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2部 スペルブースト 編  7章 終わらない不幸な1日 2話

出張や残業で殆ど進んでいません(涙

「裕貴!居るなら居るでなんで先輩の所に来ない・・・の?」

 いつも綾香や俺が行き来しているせいで、ベランダの鍵を掛け忘れていた窓から広瀬瞳が突然入り張り上げた声は萎みながら最後は疑問系になっていた。

 それもその筈で私は今、朝倉裕貴では無くアネットが前面に出ている。人格も、体格も。

「ここ、裕貴の部屋だよね?あんた達誰?」

 まずい・・・、よりによって話しがややこしくなりそうな広瀬に見られてしまった。

 広瀬は裕貴の制服を着た私と藤井先輩を他にあるはずの影を探している。

「朝倉君ならちょっと飲み物を買ってくると言って留守にしてるわよ」

 ナイス!藤井先輩。

「そうですか、それで・・・えっとあんた達誰?どうして裕貴の部屋に居るのですか?」

「私は藤井麻未、舞藤女子3年よ」

「えっ、わ・・私は広瀬瞳、大誠学園1年ってなんで」

「あー、私達も朝倉君もブルーバンドの活動をしているからね」

「そっちの人もですか?」

 広瀬は私を睨んでいる。

「それは、その・・・」

 藤井先輩が慌ててフォローに入っている。しかし突然の振りについて行けない。

「わ、私は“アネトアンリ”って言います」

 思わず「アネトアンリ」等という適当な名前を答えてしまった。これこそ「アネット」でも良かったかも知れない。

 藤井先輩はナイスと言わんばかりに目で私に合図を送った。

「アネトアンリだあ?聞いた事無いわよそんな人、それにその服って裕貴の制服だよね」

 広瀬が私を疑う視線がさらに強くなった。

「私・・・最近、ブルーバンド15支部に配属になったので朝倉先輩から指導を受けています。今日はパトロールに同行していたのですが服が濡れて、それで先輩の家が近いからって事でここに上がらせて貰いました」

 何で裕貴が下の名前で呼び捨てにされなきゃいけないのだろう?こいつ後輩だよね、でも感情的になりやすいこの子をからかってやろうかしら?

「ところで、広瀬さんは朝倉先輩のこと下の名前で呼ぶんですね?」

「ファッ!これはその・・・私の敵だからよ!」

「敵?敵だったら下の名前呼びなんですか?」

「ちっ・・・違うわよ、お姉様がそう呼んでいるから私も呼んでいるだけよ。勘違いしないでね」

 この子思った通りの面白い反応する。

――お前、楽しんでるだろ――

『だって面白い反応するから』

 裕貴は訴えたがもうちょっとからかってやろうかしら?

「アネトさん、話しがややこしくなるから止めて貰える?」

 藤井先輩が困惑気味に訴える。割と止められるが早かったな。

「そうね、さっきに中からも言われたわ」

「そうでしょうね、この状況を彼が一番困るでしょうし」

 この彼とは裕貴の事だ。

「もう何言ってるのか全く分かんない!」

 広瀬は完全に蚊帳の外だ。怒るのも無理は無い。

「広瀬さん、悪いけど私まだアネトさんと話しが有るの、席を外して貰えるかな?」

「でも裕貴も居ないのに2人だけで何の話しが有るのよ」

「ブルーバンドの話しよ、アネトさんが今後もこんな格好にならない様に言っておかないと」

「そうよ!どうして裕貴の服を着てるのよ!」

 話しが戻った。それも私が説明する前の状態にまで戻ってしまった。

「あー、話しが戻っちゃいましたね」

 私は愛想笑いを浮かべ髪を手繰った。

「もう一度言うと、パトロール中に川に落ちた猫を助けようとして私も落ちてしまったの、そこで朝倉先輩の家が近いからってここで服が乾くまで貸して貰ったの」

「それで裕貴の服を着てるの?」

 広瀬は不満そうだ。

「ええ、さすがに何も着ない訳にいかないからって」

「そうなの?それでその猫は?」

「今、朝倉先輩が保護施設へ預けに行ってるよ」

「・・・分かった。裕貴が帰ってきたらお姉様、綾香お姉様が呼んでいたから部屋に来る様に言って置いて」

 広瀬はこれ以上何も言う事が無い為か、不満そうな表情で告げ置きした。

「分かったわ」

「朝倉君が帰ってきたら伝えておくね」

 藤井先輩もフォローを入れた。広瀬は私の顔をきつく睨み付けてからベランダへ出て綾香の部屋へ消えていった。

「ほぉ」「ふぅ」

 2人同時にため息が出た。ほんの数分だったのだが張り詰めていた空気が張り裂け疲れがどっと出た。

「危なかったわね-」

「そうですね、ばれるかと思った」

「ばれる事は無いんじゃない?だって今女の子なんだし」

「そっか・・・そうね」

「でも覚悟した方がいいね」

「この格好、裕貴の服だもんね」

 裕貴はアネットのその言葉を聞いて動揺した。『今はアネットが俺の服を着ている』と綾香に認識されている事になるからだ。

「裕貴にはまた修羅場が待ってるのね」

 私は面白そうに笑った。私は緩んだ気分をもう一度引き締めた。

「広瀬さんをからかい過ぎよ、朝倉君、修羅場確定じゃない」

「それは・・・裕貴がする事だから私は関係無いでしょ」

 私が楽しそうにしている姿を見て「人が悪いわよ」と忠告していた。



漢字の誤変換を見つけたので修正しました。

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