唯一の趣味に癒し得る
今日は城の厨房を借りて菓子を作る事になった。
仕事ばかりで外にも出れないので全ての材料を揃えてもらい、容器も器具も自分で洗って準備してアンナちゃんと仲良く作くるという楽しいひと時を過ごすつもりのどうもイグサです。
調理実習みたいでウキウキしてます。
私があまりに食が細い為に、アンナちゃんが計画してくれたのではと思っている。
宰相様がこんな計画立てられるわけがないからね。
少し病みってて、身体にそれが出てしまったのを気付かれたかな?
まぁ最近は幸せな夢を見ているからだいぶ持ち直したよ。
今日は一番簡単なパウンドケーキを作った。(材料全て同じ分量で混ぜて焼くだけなのと材料がこちらの世界でも用意できたから)型が無かったけど在るもの代用してどうにか出来上がったよ。
エリオット君とアンナちゃんとお手伝いをしてくれていたが、遠巻きで見ていた厨房の人がお手伝いというか、重い鉄板を持つのを見かねて共に作業をしてくれたお陰でかなり上出来なものが出来ました。
私は仕事で城に来ている宰相様の遠縁という設定なので、お貴族と思われての距離間だったらしいが、平民ですよと言えば安心して話しかけてきてくれた。
で、パウンドケーキが出来たらアンナちゃんがお茶を入れてくれて折角だからと皆さんにもご一緒にとお茶タイムとなりました。
調理場の皆さんからは、この世界の料理事情など聞けて楽しく和めたのはかなり嬉しい。
四面楚歌的なこの世界やこの国に対しての敵意がまだ若干あったのだけど、ここの人達は私の世界とあんまり変わらんとわかったのはかなりの成果だった。
アンナちゃんや厨房の方たちがパウンドケーキを美味しい美味しいと食べてくれたのが嬉しかった。でも料理長さんとか偉い人は流石に居らず(貴族だからか?)料理場を使わせてもらった礼などは出来なかったのが気掛かりではある。
まぁいいか。顔出さないのは私に会いたく無いからだろうから何もしない方が良いのだろう。
しかし人の笑顔はホンワカするね。
私の作ったものを取り合って食べてくれるのも嬉しいわ〜
エリオット君は任務中の飲食は出来ないそうなので焼いたパウンドケーキ一本丸ごと包んで、後で渡してとアンナちゃんに預けておいた。
「甘いのが苦手だったら騎士様って寮住まいでしょ?他の人にでもあげて」
ってね。
翌日は少し食欲が出たよ。
温かい気持ちに触れるのは有り難いよね。作っている人の顔を見て話が出来ると作り手の顔を想像して食事が出来るから、いつもより食べられた。質素な食事でも…
野菜の端切れの様な具材でもね。
*** ***
「お元気になって良かったです」
「あぁ‥笑顔になっていらしたな。定期的にこんな時間を作れる様に宰相に提案してみるのはどうだろうか?」
「まぁエリオット様はイグサ様のお菓子が食べたいだけでは?」
「なっ!そんな事は‥ここの所満足にお食事も出来なかったのに、今日は召し上がれていたからで」
「はい、定期的なものになればお心が休まると私も思います」
「おつくりになるものは凄いうま…とても美味しかったからな」
「ふふふ左様でございましたね。是非またおつくり頂きたいですわ」
そんな話がされているなど全く知らない私は、呑気に昨日多めに作ったパウンドケーキ一本(切り目を入れちゃったけど人数足りるかな)自室のサイドテーブルに置き、独り言を天井に呟いて寝た。アンナちゃんは私の夜食とでも思ったのか、視界に入れたが何も言わずにいてくれた。
ありがとう(๑・̑◡・̑๑)
「影の皆様何時もありがとうございます。お口に合えば何よりです」
とメッセージも添えて。
朝になり気がつくとガラスフードを被せた皿にケーキは無くなっており、代わりに撫子の様な小ぶりで可憐なピンクの花が置かれていて、久しぶりの高揚した気持ちになれた。




