちゃったよ。一つ一つならわからないけどこれだけ揃ったら…


管轄が違うだけで巧妙に隠された二重請求。請求先を辿れば何人も経て同じ領主へたどり着いた。買ったはずの一等品はごく少量だけで(おそらくチェック用)入荷したのは殆どが三等品、でも支払いは全て一等品の値。差額は誰に‥あらら。

仕入れはこの人が管理しているのね、だからそうなるよね。


あれ?これはバター仕入れ台帳も同じシステムだね。あっ肉の仕入れも?野菜もかよ!

癒着どころでは無いなグズグズのズブズブのドフドフだわ。


あ〜この人、三年前に親から領地と爵位を引き継いだ新領主なんだ。


あぁ〜バカ坊ちゃんの領主交代アルアルだな。あれ?何でこの領主の収支台帳とかまであるんだろう‥撮っとこ。

ふむふむ…領民の税が上がってる。

なのに公共工事はしてないし、まぁ災害があったわけではなさげだから、にしても何もしてないのはおかしくない?それまでは例年何かしら街道の整備とか田畑の整備、橋の修理とか工事があったのに今年は無いの?アレこの領って害虫が出て駆除しなきゃとか政務官さんと宰相様が援助を出すか自力で出来るのかとかとか言っていた所では?では公共の何かしらの金は出ているはずなのに何も無いのは…

城への上納は‥おや前年と同額。では工事してない分の差額はどこへ?

領民の生活に使うべき予算を個人の懐に入れちゃったとかじゃないよね?


坊ちゃんコレはナイこれはないぞ。


これはお家の出納帳だわね。こんなものまで一体誰が取ってこれる?あー見たくないのにっ!見えちゃったよ。

急に女性用の装飾品や高級品の支払いが増えてる事から見ても、金使いが荒い人とお付き合いが始まる→良いとこ見せたくて散財する→さらに高価な物を買い与える→金が続かなくなる→領の金に手を付けた→それでも足らなくなり借金する→返せない→借金返す為に借金をする→借金増える→返済不能→悪事に引き込まれる。

典型的な没落の構図じゃんかー。

バカなの?幾ら借金してんだよコイツ。

ヤバい金額だぞ。


うわっこの人既婚者〜小さな子供もいるじゃないの、なんて無責任な‥。

装飾品は浮気相手に流れている…よね?それとも妻が?交際費は?

あっあったぞ。


茶会出席の口利き料、外国産高級茶葉・外国産高級花蜂蜜を城の外務大臣宛に送る‥茶会?高級花蜂蜜って何。

装飾品他は茶会後の城に配達依頼してるな…男に?いや装飾品は女だ。

また外務大臣に今度は高級菓子?

賄賂か〜。

で?コイツはこの後、城の筆頭搬入責任者になってるお披露目パーティーとかやってるよ。また茶会参加費だ。

高いな茶会って‥‥‥参加費こんなん取るの?呼ばれなくて良かった〜。


今度は贈賄された方の外務大臣こいつは知ってるよ!

私のことを初っ端から邪魔者扱いしてクイーンを崇拝している貴族の

一人じゃん。ドレスとか宝石とかをクイーンにせっせと贈ってるエロハゲジジイ。

確かコイツも妻子がいるのにクイーンに傾倒しちゃって、クイーンに向ける淫靡な視線が超キモいオッサンという印象の人。

領への馬車と護衛…宿泊人数あ…これ妻子は領へ帰してるけどコレもしかして逃げられたのか…?領地からまた別の所に移動してるものね。実家に帰らせて頂きますってヤツ!

で、これ幸いと一人王都に残ってせっせと浮気しているわけか‥。


「嫁を追えよクソが」


あっまた声出てたかも。声出し厳禁!

でもね。妻や子がいながらそれを忘れて他所に気が移る奴がこの世で一番嫌いなので昂りを抑えなきゃ。


あのハゲ外務大臣って何かと宰相様と比較される人だった様な?年齢は少し上だけど大臣の中では一番近いのかな?

そのストレスから禿げたのかしらねぇハゲるよねあの"人をも殺せそう"な視線喰らったら…あっコイツ人事考察にも口出ししてるわね。あるある推薦状書いてるぞ。坊ちゃん二世を仕入れ担当にして使う側の料理長の人選もコイツの差し金かぁ〜?

ろくに仕事もしない奴を据えて悪巧みですか〜蜂蜜ってもしや中に黄金でも入れてるのか?越前屋おぬしも悪よのう的なコントでしか見たことないけどアレも菓子折に小判仕込んでるよね。

でコイツとコイツを仕込んでちょろまかしたかしたものは金と‥ ?????


もう知らんでは効かないかな。

見ちゃったし読んじゃったし、それより糸口がいっぱい見えちゃったんだけど、この先怖いんだけど。


触れたくね〜めんどくせ〜。


けれどもとリュックから風呂敷を出して書類諸々と私の考察まとめを全て包み抱えた。

丁度アンナちゃんがお茶と菓子を持ってきてくれたので風呂敷を睨みながら、甘味で腹を満たして戦に行くが如く一声よっしゃーと小さな声で気合を入れた。


***  ***


アンナちゃんとエリオット君がそれお持ちしますと言ってくれたのを丁寧に断り(これ持った事で狙われたら堪らんので風呂敷は私が持つ)人気の無い廊下を歩きながら、まだどうにか私じゃなくて他の人が行ってくれないかなとか考えていた。

でも、あの人が勝手に動くわけがない事はわかっている。私の住う側姫棟より豪華な造りの天井を仰いで見るが、そこには綺麗な細工の彫刻がこれでもか!とあるだけでその奥にいる人迄は当然見えない訳だが‥。

つい天井を見てしまうのは癖にしたらダメなヤツだね、自重しなきゃ。

部屋の隅を見てなんか居るとか言っちゃう幼児ではないから変な目で見られるとかこの歳でヤバいので気を付けよう。


あの人、宰相様の指示で私に極秘資料を見せたたのか?勝手にするわけないものね。また私に面倒なこと押し付けたわけだが、私が暴いたことにすれば報告を受けた宰相様は仕方なく動いたってテイになるアレでしょ?

ここは私は操り人形かって文句言う所だよね?

お世話になっているけど宰相の手下になった記憶はございませんのよ、私の事使いすぎじゃない?何処馬骨には身に余るお仕事でビクビクしております。国家揺るがす汚職事件とか知らないなら知らないで無視したい。


見つけたそれと、それに付箋付けて書き留め纏めたルーズリーフの紙束を包んだ風呂敷を、急いで宰相様の所に持って行く。この資料をいつまでも持っていたくないという身の危険の方に私の考えは完全に傾いた。

あ〜ちりめんの桜の花吹雪と夜の濃紺の地に月に猫ちゃんが描かれた風呂敷にこんな怖いもの包むとかあり得ないんだけど!お菓子とかワインとかオシャレに包むつもりだったのに〜。



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