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52 部隊と紋章
数ある部隊の中で彼が属する部隊は最強だった。
エンブレムもなく、ないことが部隊の証ともいわれてきた。
だが、若い彼はせっかくなんだからエンブレムがほしいと思っていた。
同輩も同じ気持だったようで部隊長に進言した。
「では、貴官に任せる」
体の良い押し付けではあったが彼はやる気になった。
同輩と相談しながら最強なのだから剣と、忠勇を誇る狗のエンブレムにしようと提案した。
だが、彼等には絵心がなかった。どうにも格好の付かないエンブレムしか仕上がらない。
「いっその事、まず作ってみるか?」
そういうことになり、彼等はエンブレムを作ってみた。
同輩は失敗したが、彼は成功した。
刺繍でデザインを作ったのだ。
それを部隊長に見せると笑いながらこう言った。
「貴官らは絵心はないが、手心はあったらしいな」
そして告げる。
「そして私はお前らを鍛えることに手心は加えない、よろしいか」
サー、イエス、サー、応え今日も一日が始まる。




