2部 スペルブースト 編 1章 能力者の少女1 1話
ついに2部「スペルブースト編」です。
この話は当初、12芒星魔方陣編のプロローグから現7章へ続いていました。
1〜6章を後から追加した際、この話は2部へずれ込みました。
とはいえ、当初のプロローグよりずっと派手で「1部8章」以降への話の辻褄も合わせ有ります。
また岡本浩子編「1部9章」の話にもリンクしています。
話は複雑にすべて繋がっているのです。
――何処だ、ここ――
瞬きする。俺は何処かのビルの屋上に立っていた。
「さあ、何か面白い事は無いかしら」
学研都市の何処かだろう。それと声も自分のとは違う。でもどこかで聞いた様な聞き慣れたような声だ。
俺はどう言うわけか、その体の感覚が分かる。
――女だ――
女の体になっている。歳は俺と同じくらいに感じる15、16歳くらい、身長は155から160cmくらいだろうか?女にしては胸とかは余り大きくない。
それと、シャツ1枚だけを着ている。男物のワイシャツ?というか俺のシャツだ。そして下着を着ている感覚がない。もしかして穿いてない?
俺は俺の意志とは関係無く屋上の端の手摺りに乗って街の夜景を見回しながら歩いている。
太さ五センチ程の細い手摺りで少しでもバランスを崩すとビルから落ちてしまう。まるで俺の体のコントロールを他の誰かに支配されている様な感覚だ。
――うわー、落ちる――
俺は思わず叫んだにも関わらず。夢とは言え俺は恐怖で足が竦む、しかし手摺りの上を歩き続ける。
街の一角の倉庫に目が留まった。と言うかここから目線の倉庫まで10キロ程度は有る筈なのだが人影がはっきりと認識が出来る。
「何だか面白そうね・・・」
そう言うと手すりから飛び降り屋上の中央に戻ると振り返り走り出し、手前で側転からバク転しになり2度目のバク転で手すりに掴まるとそのままビルを飛び越えた。
――うおおおお――
俺は思わず大声を上げた。体を丸めクルクルと回転しながら15・16階のビルから落下しているのである。それは男女関係なく悲鳴を上げるだろう。
しかしその声は響かない、実際には声になって出ていないのだから。
「もう、五月蠅いなぁ」
今、飛び降りたビルからは向かいの4車線道路を軽く飛び越え向かいの8階建てのビルに近づくと体を広げ綺麗に着地するとその衝撃を前転で交わしまた走り出すと次のビルへ飛び移った。
そうやってビルからビルへ飛び移りながら10キロ程有った“面白そう”な場所に10分程で到着した。
目の前にはフェンスで覆われ上部は有刺鉄線が張られている。これ自体は学研都市でよく見られる防犯対策だ。ここ最近では死なない程度に高圧電流を流している所も有る。
女はその前で一旦しゃがむと勢いを付けて2mも有るフェンスを軽々と飛び越え倉庫施設の中に入り倉庫の壁の前迄来ると屋根を見上げた。
屋根までの高さは10m位だろうか飛び乗るには高過ぎはしないだろうか?
しかし、右腕を振り上げると腕が伸び屋根に手を掛けた。
――え!?――
右腕は屋根を掴んだまま腕がまた縮み身体が持ち上がると屋根に難なく飛び移った。
「ふふふ、だんだん身体の使い方が分かってきたわ」
女は楽しそうに笑いながら屋根の上を歩いて行く。
「みーつけた」
独り言の様に小さく言うと屋根の上から正面に位置する男の様子を暫く観察する。
男は作業着を着て居るが明らかに挙動がおかしい、そしてさらに別の作業員が左奧10mの倉庫沿いに10トントラック1台を誘導している。
それよりトラックを誘導している作業員の男の肩になにやら物騒な物を持っている。
あれは機関銃だ。銃の知識は裕貴が知っている。確かUZIと呼ばれよくアクション映画で出てくる小型のマシンガンだ。
これは明かにこの施設は乗っ取られたと見て間違いないだろう。テロの予兆なのだろうか?とにかく思っていたよりも自体は悪いのかも知れない。
「これはこれは、思ってたより面白そうじゃない」
この女、何を言っている?
すると、女は屋根から1人だけ離れた所で地面に何かしている男の前へ飛び降りた。




