2部 スペルブースト 編 2章 能力者の少女2 1話
私は男を盾にしてロケット弾を防いだ。男に命中したロケット弾は激しい衝撃と音、灼熱の爆風で男が鉄の残骸へ形を変えていく。
「どうだ?」
「いや、手応えが無いまだだ」
倉庫の壁沿いから攻撃して来る男の声、さすが随分冷静な対処が出来る様だ。
私は右手に持っている残骸を振り払い残り3人の内、向かって左側に居る男に狙いを定め突進する。
正面に居るギミックと右後方の男から攻撃を受ける。弾丸は次々と私の身体に命中し皮膚にめり込み痕になって残っていく。しかし、止まるどころか人間の走る早さなのかと疑う程にスピードを上げ男の顔に渾身のストレートを入れた。
男の頭はザクロの様に破裂し、残った胴体は人形のように不自然に吹き飛んで行った。
そこへギミックからロケット弾が発射された。
「ふうぅ!」
ロケット弾攻撃を受け私は悲鳴を上げた。さらにギミックはロケット弾を3発追加攻撃する。私を殺す為とはいえ2人も仲間を犠牲にしている。
「ざま見ろ!立ったまま死んでやがる!」
爆発の火球の中に人影が映っている。その姿を確認したギミックのパイロットは甲殻を開き体を乗り出して叫んだ。しかし・・・。
「立ったまま・・・」
男の顔がたちまち氷り着く。男は慌ててコックピットに乗り込み甲殻を閉じた。何故、これだけの攻撃で立っていられる?爆発で吹き飛ばされるのが普通でその場に立ち竦んで居るとしたら、蒸発して姿を維持する事は出来ない筈だ。
私は爆発の熱波が治まり焼け焦げた地面の中から姿を現した。
今度は何処も大きな外傷が無いどころか今までの攻撃で受けたダメージが完治している。
しかし既にボロボロになっていたシャツは破れて無くなり左腕の肘から下の部分を残すだけになった。
「じゃあ、こっちの番ね」
私は左腕の生地をはぎ取り完全に裸になった。
私はギミック目がけ衝撃波が起こしながら一直線に向かった。ギミックはマシンガンを撃ちながら斜め右へ高速で後退している。
銃弾が女の左前頭部に被弾し左目が飛び出し左頭部が吹き飛んだ。前のめりに倒れそうなった所を左足で踏みとどまりその場に止まり、残った右目でギミックを睨み付けると又突進する。
左側面からマシンガンを撃ちながら距離を詰めてくるギミックへ飛ぶと、私の右腕は黒い刃物に変化しギミックの右脚を切り落とした。
バランスを崩すギミックが地面に倒れそうになっている所へさらに右肩から腕を切り落とす。ギミックはその場に倒れスパークしながら動かなくなった。
もう1体のギミックはロケット弾を発射する私はロケット弾を避ける。
ロケット弾は動かなくなったギミックに命中し爆発を起こし破片が飛び散った。
動かなくなったとは言えギミックは有人のパワードスーツだ。まだ人が残って居た筈だがそれを攻撃した。これで3人目の仲間を切り捨てたのか?ギミックは炎を上げて沈黙している。
次に最初に攻撃してきたギミックに向かって私は走った。
右腕はさっきの刃物の状態のままで、吹き飛んだ頭は脳や頭蓋と白い皮下組織まで再生している。しかし、左目はまだ再生が追いつかず白目だけの状態だ。
残ったもう1体のギミックは後退しながら両腕のマシンガンを撃ってきた。しかし、もう私には通用しない。銃弾は体に当たると綺麗と言いたくなる程見事に跳ね返し、体の表面には一切傷が付いていない。
ギミックは左腕のマシンガンを撃ちながら右腕から刃の付いたトンファーの形状をしたブレードを展開して接近した私へ振り下ろした。
女の右腕の刃物はさらにサーベルへ変形しギミックのブレードを左に屈んで交わし体を起こすと同時に右腕を振り上げた。
ギミックの胴体は右脚から左の腰を真っ二つにパイロット諸共切断した。
銃弾を跳ね返していた私の身体は黒く鏡のように反射する程とても艶が有り、右腕のブレードの刃先は街の灯りと月が写し出されている。
ギミックの上半身は脚を残して胴体部分が後ろの地面に落ち、あちらこちらがスパークした後に爆発を起こした。
飛び散る破片を見た残り2人の男は2、3歩後ずさりした後逃げ出した。
私は最初に戦った男の元へ走りムーンサルトで立ちはだかった。
「この!」
UZIを撃っているが既に身体は鋼鉄の様に硬いので効くはずが無い。
「もう貴方達を生かすつもりは無いわ、死になさい」
「黙れ!」
効果が無い事を分かっている筈だが懲りもせず銃を撃っている。しかしそれも弾切れになるとナイフを取り出し斬りかかる。
だが、ナイフの刃は私の身体1つ傷付ける事無く折れ、刃が男の左胸に刺さった。
私はそのまま右腕をまたサーベルの様に伸び残った男を切る。男を斬った手応え固く直ぐにサイボーグだと分かるが、それでも生身の骨よりも硬い合金の骨格をスポンジを切る様に簡単に体を切り刻み首を切り落とすと女の前に転がる頭を女は踏みつけ。
「まだ、生きてるわよね?」
女は言った。男は黙ったまま私を睨んでいる。
「そう、もう声が出ないのね、でもここまでよ、さようなら」
女はそう言うと躊躇無く頭を踏み潰した。
最後に残った男は逃げるかと思いきや私に向かって猛進し抱きつくと爆発した。
爆発で胴体の前面の皮膚が焼け血がにじみ出ている。
「C4 ・・・やってくれるわ、せっかく生かしておいたのに」
私はその場に仰向けに倒れ込んだ。暫く肉体の回復に時間が掛かる為だ。
しばしの静寂、しかしまだギミックは下火になったとはいえまだ炎を上げ小さな爆発を繰り返していた。




