53 幼女の頭に生えたきのこ
創作仲間のちゅーんさんからのお題でしたー。
結構エグイ話に仕上がりました(^_^;)
ワカサスイタケ、という極めて危険なきのこが娘の頭に生えてしまった。
宿主に大変な力を与える代わり若さを吸って育つきのこだ。
無理に取ろうとすると頭に癒着しているため脳に傷がついて最悪死んでしまうため、何もできない。
そして、ワカサスイタケにはもうひとつの効能がある。
食べたものを若返らせるというものだ。
そのため被害者である娘は奇異な目を向けられるとともに、ハンターから狙われる理不尽な運命を背負わされた。
「お父さん、怖いよ」
大丈夫だ、などと口が裂けても私には言えなかった。
もう娘は私よりも年を経た老婆のような顔をしている。それで愛しさが変わることはなかったが、もう死んでしまうのではないか、と密かに娘の死を願っている自分が怖かった。
故に私は娘にある魔術を教えた。
若さを奪う魔術だ。
幸いワカサスイタケは若さを奪う代わりに膨大な魔力を与えるのだ、力の面では問題がなかった。
精神という面では問題だらけ。
父親として出来る限りのことを教え、私の若さをまず奪うよう教えた。
娘はおずおずと、私の若さを奪いながら若返っていった。
日に日に娘は若返り、私は老いていった。
娘への愛が変わりだしたのはこの頃からだ、私は癇癪を起こして娘を傷つけるような言葉を投げるようになった。
――お前など、いなければよかった。
この言葉が本心だったのか、それとも娘を傷つけることによって若さを奪って生きる彼女の生き方に迷いを失くすためだったのか、死にゆく私にはわからない。
あぁ、幸よあれ我が娘。
ワカサスイタケに寄生された少女は百年を生きた。
百年の後に寄生したワカサスイタケが枯れ落ちたのだ。
隠者のごとく過ごした彼女はひどく疲れた顔をしていた。
――魔女め、ここにいるのか!
魔女、確かにそうだな、彼女は思う。
父親の死後彼女は生きるために人の若さを奪って生きてきた。そうしなければ死んでしまうから、必死だった。
恋という恋もせず、愛という愛も知らず、彼女は生きるために生きたのだ。
魔女、その名で裁かれ彼女は死ぬのだろう。
せめて、彼女は思う。
私の人生を滅茶苦茶にしたこのきのこを食らって復讐としよう。
そして、彼女はきのこを食べた。
魔女を探していた男が赤子を見つけた。
魔女が住まうと噂された森の小屋に魔女の代わりに赤子がいた。
泣いている、まるで生まれたばかりだと言わんばかりに赤子は泣いていた。
男が困りながら魔女を探してみるが魔女はいない。
見るだにこの赤子は魔女の被害者なのだろう、そう思い彼は赤子を連れて帰った。
――赤子が魔女であると知らずに。
こうして魔女の物語は終わり新たな幼子の物語が始まる。
図らずも父親の願いと少女の願いが叶ったのだった。
お待たせしました、では早い再会を祈って失礼します。




