私の仕事
「お嬢ちゃんの国では水不足の対策は何をしていたのだ?」
「原始的には雨乞いとか?テルテル坊主を逆さに吊るして‥これは大昔のおまじないですが‥ひっ」
冗談を言える雰囲気では無かったか?
宰相様から瞬間冷凍されるくらい冷たい視線を食らって凍えそうです。
兎に角、私の世界の降雨の無い場合の政策を大臣と言われるお貴族御三人様に説明した。おまじないは冗談ですよとは言ったが冷たさが消えないぞー
ここは宰相様の執務室の隣にある会議室です。何故か呼ばれて私の世界の話をと言われてのだけど、宰相様は進行の為お誕生席で向かい合う形で私の正面に大臣御三方が並ぶ。とてもフクヨカでいらしてさぞや贅を尽くした生活をされてますのねって感じ。街の片隅の事なんて気にしてなさそ〜
だだっ広い部屋が狭く感じるわ。
なんか腐臭がする何だろう?臭いな‥油臭い?臭いよね?同意伺いの視線はお誕生席のお方には外されたわ‥
まっいいか。
*** ***
最近、私が宰相様に話した事柄がこの世界で役に立っているそうで(宰相の懐刀の渾名の由来?)漸く私の事を認識しましたくらいの扱いになったらしく、彼らの中で使えるかもしれない女にランクアップしたらしい。
使える異世界人とか?(そこがまたクイーンと扱いが違うっていうか〜)
まぁバカ騎士をのした事や近衛隊長職剥奪したのが効いたか?
そう思うと私、他諸々やらかしたわね。
王に挑んだ命知らず、と後から宰相様にゲンコ食らったのはまだ記憶に新しい。
ゲンコくらうとか小学校でも今しませんよ。親だって頭は避けてお尻ペンくらいなのにそれさえ最近は暴力と受け取られるのよ!ゴツンってかなり痛いの貰いました。
暴力反対ですって私なりに幼気な感じで(どうも妖艶は無理だった)ウルウルパチパチのお目目で訴えたが鼻で笑われましたよ。何だろうこの扱い‥
さて、本日お越しの御三方は農林・土木・税務の大臣らしいです。どうやら雨が降らなくて作物のとれ高が減った地域→税が取れ無い→金が入らない→公共事業が出来ない→商会やらあっちこちからどうにかしろとの矢の催促で困っているらしい。
そう言えば私達が召喚されてからここ王都でも雨降った日って‥無かったような?マジで雨降らしたくて召喚したのか‥
晴天過ぎて毎日健やかにシオノギ門への散歩しちゃってたものね。階段脇の川の水量はそこそこあったような気がするけど、アレは湧水だったかな?私、毎日お風呂入ってましたがもしかして給水制限掛かってました?
いやいや私ごときに貴重な水をくれるわけがないから王都は大丈夫‥?
では地方の一部がヤバイのか?それさえ知らんけど…情報統制されているので王都の事さえ私は何も知りません。
「水をひくとはどうするのだ?」
そうそう、水不足の対策の話ね。
水量のある川に取水用の堰を作り用水路へと引用するとか、雨量にもよるが湧き水はかなり有効だとか、でも湧き水は水温が低いので農作物より飲料水としては湧き水が安全ですよなんて言ってみた。山の近くの地域は賄えているのではないだろうか?
水の必要な地域は何処なのかな?
「地図を見せて頂いて年間の温度や気象の情報を頂ければ、ある程度の説明ができますが」
「ふむ、山がない地域の事を頼む」
「‥平地だと、用水路がやはり有効ですかね‥近くに干上がっていない川はあるのですか?そこから水を引いて〜溜池とか?して水を分配…地図を見たいのですけど」
遠くの大きな川から水を引く用水路とか、ましてダムなんて大規模な整備とかはお金掛かるし、そんな技術もこの国には無いだろう。
時間もかかるので今困っているなら現実的では無い、ならばどうする?
迫力のあるおっさん達に囲まれて
何も案が浮かばなかったらマズイでしょ?折角宰相様がくれたチャンスだから認めさせたい気持ちはあるのだけど焦ると何も浮かばないよ。
そもそもこっちには天気予報無いし
雨の降る確率とか何故雨が降らないかなどの原因の情報が全くない。
何せこの国の地図さえ見せてもらえないからこの世界の情報もわからないわけで、この国がどんな国土であるかさえな〜んもわからず質問されてもねぇ
気候は通年温暖らしいが今年は暑いらしい。なのに私が来てから一度も雨が降っていない。来る前から降っていない。
コレが異常気象だからなのか何かしらの原因からなのか根本の事を何も教えないでただ水が欲しいと言われてもなぁ〜
「ため池か‥人員と時間はどの位掛かるのだろうか?いくつ作れば現状を賄えるんだ?それなら隣国と我が国に接しているあの川から水を引くのが手っ取り早いだろう?」
「あの〜、水を引くにも水利権って結構シリアスなものがあるので、その隣国?との話し合いをきちんとしないと争になってしまう恐れも」
「我が国の水を使うのに彼方と話し合いが必要か?」
「お嬢ちゃん、自国を流れる川なのだから我々が使うのは当たり前だろう」
「そうだ!何の遠慮も要らんだろう」
「そうだな」
強気だな皆さん。
そしてまたお嬢ちゃん呼びしたなおっさん。
「その川がどれ程の規模で、どれ程の水量なのか?その水量は十分あるか?が聞きたいところなんですよ」
聞いてます?地図プリーズ資料プリーズ。
大臣さん達、我が国のものを使って何が悪いかって上から感がアリアリだけど、国境跨いでるのは気をつけないとマジで戦争になるよ。まして彼方も雨降ってないんじゃ無いの?水の取り合いになりませんか?
助け合わないとまずくない?あっちも同じ考えなら戦争になるってば。
え〜い、外務大臣を呼んでこい!と宰相様を睨むも知らん顔だよ。ったく。
「水は魔の物とも言います。使い方接し方で人の命を救う事も奪う事も出来るものです。戦争だって起こす恐ろしいものですよ。この国は今、川を共有する相手国と戦えるのですか?」
「「「‥‥」」」
あら黙った。マジか予想は当たり?
相手は大国なの、敵わない?
で、湧き水には関心なしか‥自給自足が一番手っ取り早いのだけど、もしや国の湧き水とか把握して無い感じか?
やはり外務大臣呼んで交渉を‥とか言ってるぞ。手っ取り早い川から取水しか考えてねえな。
「今回のは局地的な水不足なのですか?山間部近辺は関係ないのですよね?水がない事で作物が不作なのは国の全地域ですか?一部ですか?民の飲料水は賄えているのですか?」
皆さん私の事見えてます?質問に答えろ!
チッ
都合が悪くなると知らん振りか‥目をそらすなおっさん達!
・・まさか、知らないとか言わないよね?
さっきはつい雨乞いとか言っちゃったけど、あの発言でバカにされたのかな?やはり初対面での打ちかまし方を間違えたな‥
今後テキトーにものを言わないように気をつけないと。
魔物がいる世界とはいえ雨乞いなんて非現実的な事、まさに小バカにされる発言だったかな…魔法や召喚のある世界なのに呪いは無しか?
これ以上は馬鹿にされるのはヤバイしよね…私の立ち位置確保はまだ万全じゃないからな…




