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1部 12芒星魔方陣 編  15章 魔方陣の攻防 2話

「さて、まだ残っている残党を掃討する。朝倉裕貴、ここまで来た以上は最後までつき合ってもらう」

「ああ、分かっている」

 このまだ敵が残っている可能性が高く、12芒星魔法陣の問題も解決していない。それに敵がこれだけ大規模な軍隊が学研都市に入り込んでいる事が今後国際問題になり得るだろう。当然、守秘義務が発生する事案として処理される筈だ。

 そんな問題に首を突っ込んだ俺の処遇も気になる。当然最後までつき合うつもりだ。

「それなら、私に付いてこい」

 マリアの後に付いて後ろを歩いた。

「ん?」

 今、シルビアが俺の為にとどめを刺した敵が動いた様に見えた。

「どうしたの?」

「今、動いた様に見えたので」

「!!」

 敵は確かにピクリと動いた。それとほぼ同時に全身が膨れ上がる様に見えると一瞬に火の海になった。倒した敵にあらかじめ自爆するよう爆弾が仕掛けて在ったのだろう。俺はその爆発を至近距離から受け吹き飛ばされた。

 マリアは爆風に乗って飛び爆発からは難を逃れた。

「しっかりしろ朝倉裕貴!」

 薄れ行く意識の中、マリアの声が響いた。

「おい、朝倉しっかりしろ」

 マリアの声が聞こえる。意識があるのか無いのかよく分からない感覚になっている。

 膝から下の脛付近と手の甲に痛みがあるが他の箇所には無い。

「聞こえるか、朝倉裕貴」

 微かな声で返事をして自分の右腕を持ち上げて見た。

 真っ赤と言うよりどす黒い腕。これは火傷、痛みを感じないのは皮膚が全て焼け剥がれている。ブルーバンドの応急治療の実地訓練で教わった。これは火傷でも重症の3度、皮膚が無くなった状態を指している。

 そしてほぼ全身の顔から膝まで痛覚が無いと言う事はその部分が全て3度の火傷を負っている事になる。恐らく体表の40%がこの状態だろう。

 成人でも20%の火傷で生命の危険が在るとされるのだから俺はこのままだと助からない。

 マリアは銃をレッグフォルスターに納めると右手を返すと魔法陣が空中に描かれワンドを取り出した。

 ワンドはマリアとほぼ同じ背丈が有る。

 マリアはワンドを振り回して距離を測ると両手でワンドを正面に構えた。ワンドの中央部分から光が溢れプラズマの様に輝く光の球体が出来ていく。

「イズン・ヒーリング!」

 マリアが声を張り上げ唱えた。光の塊は俺を繭の様に包んだ。

「く・・・そ・・・」

 力が欲しい。

──力の目覚めはもうすぐよ。私を呼びなさい──

 私はマリアに虚ろな目を向ける。

「心配掛けたね、もう大丈夫よ」

「何を言っている朝倉、お前は重傷だとにかくそこで大人しくしてなさい」

「そんな事をしてたら敵に狙い撃ちにされるわ」

 私は全身の力を振り絞ってこの場から立ち上がる。火傷で失われた皮膚表面は皮下脂肪が有るが顔と両肩はその皮下脂肪も焼け筋肉に達し血が噴き出している。

 しかしその血が止まり赤い湯気が上がると徐々に皮膚が再生され立ちこめる赤い湯気が白くなる。

「お前は、朝倉なのか?私の魔法が効かなかったが」

話しがかみ合っていない、それよりも人格が変わっている。

「ええ、今はね」

 完全に皮膚の再生が終わると。私は暗がりのフロアの先を睨む。

「それより、来るわ」

 銃声と共に焼けた弾丸が迫る。しかし狙いが外れていたため避ける体勢すら取らず弾丸の飛んできた方向を見定めた。

 そして15m先のフロア角、私達の居る非常階段の反対側のエレベーターホールまで走り接近する。

 これは20mm、対物ライフルか?敵は2体のオートマトンとサイボーグ兵1人は少なくとも居る!

 飛び込む様に敵へ私は突っ込むんだ。ベレッタM800を裕貴が無くしたため私の攻撃は接近戦しか残っていなかった。

 後ろからマリアの援護射撃、しかしオートマトンには跳弾して全くダメージが無い。

「硬い!」

 オートマトンは4月22日に見た3本脚の同型だろう。両腕に付いていたのはマシンガンだったが両腕の下にガトリング砲が装備され装甲が強化されている。他にも、何か装備が増えている様に見えるが確認するより先にガトリング砲が回転し始めた。

 私は左右に飛びのけながら接近するが1発だけ右腕に当たってしまった。

 ダメージは右下腕の中間付近そのまま腕がちぎれ吹き飛んだ。オートマトンの攻撃は私が1発貰い動きが止まったその刹那を逃さなかった。立て続けに20mmガトリングの餌食になってしまった。

 銃弾は右脇腹から次々に左へ命中し、胴体の胸から上下に引き裂かれた。

「裕貴!」

 物陰に隠れるマリアが叫んだ。だがマリアももう1体のオートマトンの激しい攻撃に隠れているコンクリートの影が次々に剥がれている。私は胴体が2つで別れ、そのまま床に落ちた。

 床に広がっていく私の血は別れた胴体は心臓の有る頭側から溢れ出ると言うよりシャワーの様に噴き出している。

 床に広がる血が別れた胴体に繋がった。広がった血が脈を打ちだし広がる血が胴体へ集まりだした。血が血管を作り細い筋肉を作り動かない胴体のちぎれた部位が少しずつ向かい引き合うように近づいて行った。

「サンドニードル!」

 マリアに向かってくる2体のオートマトンに砂で出来た針が降り注いだ。しかし殆どが強化された装甲に阻まれ数本が刺さっている。

「これならどう?」

 マリアは両腕を上に伸ばし指先からバチバチとスパークを起こすと前へ振りかざした。

 刺さったサンドニードルが避雷針の様に真っ直ぐに電撃はオートマトンを襲った。胴体が青白く光り2体共動かなくなった。

 マリアは警戒行動をしつつも私へ注意を向けた。

「裕貴?」

 私の2つにちぎれた胴体は繋がり傷と言った外傷は完全に消えていた。

 そして私は身体を起こし立ち上がった。

誤字を見つけたので修正しました。


今は「対戦車ライフル」とは呼ばず「対物ライフル」と呼ぶそうです。

もう戦車にこの種の武器が効かないからそう呼ばれるようになりました。

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