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1部 12芒星魔方陣 編  14章 伏犠の狙い

第2主人公、朝倉裕貴 編での没文章が14,000文字以上有ります(涙)

7,000文字程は再利用するつもりですが、残りが再利用できません。

完成度が比較的高い事もあり、もったいないので外伝として没文章を公開するかもしれません。

 崩壊した廃倉庫を出て直ぐにシルビアは止まった。不思議に思いつつ1分が過ぎた。

「シルビア?」

 しかしシルビアは動かない。まるでゼンマイの切れた人形の様に立ち尽くしていた。

 それからさらに1分位すると何かを探すように上下左右に顔を動かすと体の中央付近から青いさざ波が広がって行った。

「でわ、行くわよ」

「行くって、何処へ」

「9番目の12芒星魔法陣の設置現場よ、掴まって」

「お、おう」

 俺はとりあえずシルビアにしがみついた。またシルビアの頭上と足元に魔法陣が現れる。

 やがて上下2つの魔法陣が腰の辺りで1つに重なった所で場所が変わった。

 道路を見渡せる山の斜面に着いた。少し宙に浮いていた足が地面に着くと直ぐにコンテナの影に隠れ周りの状況を把握しようとシルビアはしていた。

 俺は何処かも分からないまま周りを見回した。建物も何も無い、目線の先に道路が1本走っている。

「ここが9番目の魔法陣の設置場所?」

 腕時計を見ると午後4 時20分くらいになっていた。

「あの先の広場よ。でもおかしい、もう儀式が始まっていてもいいはずなのに」

「もう、終わったとか」

 俺は山から降りて道路に出た。

「止めなさい、危険よ」

 シルビアは声を潜め、でも俺に聞こえる様に言った。しかし、その忠告は既に遅かった。

 俺は一瞬息が出来なくなる衝撃と共に下腹を撃たれた。その衝撃と激痛で立つ事が出来ずそのまま倒れ込んだ。

「狙撃・・・」

 弾は貫通しているが出血が止まらない。急所の左側の腎臓を貫通している。

 シルビアは斜面の茂みから出てこない。

「くそ、結局足手まといか」

 そこへ4トントラック3台が道路脇に止まる。

「トラック?まさか」

 トラックから武装した軍人が8人とスーツ姿の男3人後ろのトラックから4体のギミックが現れた。ギミックとは戦闘に特化したパワードスーツの事だ。足は犬の後ろ足の様にS字になっていて胴体部分は球体の様に滑らかなラインをしている。

 そこへ1台の黒い車が道路の真ん中で動けなくなっている俺を避けトラックの前で止まった。

「配置終わったか?」

 車の中から出てきたのは伏羲、完全に元の姿に戻っている。

 これがサイボーグ、パーツ交換で元に戻る辺りはさすがだと思う。伏羲は俺の方へ近づいてきた。

「さっきの小僧か・・・そこのお前!こいつを連行しろ」

 伏羲は一緒に居た軍人に指示した。

「こいつは?」

「餌だ」

「しかし、こいつは急所を撃たれています、放って置いても10分もすれば失血死します」

「それでも構わん、それまでに(仲間が)出てくるだろう」

「ほら、立て!」

 軍人は俺の左肩を掴み引きずり起こした。

「こいつ!?」

 出血が止まっている。急所に打ち込まれた傷口からは普通では出血が治まる訳が無い。 腕を掴んだ軍人を掴み返し俺は投げ地面に叩きつけた。

「ぐは」

 俺はそのまま近く居たもう1人の軍人に駆け寄る。身構えた軍人と格闘戦へ少林寺拳法の構えを取るがこちらはシンプルな構えだがガートの位置を高めにして投げ技が掛けやすくしてある。俺の1・2がヒット相手はよろける反動を使った右ハイキックを屈んで避け体を引き寄せ膝で腹部目がけ蹴り込んだ。防弾チョッキを着ている為直接的なダメージは無かっただろうが軍人を吹き飛ばすには十分だった。

 しかし、吹き飛ばされたのは俺も同じだった。

「大人しくしていれば殺しはしないのに・・・そこでくたばってろ」

 地面に這いつくばった俺は顔を前に向け伏羲が言った。

 右の胸が穴が開いた様に痛い息も苦しい。これはやばいか?

 その時、トラックが爆発した。シルビアの狙撃でギミックの影に隠れる傭兵とスーツ姿の男は急ぎ道路脇の空き地へ向かうシルビアの狙撃が止んだ。

 ギミックの影になってシルビアからは狙撃出来ないのだろう。

 しかし、俺の角度からは相手の様子がよく見える。黒い服を着た3人はGPSで場所を計り大きな布地を取り出して地面に広げた。

 4体のギミックはシルビアが居た辺り目がけてロケット弾を発射した。辺りは火の海になっているが大丈夫だろうか?

 男は道路を背にして地面に広げた布地の前で何かを唱える。布地に描かれていた魔方陣が光り出した。しかしその男は狙撃され膝が折れ倒れると、もう1人の男が続けて呪文を唱えている。すると魔法陣は赤く光り地面に転写されていった。

 すると急に雲が出てきた。

「伏せろ!」

 黒服の1人が叫ぶ。辺りに居た軍人は魔法陣から離れるが呪文を唱えていた黒服の男は離れずに詠唱していた所に空から閃光が走り、その衝撃波だけで止めてあるトラックが道路の反対側まで吹き飛んだ。

 黒服の男の居たところにはクレーターができその中で溶けた溶岩が貯まりギミックも衝撃で2体が壊れ動かなくなっている。今のは隕石が落ちたのか?

「くそー」

 たった1人残った黒服の男はふらりと立ち上がりクレーターへ歩いて行く。そこへ警備車両が到着し車からSATの様な格好をした人達が残った7人の軍人を包囲した。

「そこまでよ」

 こちらもシルビアと同じ格好の女性は身の丈程の杖を持っている。その後ろに傭兵が2人着いてきている。

 シルビアは銃を構え右側面から伏羲から目を離さずに慎重に進みながら爆風で半分埋まった俺へ寄ってきた。

「裕貴、まだ生きてる」

 しかし、もう俺には声を出す力すら残っていなかった。

 自分の流した血の海でヒュー、ヒューと息をする俺に治癒魔法を掛けようするシルビア。

「これは?・・・そう、そういう事」

 シルビアは俺の首に掛かっているネックレスを見て何か納得した様子だった。

 ネックレスに掛かっていた合計5個の黄色い宝石の内4個は砕け、最後に真ん中の大きな石だけになっていたが、その石が罅が入っている。それと同時に俺の体の傷が癒え息が楽になっていった。

「貴方、能力が覚醒したわね」

「いや、俺は無能力者だよ、それより有り難う、治癒魔法したんだろ?」

「裕貴に治癒魔法は使ってないわよ、それは裕貴の能力よ」

 俺は無能力者だ。シルビアが何を言っているのか意味が分からなかった。

 俺は特に意識もせずに立ち上がり服に付いた泥を落とした。そう言えば服が血まみれになっていた。それどころか、俺が這いつくばっていた所は血まみれになっていたのだから顔や手も俺自身の血で汚れべたべたする。

「そう言う事か・・・化け物め」

 残った男はそう言い放ちクレーターの前に立ちクレーターに飛び込んだ。

「おい」

 俺は突然の男の行動に声を上げた。シルビアともう1人の女がクレーターの側に向かう。

「間に合わなかったわね」

「ええ」

 クレーターの中の溶岩の上に魔法陣が赤く浮かび上がり仮の柱がうっすらと立ち上っている。9箇所目の魔法陣も完成してしまった。

 シルビアは倒した1人目の黒いスーツを着た男の側へ向かう。

「この男?」

 シルビアは男の前にしゃがみ込んで様子を調べていた。この男も伏羲だ。

 2人目の男は隕石と一緒に焼け死に、伏羲は今クレーターの溶岩に飛び込んでいる。

「どういう事だ?こいつも伏羲だよな」

 俺はシルビアの側に向かう。

「クローン・・・いやエルフよ」

「エルフ?」

「3年前に学研都市から漏洩した再生医療技術の1つよ」

「学研都市の情報セキュリティは万全じゃないのか?」

「私から言わせればまだまだよ」

「それでエルフってあのエルフなのか?」

「空想上のエルフとは意味が違うわ、臓器や皮膚を特殊な方法で再生すると元の肉体より色々な能力が上げられる技術よ、今はそこまでしか言えないわ」

「それと伏羲とどう関係があるんだ」

「この男はクローンだった。クローンはテロメアが短いから短命なのは知ってるわね」

「ああ」

「他にもクローンはオリジナルより細胞組織が劣化しやすいから能力が落ちる。それをエルフ技術でオリジナルと同等、若しくはそれ以上の能力にしている・・・と言う事よ」

「と言う事は他にも伏羲が居ると言う事か」

「このままだと魔法陣が完成してしまうわ」

 話の最中、女は辺りを警戒しながら歩き回っている。

「12箇所全ての魔法陣の設置を許してしまったわ」

「これで残り1箇所」

 シルビアは思い詰めた表情で呟く。落ち込んでいるのか2人共動きが止まった。

 そして突然女は俺に人差し指を指して。

「それとそこの貴方」

 俺はびっくりして固まった。

「ここまで付いてくるって事はダメと言っても来るのでしょ?」

「え、いや・・・」

 女の迫力に負けて言葉が詰まる。しかし女はシルビアから離れると、SATの1人のフォルスターからベレッタM800を抜き俺にグリップを向けながら。

「これを持って行きなさい。そんなおもちゃじゃやられるわよ」

「チーフ、もう裕貴には私から銃を貸しているわ」

「M800を借りています」

 俺はベレッタM800を一度チーフと呼ばれている女に見せ又ズボンのベルトに挟んだ。

 それを所を見計らってチーフは俺へ手を差し出した。

「私は大島・マリア・エメラルドよ」

「俺は朝倉裕貴です」

「シルビア12芒星結界の中心座標は分かった?」

「はい」

「じゃあ、そこから100m離れた場所で広い空間のある所を検索して」

 シルビアは目を閉じ考え事をしている様だった。

「見付けたわ、座標送るわ」

 マリアは持っていた端末に送られた画面を確認し、警備車両からベレッタM800とマガジン5本を用意し俺にその内の1本のマガジンを投げ渡した。

「じゃあA-1で行くわ」

 マリアが言うとシルビアや他の仲間達も了解した。

 マリアの行動からすると、捉えた軍人を警備車に乗せ搬送するグループと俺達に付いてくるグループと別れるみたいだ。

「貴方は私達に付いてきて。それと、最初が隠密行動だから気取られる様な行動は謹んで」

「つまり、銃の使用を控えろと言う事か」

「そういう事、消音器(サイレンサー)が有れば話は別だけどね」

「チーフ、準備が出来ました」

 シルビア達から離れていた男2人が合図をするとシルビアが目を閉じ詠唱を始めた。その返事をする前に足元と頭上に魔法陣が現れていた。


マリアが使用した魔法名「メテオ・ストライク」隕石を召還して落とす魔法。

隕石は純粋な物理法則に則り成層圏より落下して行きます。

隕石の墜落エネルギーの計算は大変複雑っぽいので、ここで物語中のクレーターの大きさから隕石の大きさは50cmかなーとしています。


で最終章を執筆中ですがタグ「性別入れ替わり」を回収しようかどうか迷った結果回収は2部する事にしました。(ネタバレ)すでにフラグは建ててあるので何処の事か見ておいてください。

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